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2017年07月19日

やましたひでこさん/クラター・コンサルタント

断捨離における寝室のあり方

やましたひでこさん/クラター・コンサルタント

「断捨離」という言葉の発案者であるやましたひでこさん。
断捨離とは、今までのお片づけ術とは全く違う発想による、「新・お片づけ術」なのだとか。
今回は断捨離における寝室のあり方について教えてもらいました。

寝室には、睡眠に関係ないものは置かないのが基本

寝室には「寝ることに必要のないものは置かない」というのが理想ですね。寝ているときって、体が一番リラックスした状態ですよね。だから寝室はその条件が整っているかどうかがカギになります。

これはセミナーでもよく話すことですが、寝室が4畳半で、そこにタンスが二つあって、タンスの上には段ボールが天井までぎっしり積んである場所で、安心して寝られますか?
そんな圧迫感のある場所で質のいい睡眠が確保されるわけがありませんね。

やっぱり寝室はできるだけモノがない空間がのぞましいですよね。でも日本の住宅事情では現実的に難しいことだと思います。だったら、少しでも睡眠に関係のないモノを減らしていく、というところから始めてみましょう。理想形は無理でも、前よりは良くしていく。少しずつモノを減らしていくのです。一度にやろうと思わなくていいんです。タンスの上に段ボールが10個あったら、まず1個減らしてみる。9個で何の問題もなかった。じゃあもう1個減らしてみよう。そういうふうに前の状態よりも良くなった、そのときの気持ち良さを覚えておいて、こっちのほうが気分がいいかな、じゃあまたもうひとつモノを減らしてみよう、それを繰り返し、繰り返しやっていくのです。

「断捨離」とは自分にとっての
 空間づくりをするという発想から

断捨離とはその言葉通り「断」=断つ、「捨」=捨てる、「離」=離れる、ということです。
お片づけ術ではありますが、焦点を当てているところが今までの片づけ・収納術とは違うのです。今までの片づけは、モノに焦点をあてていました。けれど「断捨離」は空間をクリエイトする、自分にとっての空間づくりをするという点に焦点をあてています。 今までの片づけは家の中にあるモノすべてを収納グッズなどを駆使して、いかにうまく整理・収納していくかという発想でした。けれど今や、家の中はモノであふれている。それをすべて片づけるには時間も必要だし、収納グッズやお掃除グッズを揃えるお金も必要だし、何よりお片づけをするエネルギーも必要です。でもはたしてそこまでやって取っておくほど、そのモノに価値はあるのでしょうか?今そこにあるモノと私の関係は良好なのでしょうか? それをまず考えて、検証していくのが「断捨離」の基本的な考え方です。

そういう私も実は以前は片付けベタだったのです。私はヨガの指導員をしていたのですが、ヨガの「断行・捨行・離行」という考え方を何とか片づけ術に応用できないかとずっと思っていました。ちょうどその頃、収納ブームでテレビでもさかんに収納番組をやっていました。それが面白くて、私も真似してみたんです。でうまくいかなくてすぐに挫折しました。これは特殊な才能がいるのではないかと(笑)。自分には無理だと思ったんです。

そんなある日、ヨガの先輩と「断行・捨行・離行」の話しをしていたときに「タンスの中だって、着ない服でギチギチだもの」とおっしゃった。そのときピンときたのです。つまり服はいっぱいあるのに、今着たい服がない。それはどういうことかというと、「高かった」とか「やせればまた着られらるかも」「もったいない」といった気持がその服に残っているから捨てられないのでは? でも現実には着ていない服は、もういらない服なのでは?

いらないのに、捨てられない。それはなぜかというと、その服に執着があるからです。だったら、その執着を一つずつ手放していけば片付けられるのではないかと気がつき、そこから私のお片づけの道が始まったのです。

有り余るモノと対峙して、
いらないモノを捨てていく。
でもそれが簡単そうで難しい。

「いらないものを捨てる」といっても、これが結構、大変。でもそれは当たり前なのです。難しいから取捨選択していくわけで、トレーニングが必要なのです。
「他の人はできるのに、なぜ私はできないんだろう」と落ち込む必要は全然ありません。「断捨離」はそこからスタートなのです。だって、トレーニングしていないのだから、できなくて当たり前なのですから。そこでまず始めに、

  • 1. 片づけられないのは、モノの量が多いだけ。自分を責める必要はありません。 「片付けられない」という言葉は、自分を責めている言葉です。家事労働というのは誰もができて当たり前、それができない自分はダメな人間…と女性は自分を責めます。でもそうではなくて、「片付けられないんじゃなくて、モノが多いから片づかない」という発想にします。モノが多すぎるだけ、モノの量の問題だということがわかります。
  • 2. 本当にもったいないものは?モノを惜しむ以上に、自分の時間・空間・エネルギーを大切にしていく。 なぜモノを捨てられないのかと言うと、それはモノに対する「執着」。その執着との戦いです。高いお金を出して買ったモノ、そしてまだ使えるモノ、だから「もったいない」。これも執着心の正当化です。「もったいない」そして「いつか必要になるときが来るかもしれない」、だから取っておく。でも今の私が必要としていないモノのために時間をかけて空間(収納する場所)を作り、片付けにエネルギーを費やす。そのほうがよっぽどもったいなくないですか? 自分の人生に対して、もったいないことをしていませんか? その見極めをしていくのが2番目の作業です。

これを繰り返しやっていくのが「断捨離」の考え方です。少しずつ、前で進んでいきませんか?

【プロフィール】 やましたひでこ/クラター・コンサルタント

東京都出身、石川県在住。大学在学中に入門したヨガ道場で心の執着を手放す行法哲学「断行・捨行・離行」に出会う。この行法を日常の片付け術に落としこみ、片付け術「断捨離」として提唱。2001年よりクラター・コンサルタントとして「断捨離セミナー」を日本各地で行っている。最初は主婦層が多かったセミナーも、現在は年齢・職業を問わず幅広い層から支持されている。著書にベストセラー『新・片付け術 断捨離』『新・生き方術 俯瞰力』(ともにマガジンハウス刊)『ようこそ断捨離へ』(宝島社刊)他、多数。

◆やましたひでこ公式ブログ
「断捨離」~断捨離で日々是ごきげんに生きる知恵~
http://ameblo.jp/danshariblog/

◆やましたひでこ公式サイト
「断捨離」~日々是ごきげん 今からここからスタート~
http://www.yamashitahideko.com/

やましたひでこ/クラター・コンサルタント

2017年06月20日

吉川 翠 先生/都市居住環境研究所

「いや~なダニ・カビ、どう防ぐ?」昆虫・ダニの研究を続けて来られ、講演会やメディアにもひっぱりだこの「ダニ博士」こと吉川先生。害虫について教えてくださいます。ジメジメとした季節、住宅環境で気になるのはダニ・カビ。降り続く雨に、窓を開けるわけにもいかず、室内に干した洗濯物は乾かないし…と、ダニ・カビにとって格好の住環境になります。

なぜジメジメとしたこの季節になるとダニが増えるのでしょうか?

温度ダニが最も好きな温度は20~30℃で、ダニの種類にもよりますが、35℃くらいまでが繁殖しやすい温度です。それ以上になると繁殖率が落ちてきます。

湿度ダニが最も好む湿度は60%以上。だから梅雨でジメジメし、また室内を閉め切ることが多くなるこの時期はダニが繁殖しやすくなるのです。

えさ住宅に最も多いのはチリダニで、フケがえさとなります。そのため寝具の枕もと周辺に最もダニが集まることが多いのです。

もぐれる場所ダニは背光性で、暗いところが好きです。ですからじゅうたんや布団の表面より、中のほうにひそんでいます。

以上の4つの条件がそろった場所には、間違いなくダニがいると思ったほうがよさそうです。家の中で最もダニが多い場所は布団やじゅうたんなどの布製品の中です。

ダニを効率良く退治するには?

一番効果的な方法は湿度調整です。
室内のすべてのダニは湿度50%以下になると脱水を起こして死んでしまいます。

ですから湿度を調節しやすい冬場(11~3月)にいつもそのくらいの湿度に保てば、ダニは繁殖できません。

住宅に最も多いチリダニは、卵から幼虫になるのに1カ月かかります。そして成虫になると卵を産みます。繁殖条件の揃う梅雨から夏にかけてはどうしてもダニの数は増えてしまいますが、冬はみなさん暖房を使うので、空気が乾燥してダニは死んでしまいます。 だからもともと数が少なくなった冬場にしっかりとダニ対策をしておけば、梅雨から夏の繁殖条件が整う時期であっても、もともとの数が少ないからそれほどダニは増えない、というわけです。

梅雨どきから夏にかけては除湿と冷房を上手に利用してダニをシャットアウト!

冬は暖房やホットカーペット、床暖房などを上手に使えばダニは増えません。最も繁殖する6~8月は除湿機で室内の湿気をとったり、エアコンのドライをうまく使って湿度が高くならないようにしましょう。

できれば専門メーカーの作った湿度計をひとつ用意しておくいいですね。というのも、温度と違って湿度は皮膚感覚ではわかりづらいからです。また湿度計はインテリア要素の強いものには30~40%も誤差があるものも。ぜひ正確なものを用意しましょう。

寝具のダニ対策

家の中でもっともチリダニが繁殖しやすいのはベッドや布団の頭の周辺です。繁殖条件のえさともぐれる場所があるからです。

布団の敷き方を工夫する

畳やフローリングの上に直接布団を敷くと、寝ているときにたくさんかいた汗を布団が全部吸ってしまいます。それをそのままにしておくと、あっという間にダニが繁殖します。畳やフローリングに布団を敷くときは、布団の下にすのこなどを敷き通気性をよくしましょう。とはいえ、敷きっぱなしは禁物です。ベッドの場合は汗を吸い取ってくれるベッドパッドのようなものを必ず敷くようにします。

起きたら布団はしばらくそのままに

起きてすぐに布団をたたんだり、ベッドメイキングをしてさらに上にバッドカバーをするのはもってのほか。湿気がこもり、ダニの格好の繁殖場所になります。朝起きたら、掛け布団は足元のほうに寄せ、枕元周辺の湿気を飛ばすようにします。

シーツ類は 1週間に1回洗濯する

ダニは卵からかえるのに約1週間かかります。そしてすぐにフンをします。だから最低、1週間に1回マクラカバーやシーツを洗濯すれば、理論的にはフンはゼロになります。ダニ自体は洗濯機で洗っても死なないのですが、水で流れ落ちますし、フンは水溶性で水に溶けます。

掃除機は頭周辺を重点的に

洗濯すればダニは除去できますが、しょっちゅう洗濯できない場合は、枕の周辺を重点的に掃除機をかけましょう。ベッドの場合はベッドエッジにダニが一番多いので、そこを重点的に。

寝具の種類でいうと、中に一番ダニが多いのが綿布団で、最もダニが少ないのが羽毛布団と羊毛布団です。ダニの数を調べたところ、羽毛布団にはほとんどダニはいませんでした。羽毛布団は昔は羽根の洗いが不十分だったのでダニもいたかもしれませんが、 現在は技術も進歩ししっかり洗ってあるのでそんなことはありません。

また羊毛は羽毛のように何本にも分かれておらず、1本ずつ生えている単純な構造なので、洗うとダニも落ちやすいという特性があります。側生地も羽毛布団、羊毛布団ともに目が細かく、ダニが外から入りにくい素材です。

カビの繁殖条件はこの4つ!

温度25~28℃くらいまでが繁殖に最も適した温度で、45℃以上になると死滅します。

湿度65%以上で繁殖します。60%以下だとカビは繁殖しません。

栄養カビは脂分を栄養にしています。手あかなどは大好きです。壁紙にカビが生えるのは、手あかと壁紙に使った糊が原因です。

酸素カビの菌糸や胞子が生きていくには、酸素が不可欠です。空気中には目に見えないカビの胞子が浮遊しています。

カビの発生源は土壌で、空気中に浮遊しています。それが窓などから室内に侵入し、壁などにくっつきます。そこで繁殖に最適な温度があれば菌糸を伸ばして繁殖していきます。カビの胞子は目には見えないほど小さく、それが菌糸を伸ばして繁殖していきます。黒カビや赤カビのように、目にみえるときには、すごい数になっていると思ったほうがいいでしょう。

壁などにカビが生えたときは、空気中にもかなりの数のカビがいると考えられます。カビの胞子はアレルギーの原因になるので、ぜんそくやアトピー体質の人は注意が必要です。

カビ予防&対策はとにかく湿度調節を!
室内の湿度を下げ、換気を良くする

これからの季節で気をつけたいのは、湿気をためないということです。それには換気をして結露が出ないようにすることが大事です。蒸し暑い日や雨で窓が開けられない日などはエアコンの冷房かドライをかけておくといいでしょう。温度設定は27℃くらいで大丈夫です。

除湿機を置くのもOK。ただし除湿機は人が部屋にいるときに使用してもあまり意味がありません。使うなら誰もいないときに。 窓を開けて風を通すときは、窓を全開にする必要はなく、2か所開けて風の通り道を作るようにします。

エアコンのフィルターを使う前に掃除する

エアコンのフィルターを使う前に掃除するフィルターにはほこりとともにカビも付着しています。掃除をしないで使用すると、カビを部屋じゅうにばらまくことになります。

衣類や靴はしまう前に汚れを落とす

衣類や靴はしまう前に汚れを落とす栄養分となる手あかがついたままの洋服をたんすやクローゼットにしまうと、カビが生えるだけでなく、他の衣類にもカビが広がるおそれが。布団も同様に、汚れや湿気を含んだまま押入れにしまうとカビの原因になることがあります。

質問コーナー
Q1敷き布団にカビが生えたのですが、原因は何ですか? 
どうしたらカビが生えなくなりますか?

A通気をよくすることです。
綿布団に比べると羽毛やムートンは発散性に優れていますが、だからといって直接床に敷いてしまうとカビが発生することがあります。寝ているとき、人間はコップ1杯くらいの汗をかくので、布団をたたみやフローリングに直接敷くと、布団と床面の湿気が高くなり布団も床もカビの原因になります。床に布団を敷くときは必ず下にすのこなどを敷いて通気性を良くすることが大切です。また、敷きっぱなしにしないことです。

Q2寝具の種類によってダニやカビの対策や保管方法は異なりますか? 特に、羽毛やムートンについて教えてください。 A

A対策は同じです。
寝具の種類によって対策がかわるのではなく、換気と湿度の管理が大切です。保管場所が湿気の多い場所だと、せっかくきれいにしても保管している間にダニ・カビが発生することもかんがえられるので、保管場所は通気性を良くして、部屋の湿度を上げないようにしましょう。また、保管する場合は汚れ(手あか)が付着しているとカビの原因になることがあるので、天日干しやクリーニングをしてからしまいましょう。

Q3干したあとのふとんが臭います。これは死滅したダニの臭いだと聞いたのですが…?

A違います。
確かに、死滅したあとのダニは臭うのですが、それはものすごい数のダニがいる場合です。一般家庭のふとんに、そこまでのダニがいるとは考えられません。通常ダニがいても病気にならない程度の数は1平方メートルにつき100匹以下と言われています。その程度の数で臭うことはありません。もし臭いがあるとしたらそれは汗や体臭によるものです。

Q4ダニの死骸やフンがアレルギーの原因になると聞いたのですが、死骸やフンが多い季節というのはありますか?

Aあります。
温度や湿度がダニにとってちょうどいい季節というのがあって、7・8・9月がもっともダニが繁殖する時期だと言われています。6月に卵や幼虫がかえり、7月に数が増えます。ダニはだいたい2~3カ月で死にますから、そう考えると10月頃が最も死骸が増えるのではないでしょうか。ただそれが直接アレルギーの原因になるかというと、他の要因も多々あるので一概には言えません。

Q5急にかゆくなり、ブツブツと赤く腫れることがあります。これはもしかしてダニに刺されたの? 蚊にさされるよりかゆく、しかも長引く気がするのですが…?

Aダニかもしれません。
ダニには刺す種類と刺さない種類がいます。一般家庭にいる9割のダニは刺しません。ただ残りの1割の中には捕食性のツメダニというのがいて、それは獲物を捕まえて、その体液を吸って生きています。蚊と一緒ですね。それに刺されると赤く腫れ、痒みも出ますが蚊と違い、刺されてから早い人で5時間後、遅い人だと72時間後に痒みが出ます。蚊に比べて痒みが強いのは、あまり刺されていないため、それに対する免疫がないからです。

Q6タオルが乾きにくい梅雨時期に、いつの間にかタオルに黒い点々が…。これってカビですか? 洗っても取れないのですが、そのまま使っても大丈夫ですか?

Aカビです。
カビは45℃以上になると死にますから、洗濯してそのあと乾燥機にかければ心配ありません。ただ黒いのはカビの色素なので、残念ながら落とせません。

【プロフィール】 吉川 翠/都市居住環境研究所代表・農学博士

オハイオ州立大学大学院昆虫学部修了。 東京都立衛生研究所主任研究員、厚生省生活衛生局住宅指針検討専門部会委員、各種学会賞8回受賞。主な著書に『住まいQ&A寝室・寝具のダニ・カビ汚染』(共著 井上書院)『効果抜群!ダニ・カビ退治法』(共著 主婦と生活社)『体によい家・わるい家‐住まいの中の毒・ダニ・カビ』(共著 講談社)など。またテレビ朝日「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」など、メディアにも多数出演。

松野多美子/都市居住環境研究所

2017年05月02日

阿部恵子先生/環境生物学研究所所長・農学博士

環境生物学研究所所長・農学博士 阿部恵子先生「梅雨だけじゃない!ふとんと住まいのカビ対策。」微生物の研究を通した社会貢献を目指し、自ら研究所を設立。カビセンサーを使った室内環境の調査から、カビやすさを数値化するカビ指数の開発に成功した、カビのスペシャリスト

カビが好きな環境。

カビの発育条件は、1.栄養分、2.酸素、3.温度、4.水分(湿度)の4つです。この条件が満たされた環境が長く続くとカビが発育します。カビは変動の激しい環境が嫌いなんです。

1.栄養分 フケや垢、食べ物など有機物はなんでもカビのエサになります。またカビ自体はダニのエサになりますから、カビが増えるとダニも増えるのです。

2.酸素 カビも生き物ですから人間同様に酸素が必要です。また空気中にはカビの胞子が浮遊しています。

3.温度 カビは0~45℃で発育しますが、適温は20~30℃程度で人間の生活温度と一致しています。

4.水分(湿度) カビは壁や建材から水分を取り込んで生長しますが、空気中の水分も取り込むことができるので、空気中の水分が多い(相対湿度が高い)ほど増殖しやすくなります。 。

相対湿度とカビの関係。

一般的に使われる「湿度」とは「相対湿度」と呼ばれるもので、空気中の水分が飽和状態との時と比べて何パーセントかを表しています。

空気には、温度によって含んでいられる水分の最大量が変動する性質があります。空気を水の入った器に例えると、この最大量が器の大きさになります。
温度が上がると器は大きくなり(空気が含んでいられる水分の最大量が増え)、下がると小さくなるんです同じ水の量でも、大きな器に入っていれば器の容積に対する水の割合は低くなり(相対湿度が低い)、小さな器に入っていれば割合は高くなります(相対湿度が高い)
つまり同じ部屋の中でも、温度が低い所は湿度が高くなり、カビが生えやすくなるのです


カビの生長サイクル。

たった1日で増殖!?

カビは、寿命も生長速度も環境によって大きく変わってきます

空気中を漂っているカビの胞子は、適当な場所に定着して菌糸を伸ばしますが、定着した場所が乾燥していればいずれ死滅します。

反対に湿気が多ければその分生長は早く、1日で新たな胞子を作り始める場合もあります。また栄養状態が良ければ、作られる胞子も多くなります。

生長途中は目に見えない!

カビの菌糸というのは白っぽく色がないので、肉眼では見えません。胞子を形成する段階になって、やっと見えるようになってきます。
つまり、目に見える状態のときには、すでに大量の胞子が作られていると思った方がいいのです

カビに見えないカビ?

浴室などの完全に濡れている所には好湿性カビ、ちょっと湿り気のある所には中湿性カビ、乾いた所には好乾性カビが発生します。

好乾性カビは、相対湿度100%付近では育ちませんが75~95%ではよく育ちます。中でも「ユーロチウム」は、押し入れや室内の壁などに生えますが、薄茶色になったりして汚れと区別がつきにくいんです。一般の方は、汚れているのかな?ホコリかな?と思ってしまっているケースも多いと思います。

カビの人体への影響。

抵抗力が落ちている時は注意。

好乾性・好湿性に関係なく、カビであればどの種類でもアレルゲンになると言われています。ただカビは種類が多く、実際にどのカビによってアレルギーが起きているかわかりにくいんです。よほど気になる場合には、血液検査によって調べることもできます。

体が弱っている時に病原性のあるカビを吸ってしまうと、感染症を起こす場合があります。「日和見感染」と言って、他にもお年寄りや小さいお子さんなど、抵抗力の弱い人は注意が必要です

一方、「カビ毒」には発がん性があるものがあります。カビが作った毒素がついた穀物などを人間が食べ続けてしまった場合に、発がんすることがあるのです。

室内のカビ対策。

年間を通して湿度管理を。

カビ対策は乾燥させることが一番。濡れた所は拭き、湿気を取り除く。これは年間を通して変わりません。

カビは環境の変化を嫌いますから、定期的な空気の入れ替えやこまめな掃除も効果的です。秋冬は窓を開けて換気をすればいいのですが、梅雨から夏にかけては外の空気が湿っていますから窓を開けても効果がありません。エアコンと除湿機の併用をおすすめします

カビは相対湿度65~70%以上で増殖するので、湿度計でチェックしてもいいですが、市販の湿度計は誤差が出るものも多いので、余裕を持って60%以下ぐらいを目安にするといいでしょう。

エアコンの使い方にひと工夫。

冷房を入れると、空気中の水分がエアコン内部で結露を起こすので、エアコン内部は非常にカビが育ちやすい環境になるんです
そこで最近のエアコンは、カビ予防のため使用後に自動で送風をしたり少し温めたりする乾燥機能がついたものもありますが、ない場合は使用後、送風に切り替えてエアコン自体を乾燥させるといいでしょう。除湿機能を使った場合も、同様にエアコン内部を乾燥させましょう

お風呂のフタと扉を閉める習慣を。

入浴後、浴室のドアを開けておくと蒸気が他の部屋に流れて、寝室などでカビが発生する原因となります浴室のドアは閉めて換気扇を回しましょう。また湯船にお湯が入っていると水蒸気が発生するので、フタをしておくこともポイントです

旅行の前には家全体を乾燥!

人が生活していると水分が発生します。浴室などの水分を残した状態で数日家を留守にすると、その間にドッとカビが生えてしまうことがあります。閉め切った家の中は湿気がこもりやすいですから、旅行などに出かける前は、除湿機などを使ってなるべく室内の水分を取っておくといいですね

寝具のカビ予防。

定期的な乾燥で胞子を退治。

寝具は敷きっぱなしにせず、晴れた日にこまめに干すということに限りますね。

もしカビの胞子がついて菌糸を伸ばしていたとしても、定期的に日に当てて乾燥させることで、新たな胞子を出す前に死滅させることができます。

一回で全滅はできなくても、繰り返し干すことで徐々に減らしていけます。人が使用している限り、汗によって水分を供給している状態なので、天日干しができない時はふとん乾燥機なども活用しましょう。

どんな寝具でも同様の維持管理を。

寝具の素材によらず、カビが生えない維持管理をすることが重要です。羽毛も綿も羊毛も有機物なので、カビが生えないということはありません。

特にベッドは敷きっぱなしで、しかもマットレスはなかなか干せないですよね。ベッドそのものも滅多に動かすものではないですから、ベッドの下や周囲はこまめに掃除をしましょう。その点、昔ながらのふとんの上げ下ろしというのは、頻繁にふとんを動かすことになるので、案外効果的なんです

収納場所の換気も忘れずに。

長期収納する時は、収納場所を乾燥させることも大切です。どんなにふとんを乾燥させても、押し入れが湿っていては収納している間にその湿気がふとんに移ってカビが生えてしまいます。換気を心がけたり、押し入れ用の除湿機を入れたりといった対策が必要です。

カビが生えてしまったら?

「とりあえず掃除機」はNG。拭いて除菌を!

カビを見つけたら、つい掃除機で吸い取りたくなりますが、掃除機は吸った空気を排出する際、カビの胞子まで一緒にまき散らすことになるのでおすすめできません。

室内や押し入れなどに生えたカビは、まずは薄めた漂白剤で拭き取ります。その際、漂白剤の使用上の注意をよく読んで必ず指示に従って使ってください。その後、薬局などで売っている消毒用アルコールで拭きましょう

寝具はプロに任せる!

寝具に目で確認できるほどのカビが生えてしまった場合は、クリーニングに出してください。表面だけでなく、ふとん内部まで菌糸が伸びている可能性があるので、拭き取れるというものではありません。専門店にお願いして丸洗いしましょう。

質問コーナー
Q1カビが発生した敷きふとんをリフォームしたが、またカビが発生しました。
フローリングに除湿マットを敷き、その上に敷いています。布団は毎日上げ、こまめに干しています。

Aそれは敷きふとんの問題ではなく、寝ていらっしゃる部屋が、そもそもカビが発生しやすい環境なのだと思います。温かい空気は上昇するので床面が周囲に比べて冷えることや湿度が原因として考えられますが、まずは一度、除湿機などで室内を乾燥させてみてはいかがでしょうか。除湿機は就寝中ではなく、ふとんや除湿マットを干してから室内で使うといいでしょう。ふとんもマットも外に干せない日は除湿機をつけた室内で干すことで十分です。 除湿マットは見方を変えれば”吸湿マット”です。意識して乾燥させないと水分を溜め込んでしまうでしょう。

Q2敷きふとんをクリーニングに出したのですが、カビがとれないで戻ってきて、点々とシミが残っています。

A黒い点はカビが作った色素で”カビが生えていた痕跡が残っている状態”です。ついてしまった色素は取れないのですが、クリーニングに出した後なら、カビの胞子はほとんど落ちているので使用しても心配ないでしょう。

Q3敷きふとんをケースに入れて押し入れに収納したら、カバーにポツポツと黒い点が…。

A表面にシミがある場合、中のふとんも目に見える変化はなくても、カビが発生していると思います。一度クリーニングに出した方がいいでしょう。また、押し入れに湿気がある状態ですと、また同様にカビが発生しますので、しっかり乾燥させましょう。

Q4ふとん圧縮袋で保管していたらカビ臭くなってしまいました。

A「カビ臭さ」とはカビの代謝産物などが原因です。目に見えなくてもニオイがするということは、すでにカビが生えています。圧縮袋でも完全に真空になるわけではないですから、ふとんに湿気が残った状態で入れてしまえばカビの発生は十分に考えられます。しっかり干して乾燥させてから入れましょう。

Q52年前に購入した敷きふとんを保管していたら、ダンボールにすごいカビが生えてしまいました。

A 段ボールにカビが生えているということは、中のふとんもカビが生えている可能性が高いのでクリーニングをおすすめします。未使用のふとんでも湿気のあるところに置いておけばカビは発生してしまいます。また、段ボールは湿気やすいので、保管には注意が必要です。

Q6新潟に住んでいますが、梅雨~夏場だけでなく1月によくカビが生えてしまいます。やはり結露によるものでしょうか? 気温が低くてもカビは発生するのでしょうか?

A新潟や北陸は特に冬場の湿度が高いですし、外は寒くても室内は温かいですよね。結露が発生するということは、カビも生える環境だと言えます。また結露が目に見える状態ではなくても、好乾性カビの生長は相対湿度90~95%くらいが最適ですから、むしろ発生しやすくなります。また温度が低くてもカビは育ちます。冷蔵庫の中でレモンにカビが生えていたことはありませんか?それと同じことなんです。

【プロフィール】 阿部恵子先生/環境生物学研究所所長・農学博士

兵庫県生まれ。千葉大学園芸学部農芸化学科卒業。東京大学大学院博士課程修了。専門は微生物細胞生理学。1985年酵母菌の形態変化についての研究で、日本農芸化学会研究奨励賞を受賞。「カビセンサー」を用いた、室内のカビ発生可能性が予測できる「カビ指数」を開発し、環境制御によるカビ制御に取り組んでいる。主な著書『住まいQ&A室内汚染とアレルギー』(共著/井上書院)。

阿部恵子先生/環境生物学研究所所長・農学博士


阿部恵子先生/環境生物学研究所所長・農学博士
カビセンサー(チップ) 押し入れなど調べたい場所に設置すると、カビが育ちやすい環境であればチップ内の胞子が発芽して菌糸が伸びる。その伸長度から「カビ指数」を算出する(実際の調査では、チップを不織布の袋で覆って使用)。