肩や首のこりほどは実感がわかないかもしれませんが、実はこりやすい「頭」。頭は顔とつながっていますから、頭皮が固くなるとフェイスラインのたるみの原因になります。そこで美容や美髪、リラクゼーション効果による快眠も期待できる、セルフのヘッドマッサージを暮らしに取り入れてみませんか。
「チャンピサージ」とは、ナレンドラ・メータ氏がインドの伝統的なヘッドマッサージを体系づけてまとめたもので、ヒンディー語で「ヘッドマッサージ」を意味する「チャンピ」と、英語の「マッサージ」を掛け合わせた造語です。
インドでは昔から、お母さんが子供の頭をマッサージしてあげるなど、家庭の中でヘッドケアが受け継がれてきました。インドの伝統医学である『アーユルヴェーダ』の古い経典の中でもヘッドマッサージについて書かれていて、古くから行われていたことがわかります。また体には「マルマ」と呼ばれるツボがあり、肉体面だけでなくメンタル面にも影響を与えると考えられていて、マルマに触れることでリラックスやリフレッシュが期待できます。マルマはあまり強く押さない方が良いとされているので、マッサージの時もやさしく触れるようにしてください。
体の中でも、頭は神経の中枢であり、五感が集中している場所です。頭をマッサージすると、頭皮の緊張が緩んでリフトアップや育毛につながります。また血行を促して酸素を行きわたらせると、気分がすっきりし、ストレスが和らいで快眠も期待できます。
体を温かくして呼吸を止めずに、ご自身が気持ちいと感じる範囲で行うことがポイントです。ご紹介しているメニュー通りにやらなければいけないということではないので、回数や行う範囲は感じ方に合わせて調整してみてください。お花や果物などのお好きな香りを感じながら、あるいは足湯をしながら行うのもいいですね。
心地よい眠りを目的にした場合、マッサージの速度をゆっくり目にしてみましょう。おふとんの中で行うのもおすすめです。入浴前に植物オイル(化粧品認可を取得しているもの)を頭皮につけて行うのもいいですね。そのままお風呂に入れば、蒸気で温められてデトックスになります。オイルはシャンプーで流しましょう。月に1回でもいいので試してみてください。
今回のメニューをご家族などにやってあげる場合、1、5の深呼吸と4のブラッシングの組み合わせがおすすめです。リラックスしたい夜はゆっくりブラッシングして、出勤や通学前の朝は少し速めてリズミカルに行ってあげましょう。
人の頭に手を置くという行為自体、あまりやる機会がないと思います。頭に触れてもらうだけで、スキンシップによるリラックス効果が得られます。この時、愛情を持って行うのがポイントです(笑)。慈しみの心を持って行うと、触れる側も触れられる側も愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されると言われています。またオキシトシンは、ストレス軽減に効果があるとも考えられています。
私は頭に触れることの効果をいろいろと検証していますが、お互いに3分間ヘッドタッチケアをしただけで、相手に対する信頼度が増したという実験結果もあります。相手との距離を縮めたい、コミュニケーションを図りたいという時も、頭部に優しく触れることはおすすめです。何より頭は触れやすい場所ですから、ご自身にも親しい方にも、ぜひ試してほしいと思います。
セルフケアは、いっぱいいっぱいになる前に行うのがコツです。ですから特にこりを感じていなくても、例えば今日はちょっとパソコン作業が長かったなと思ったらケアすることが大切です。私自身は、もうクセになっていて(笑)、髪を引っ張る手技などを日常的に取り入れています。
私たちはどうしても外からの影響を受けやすいですが、本当の自分はどうしたいのか、どうあるべきなのか、自分の心と体に問いかける時間にヘッドマッサージを使っていただけるとうれしいです。ちょっと瞑想をするような気分で、照明を暗めにして、頭の緊張が緩んで血液がサラサラ流れていくようなイメージも持って行っていただくのもおすすめです。
瞑想などと言うと、苦手意識を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、心を落ち着かせる時間と考えて、まずは深呼吸だけでも取り入れてみてください。
手が冷たい場合は、手の平をこすり合わせるなどして温めてから、両手を頭頂部にやさしく置きます。
鼻から長く息を吸って、鼻から長くゆっくり吐きながら、3回深呼吸をしましょう。
★頭頂部にはリラクゼーションのツボがあると考えられています。自分自身の内面に目を向けるように、ゆっくりと深呼吸をしましょう。吐く息を長くすることで、心拍がゆっくりとしてきて、心が落ち着いていきます。
側頭筋全体をマッサージしていきます。
人差し指・中指・薬指の第一関節を耳のすぐ上の頭皮に当て、上下に6回程度、ゆっくり大きく動かします。
そのまま少しずつ指の位置を上に移動させ、あと3箇所ほどマッサージします。
この時、こするのではなく、頭皮を動かすのがポイントです。
ご自身の心地よいと思われる箇所を見つけて行ってみましょう。
続けて、前頭筋をマッサージします。
指を額中央の髪の生え際に置き、上下に6回程度、動かします。
そのままあと3箇所、生え際を移動しながら耳に近いところまで行います。
★側頭筋と前頭筋は、表情筋とつながっています。また側頭筋は、咀嚼などによる疲れもたまる場所なので、しっかりほぐしていくことで、リフトアップも期待できます。
こめかみに手の平を当てて、引き上げるようにゆっくり8回程度まわします。
さらに手の平の親指側、下側など、力を入れる場所を変えて行うと感じ方が変わってきます。手の平の親指側4回、下側4回行ってみましょう。
ご自身が心地いいと感じるポイントを探してみてください。
★こめかみにもリラクゼーションのツボがあると考えられています。また、目の疲れなどにもおすすめなので、パソコン作業の後などにもいいでしょう。
5本指で頭全体をやさしく叩いていきます。
両手で一緒に叩いたり、交互に叩いたり、いろいろと試してみてください。
続いて、軽く爪を立てて、額の髪の生え際から後頭部に向かって、左右の手で交互にブラッシングするように、10回程度頭皮をなでていきます。
力を入れすぎないように気をつけましょう。
最後に、もう一度深呼吸をして、リラックスしましょう。
頭頂部に両手を置き、鼻から息を吸って、鼻から長くゆっくり吐きながら、3回深呼吸をします。
- 宮崎踊子さん プロフィール
- チャンピサージ・セラピスト。一般社団法人国際ホリスティック・ヘッドケア協会 理事長、L.C.I.C.I. JAPAN代表。英国IFA認定アロマセラピスト、NPO法人日本アーユルヴェーダ協会顧問。
クリニックやホテル内スポーツクラブ、鍼灸治療院付属サロン等にてアロマセラピーを行った後、1997年に「アロマティックルポ」を設立。サロンワークのほか、看護学校、保健センター、公的機関、一般企業などにてセラピーの講義を行う。その後、ヘッドマッサージの第一人者、ナレンドラ・メータ氏に学ぶため、渡英。現在はL.C.I.C.I. のインド式セラピーの普及に力を注いでいる。著書に『あらゆるストレスを解消するインド式セラピー チャンピサージ入門』(朝日新聞出版)がある。
「一般社団法人国際ホリスティック・ヘッドケア協会」ホームページ:http://holistic.jp
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ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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