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羽毛ふとん研究室

羽毛博士Kakeru

vol. 7羽毛ふとんの歴史

北欧では、今から約1200年も前に、すでに羽毛ふとんが使われていました。日本でも、現在の全世帯普及率は、ほぼ100%とも言われすっかり一般化しています。しかし国内生産が本格化したのは、意外にも1945年以降なのです。今回は、羽毛ふとんの歴史を紐解いてみたいと思います。

世界最古の羽毛ふとんとは?

世界最古の羽毛ふとんとは?現在確認できているもっとも古い羽毛ふとんは、800年頃のものと推定されます。ノルウェーで発見されたヴァイキングの船墓(墓代わりに用いた船)から、副葬品として羽毛のクッションやふとんが発掘されたのです。北欧では約1200年も前に、すでに羽毛ふとんが存在していたのですから驚きです。
中世の頃には、フランスやドイツ、スペインでも、羽毛(羽根)ふとんが使われていたようです。しかし当時は、寝台そのものが贅沢品であり、羽毛ふとんもおもに富裕層が使っていたと考えられています。

余談ですが、羽毛ふとんを意味するフランス語の「duvet」は、古ノルウェー語の「dünn」が語源と言われています。また「ぜいを尽くす」という意味の「coucher sur le duvet」は、直訳すると「羽毛ふとんに寝る」になり、羽毛ふとんがいかに高価だったかを物語っています。

木綿のふとんがぜい沢品だった日本

木綿のふとんがぜい沢品だった日本国内に目を向けてみましょう。800年頃と言えば平安時代。貴族の中には、真綿(絹)の詰め物をしたふとんを使っていた人もいたようです。一方貧しい人々は、麻や苧(からむし)、楮(こうぞ)といった植物を織った粗末な布を掛けたり、冬にはありったけの着物を着たりして寒さをしのいでいました。

現在の寝具に近い、綿入りのふとんが登場したのは江戸時代後期のこと。それ以前は、国内での木綿栽培が難しかったこともあり、庶民にはなかなか手の届かない高級品でした。綿入りのふとんが一般化したのは、明治から大正の頃と言われています。時を同じくして、ついにヨーロッパから羽毛ふとんが入ってきましたが、こちらは木綿以上に高価な、まさに高根の花。ぜい沢品として扱われ、何と40%もの物品税が掛けられることになったほどでした。

物品税の廃止に奔走した初代社長

昭和初期まで、国内で販売されている羽毛ふとんは、おもに欧州からの輸入品でした。羽毛ふとんが日本で生産されるようになったのは、1945年以降のことです。東洋羽毛も1948年頃から「羽根」に関連した事業を始め、1954年に現在の「東洋羽毛工業」になりました。

物品税の廃止に奔走した初代社長昭和に入り、1966年に物品税が廃止されたことを受けて、ようやく国内で羽毛ふとんが普及し始めます。実は物品税の廃止には、東洋羽毛の創業者・横田が大きく影響しています。「羽毛ふとんこそ庶民が使って一番良いふとん」だと、大蔵省に働きかけたのです。

物品税がなくなり価格がぐっと下がったことに加え、70~80年代に起きたダウンウエアの大流行によって羽毛がより身近になったことで、羽毛寝具の需要も大きく伸び始めました。

教訓を胸に再出発した羽毛業界

ゴールドラベル80年代に入り羽毛業界は苦境に立たされます。というのも、表示と実際のダウン率が合っていないような粗悪品が出回り、業界全体が大きく信用を失う事態になったのです。新聞などでも取り沙汰され、消費者の立場に立った製品づくりや品質管理に取り組むきっかけになりました。

1976年には、「日本羽毛製品協同組合」の前身である「羽毛寝具関係懇談会」が発足され、羽毛ふとんメーカー、羽毛原料商、寝具卸業など18社が参加しました。また1983年には新たに「日本羽毛協会」を立ち上げ、羽毛の品質を検査する「試験方法」と、品質を評価する「品質基準」が定められました。基準に合格した羽毛を使用した製品には「安心マーク」を付けるという活動も進め、消費者からの信頼回復に努めたのです。

2008年に2つの組織は統合され、現在では「ゴールドラベル」基準など、消費者のみなさまに安心して製品をご購入いただくために、厳しい目で羽毛製品の検査に取り組んでいます。

現在、日本の羽毛ふとんの全世帯普及率はほぼ100%と言われ、多くの方に羽毛ふとんをご利用いただいています。その一方で、羽毛は食用のダックやグースの副産物であることから、近年これらの需要の減少に伴い、羽毛の供給量も減少の一途をたどっています。ヨーロッパではすでに羽毛のリサイクルが行われているように、限りある資源を有効に活用する工夫が求められています。高品質な羽毛を使ったおふとんは、クリーニングやリフォームを適切に行って丁寧に扱えば20年、30年とお使いいただけます。質のよい羽毛ふとんを長くご愛用いただくことも、工夫のひとつと言えるのではないでしょうか。