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睡眠博士のぐっすり眠りなサイエンス

 » 睡眠で分かるカラダ不調のサイン

新生活を始める人が多い春。緊張や疲れが知らず知らずのうちに蓄積され、寝つきの悪さなどに表れることも。睡眠に変化を感じたら、カラダ不調のサインかもしれません。また、睡眠中の様子は自覚しにくいものですから、家族や周囲が気づいてあげることも大切です。

解説者プロフィール
ぐっすり睡眠博士こと 金子 勝明
東洋羽毛工業株式会社 営業企画課所属
睡眠健康指導士、睡眠環境・寝具指導士の資格を持ち、商品開発、営業企画、睡眠の研究など幅広く手掛けるなんでも系社員!睡眠講座の要請を受け、講師として全国各地を飛び回り、自身睡眠不足になりながらも、日夜睡眠の大切さを訴える。

緊張状態が続くと、眠りに影響が。

自律神経は、交感神経と副交感神経のふたつの神経からなります。昼間は交感神経が働いて活発に行動し、夜は副交感神経が優位になることで、リラックスして眠りにつけるわけです。ところが緊張状態が続いていると、夜になっても交感神経が優位なままになり、眠気が起きにくくなってしまいます

緊張状態が続くと、眠りに影響が。また人は、ストレスを受けると、体内でストレスホルモンが分泌されます。ストレスホルモンには睡眠を抑制する働きがあるので、ストレスを抱え過ぎると不眠を起こしやすいのです。 寝つきの悪さを感じている方は、ストレスを解消できる趣味を持つのも、ひとつの手かもしれませんね。また進学や就職で新生活が始まり、慣れない環境で毎日を過ごしている方なども、自分なりのリフレッシュ法を作っておくと、五月病の予防にもいいと思います。

突然、寝言を言うようになったら…

旅行先で友人のおかしな寝言を聞いてしまった!なんて経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。ですが寝言によっては、「レム睡眠行動障害」のサインの可能性があります。
おもに子どもにみられる「夢中遊行症」、いわゆる夢遊病は、ほとんどの場合、成人すると出なくなることから、特に治療はせずに様子を見るケースが多いと言います。
対してレム睡眠行動障害は、中高年を中心に発症します。攻撃的な寝言を言ったり、暴れて隣に眠るパートナーを殴ってしまったりといった行動がみられる障害で、自然に改善することは難しく、治療の対象になります。また「レビー小体型認知症」との関連も指摘されていることから、それまでほとんど寝言を言わなかったのに、突然、寝言を言うようになった場合は、専門医に相談することをおすすめします。

たかが「いびき」と侮るなかれ!

たかが「いびき」と侮るなかれ!大きないびきをかく。十分に寝たはずなのに、朝スッキリ起きられない、また日中も強い眠気に襲われる。これらが当てはまる方は、「睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)」に注意です。 睡眠中に呼吸が止まり、一瞬目覚めて呼吸を再開し、また眠るという状態を繰り返すSAS。肥満の男性がなるイメージが強いと思いますが、扁桃腺が肥大している人や顎の小さい人も、気道が塞がれやすいため発症しやすいと言います。逆に女性は、女性ホルモンの影響でなりにくいのですが、閉経後はその女性ホルモンの分泌量が減ることから、男性と同等に発症するようになるそうです。

SAS患者は、交通事故を起こすリスクが、健康な人の約3倍も高いという調査報告があります。2003年には、公共交通機関の運転士が居眠り運転を行い、SASが原因として、報道されたこともありました。乗り物や機械を操作する仕事では、強い眠気は重大な事故を引き起こしかねません。もちろんオフィスワークの方も、商談中に眠ってしまっては大問題ですよね。たかがいびき、たかが眠気と油断せずに、本人だけでなく周囲も、気にかけてみてください。

疲れているのに眠れない。

午前中に太陽光を浴びると、光が信号となって脳に伝達され、ズレをリセットできる人の体内時計は25時間周期と言われ、1日の24時間とは1時間ほどのズレがあります。ですが午前中に太陽光を浴びると、光が信号となって脳に伝達され、ズレをリセットできるのです。私たちの体には、こうした1日周期のリズム「概日リズム(サーカディアン・リズム)」が備わっています。
徹夜明けや時差ボケなどで、疲れているのに眠れないことがあると思います。これは一時的に体内時計が狂っているから。健康な人であれば、前述したように朝、日光を浴びることで、2~3日で狂いは改善され、適切な時間に眠気が起きるようになります。

ところが夜更かしを続けていると、次第に睡眠と覚醒のリズムが後ろにずれ込む「睡眠相後退型」の「概日リズム睡眠障害」になってしまうことがあります。

どこからが「不眠症」?

心配事があって眠れないというような不眠の状態と、「不眠症」の違いはどこにあるのでしょうか?
日本睡眠学会では不眠症を次のように定義しています。
「夜間中々入眠出来ず寝つくのに普段より2時間以上かかる入眠障害、一旦寝ついても夜中に目が醒め易く2回以上目が醒める中間覚醒、朝起きたときにぐっすり眠った感じの得られない熟眠障害、朝普段よりも2時間以上早く目が醒めてしまう早朝覚醒などの訴えのどれかがあること。そしてこの様な不眠の訴えがしばしば見られ(週2回以上)、かつ少なくとも1ヵ月間は持続すること。仕事でミスを起こしてしまうなど生活に支障がある場合は、不眠症の可能性があります不眠のため自らが苦痛を感じるか、社会生活または職業的機能が妨げられること。などの全てを満たすこと」。
つまり、仕事でミスを起こしてしまうなど生活に支障がある場合は、不眠症の可能性がありますから、医師の診察を受けることをおすすめします。もちろんパフォーマンスに問題がなくても、寝不足がさまざまな不調を引き起こすことは、みなさんもよくご存じだと思います。 平日は仕事が忙しく、十分に睡眠時間を取れない方は、休日だけでも夜更かしを控えるように心がけてみてください。

[参考文献]
国土交通省自動車交通局 
日本睡眠学会 
独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 
・大塚邦明『眠りと体内時計を科学する』春秋社、2014
・千葉真美(監修)『どんな不眠も治る安眠ガイド』マキノ出版、2014
・古賀良彦『睡眠と脳の科学』詳伝社、2014
・内山 真『睡眠のはなし』中公新書、2014
・坪田 聡『睡眠は50歳から「老化」する』大和書房、2013
・内田 直『安眠の科学』日刊工業新聞社、2013
・塩見利明『現代の不眠―24時間型社会のぐっすり眠り学』明治書院、2012