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睡眠博士のぐっすり眠りなサイエンス

 » 睡眠不足が脳と体の成長に与える影響について

「寝る子は育つ」と言いますが、本当に育つのでしょうか? 睡眠外来に子供も訪れる現代、眠りの悩みは大人だけの問題ではなくなっています。
お父さん・お母さんにも、ぜひ知っておいてほしい、睡眠と成長のお話です。

解説者プロフィール
ぐっすり睡眠博士こと 金子 勝明
東洋羽毛工業株式会社 営業企画課所属
睡眠健康指導士、睡眠環境・寝具指導士の資格を持ち、商品開発、営業企画、睡眠の研究など幅広く手掛けるなんでも系社員!睡眠講座の要請を受け、講師として全国各地を飛び回り、自身睡眠不足になりながらも、日夜睡眠の大切さを訴える。

「寝る子は育つ」は本当か?

睡眠が、レム睡眠とノンレム睡眠で構成されていることは、現在では広く知られています。では、ノンレム睡眠が、さらに4つのステージに分かれていることはご存じでしょうか?
眠りについてノンレム睡眠になってから、さらに一段ずつ眠りが深まっていくのです。その最も深いステージ3~4を「徐波(じょは)睡眠」と呼び、徐波睡眠は入眠から2~3時間の間に多く出現します。
一方、眠っている間に分泌されるホルモンといえば、骨や筋肉の成長に欠かせない成長ホルモン。睡眠の前半に大量に分泌されるのですが、徐波睡眠時は分泌量がさらに増えるのです。つまり、入眠後の2~3時間に深い眠りを確保できると、成長ホルモンもたくさん出るというわけです。「寝る子は育つ」は、迷信ではないのですね!

睡眠経過図

成長ホルモンは多才です

成長ホルモンは、直接的に骨を成長させるだけではありません。肝臓に働きかけて、ソマトメジンCという物質を作り出し、骨を大きく強くするのです。後々の骨粗しょう症の発症を防ぐためにも、骨量が増える成長期に十分な睡眠を取り、成長ホルモンの分泌を促すことが大切です。

成長ホルモンには、免疫力の向上、疲労回復、身体の損傷の修復、脂肪の分解の促進といった働きもほかにも成長ホルモンには、免疫力の向上、疲労回復、身体の損傷の修復、脂肪の分解の促進といった働きもあります。アメリカで行われた調査では、睡眠時間が短かった子供は、調査から5年後のBMI(肥満度測定)が高く、過体重になったそうです。
丈夫な身体を作るだけでなく、肥満を防いだり、疲れを和らげたり、さまざまな作用のある成長ホルモン。もちろん、大人も分泌されますから、しっかり睡眠時間を作りましょう。

脳をつくり、脳を休ませる睡眠

人は一晩のうちに、ノンレム睡眠とレム睡眠を数回繰り返します。繰り返しの周期は90分程度と言われていますが、これには個人差があり、また体調によっても変化します。
レム睡眠が、おもに身体を休めるための睡眠であるのに対して、ノンレム睡眠は脳を休ませるためのものです。脳が非常に小さい爬虫類の睡眠は、筋肉を休めるのが主目的で、レム睡眠とよく似た状態です。人間のように高度に発達した脳を持つ生物は、その機能を休ませるために、ノンレム睡眠が必要になったと言われています。

赤ちゃんの多くはレム睡眠赤ちゃんは、1日のほとんどを眠って過ごしていますが、その多くはレム睡眠です。脳が発育途上の新生児は、レム睡眠によって大脳の発達が促されると考えられています。そして大脳が完成すると、今度は日中働いた脳を休ませるためにノンレム睡眠が増えるのです。

寝る子は記憶力も育つ!?

学習後は眠った方が勉強した内容が記憶されやすい学生時代、試験のために徹夜で勉強した経験をお持ちの方も多いと思います。ところが実際には、学習後は眠った方が勉強した内容が記憶されやすいのです。これは運動技能についても言えることです。
そのメカニズムは、レム睡眠中に脳が記憶情報を整理していると言われてきましたが、近年、ノンレム睡眠中に技能の習得が起こるという報告もされており、解明が待たれます。

では、脳そのものの記憶力を上げることはできるのか?
東北大学の川島隆太教授が興味深い調査をしています。脳には、ものを記憶する際に重要な役割を果たす「海馬」という部分があります。5~18歳の290人の子供を対象に、海馬の大きさと睡眠時間を調べたところ、睡眠時間が長い子供ほど海馬も大きく成長していたのです。成長期にしっかり眠ると、記憶力もアップする!?かもしれませんよ!

寝起きが悪いと心身が不安定に

最後に少し、心の成長と睡眠についても触れておきたいと思います。夜間に塾や稽古ごとに通う子供が多い現代。学年が上がるほどに、就寝時間も遅くなっています。当然、朝はなかなかスッキリと起きられないことに。
富山大学・神川康子教授の研究によると、寝起きが悪い児童ほど忘れ物が多いそうです。寝起きの悪さが注意力を低下させていると考えられています。また生活態度や言葉遣いといったことを叱られる傾向が見られました。中学生・高校生の場合、寝起きの悪い生徒ほどイライラしやすく、また学校の授業への意欲も低いそうです。
どの年代でも共通して言えるのは、寝起きが悪いと心身が不安定になるということ。子供の生活は親の影響も大きいものです。子供の夜更かしの改善には、両親の生活リズムを見直す必要もあると言えそうです。

[参考文献]
日本睡眠学会ホームページ 
富山大学教育学部教授 神川康子「睡眠と心身の健康」
・古賀良彦『睡眠と脳の科学』詳伝社、2014
・内山 真『睡眠のはなし』中公新書、2014
・川島隆太『元気な脳が君たちの未来をひらく』くもん出版、2012
・宮崎総一郎『病気の原因は「眠り」にあった』実業之日本社、2012
・堀 忠雄・白川修一郎監修、日本睡眠改善協議会編『基礎講座睡眠改善学』ゆまに書房、2012
・神山 潤『子供の睡眠外来』中山書店、2011
・櫻井 武『睡眠の科学』講談社、2010
・田中 匡『快眠と不眠のメカニズム』日刊工業新聞社、2007