コラム
美容コンサルタント美羽Miu
vol. 45「週末の夜ふかしにさようなら」睡眠リズムを無理なく整えるポイント
「平日の疲れを週末でリセットしたい」──そんな思いから、金曜や土曜に夜更かししたり、昼まで寝てしまったりすることはありませんか?じつは、この行動が月曜の朝に不調を招いたり、翌週のコンディションに悪影響を与えたりすることも多いんです。 今回は、週末に乱れがちな睡眠リズムを上手に整えるためのヒントをお届けします。
「週末の夜更かし」が身体に与える悪影響
週末の夜更かしや「寝溜め」と呼ばれる朝寝坊。これは、一時的にはリラックスにつながるかもしれませんが、その代償として、月曜の朝に「なんとなく身体が重い」「頭がぼーっとして起きるのがつらい」といった不調を招くことが多いものです。
その背景には、体内にあるさまざまなリズムの乱れがあります。私たちの身体では、睡眠や体温、ホルモン、自律神経の働きなど、いくつもの生理的な機能が約24時間周期のリズム(=概日リズム)にしたがって連動し、日中に元気に活動できるよう調整されています。しかし、「平日は早起きしているのに、週末だけ朝遅くまで寝る」といった行動をすると、これらのリズムのタイミングがずれ、体内のリズム全体のバランスが崩れてしまうことがあります。そうした“内部の時差”のような状態が、月曜の朝の不調を引き起こす原因のひとつと考えられています。
こうしたズレは「社会的時差ボケ」と呼ばれ、海外旅行などで起きる時差ボケのような状態を引き起こします。社会的時差ボケが習慣化すると、睡眠の質が慢性的に低下し、生活習慣病やメンタルの不調といった長期的なリスクにもつながるため、注意が必要です。
「社会的時差ボケ」がもたらす、月曜の不調と健康リスク
「社会的時差ボケ」とは、いわば「生活習慣による時差ボケ」のこと。つまり、休日と平日の生活リズムの差があることで、まるで実際に時差があるかのように身体のリズムにズレが生じてしまう現象です。
とくに金曜や土曜の夜に夜更かしをして、翌朝に遅くまで寝るような過ごし方をする方は多いのですが、これをすると体内のリズムが後ろにズレてしまい、月曜になってもそのズレを引きずってしまいます。その結果、週の始まりに「なんとなく眠い」「頭がすっきりしない」「気分が落ち着かない」といった不調が出やすくなります。
平日に蓄積した睡眠不足を、週末にまとめて眠って取り戻そうとする人も多いですが、体が一時的に楽になることはあっても、それだけでは十分とはいえません。さらに、夜更かしや朝寝坊でリズムが乱れてしまうと、かえって翌週の不調につながることもあります。週末だけのことと軽く見ず、睡眠リズムを整えることを意識しましょう。
無理なく整える、週末の睡眠リズムのコツ
「平日の睡眠時間を見直すこと」が第一歩
週末の夜更かしや朝寝坊は、平日の睡眠不足が原因のことも。まずは平日、ほんの5〜10分でも早く寝る習慣をつけるだけで、週末のリズムの乱れを防ぎやすくなります。
週末の朝寝坊は“夜更かしセット”にしない
平日の睡眠時間を見直しても疲れが残る場合は、週末に朝ゆっくり眠るのもOK。ただし、夜更かしとセットになると体内リズムが乱れやすくなります。起きるのが遅くなる日は、むしろ平日より少し早めに寝て、睡眠中央時刻がズレすぎないようにしましょう。
昼寝で疲れをとるなら、「短時間&早め」を厳守
のんびりしたお休みの日には、昼間に眠気を感じることもあるでしょう。昼寝をとりいれることはOKですが、長い昼寝や遅い時間の昼寝をしてしまうと、夜の眠りにくさの原因となってしまいます。週末も平日も、昼寝は15〜20分ほどにとどめ、15時までに済ませましょう。
ブルーライト対策で、自然な眠気を促す
寝る前のスマホやタブレットの使用も、眠りに影響を与える要因のひとつです。こうしたデバイスの画面から出るブルーライトに加え、部屋の照明が明るすぎることも、脳を覚醒させて眠気を遠ざけてしまいます。就寝の1時間前からは光を控えめにし、読書や音楽、ストレッチなどでリラックスする時間をとりましょう。
食事と飲酒のタイミングも大切
週末の夜はゆっくり食事をとる方や、お酒を楽しむ方も多いと思いますが、遅い時間の夕食や飲酒も、睡眠の質を下げる要因となります。夕食は、就寝2〜3時間前までに済ませるよう意識しましょう。また、アルコールは睡眠の質を低下させるため、飲酒は夕食時までとし、寝酒は避けましょう。
週末は「気をゆるめる」と「整える」を両立させよう
週末は、頑張った自分をねぎらいたい大切な時間です。ただ、「ゆるめる時間」ばかりが重なると、知らずしらずのうちに睡眠リズムを乱してしまいます。
リラックスと生活習慣のバランスをとるには、睡眠のリズムをできるだけ崩さないこと。そして、夜更かしを我慢するというよりも、「早寝すれば、朝気持ちよく起きられて、日中を充実させることができる」と意識するのがおすすめです。結果的に、快適な週明けを迎えやすくなります。
睡眠リズムを守ることは、週明けの自分に“ちょっとした贈り物”をするようなものと考えてみましょう。自分らしい週末の整え方を見つけてくださいね。
【監修】東京ベイ・浦安市川医療センター CEO / 医師 神山 潤 先生
睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。
旭川医科大学、UCLAでは睡眠の基礎研究に従事。米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。
【主な著書】
・朝起きられない人のねむり学 一日24時間の賢い使い方
・眠りは脳と心の栄養! 睡眠がよくわかる事典 早起き・早寝で元気になれる
・睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 (講談社+α新書)
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