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東洋羽毛スペシャリストインタビューご活 の有名人
の方に睡眠と健康、ライフスタイルについてお聞きしました。

第3回 前編 遠藤 拓郎 さん (医学博士 スリープクリニック院長)

今回のゲストは、世界一の「睡眠の専門医」として、テレビに雑誌にと引っ張りだこの遠藤拓郎先生。
近著の「4時間半熟睡法」は、発売から間もなく7万部を超えるベストセラーとなるなど、不眠や睡眠不足に悩む方々から絶大な信頼を集めています。

そこで今回は遠藤先生を直撃し、「My life, My sleeping」 の読者の皆さまだけに、健康・美容に効果的な、とっておきの快眠法を教えていただきました!
(取材:2009.7)

遠藤 拓郎 さん (医学博士 スリープクリニック院長)

眠りのメカニズムと、効果的な不眠対策

― そもそも、睡眠の役割って何なのでしょうか?

 
睡眠は、たんに身体の疲れをとるだけではなく、心身のメンテナンスを行って明日の活力を養う役割を担っています。

分かりやすくたとえると、睡眠は、飛行機の”整備”のようなものですね。飛行機がフライトを終えて飛行場に戻ってくると、整備士さんたちは明日のフライトに備えて丹念にエンジンやタイヤ、ブレーキなどのメンテナンスを行い、明日のフライトに備えるでしょう?

人間の身体もそれと同じで、睡眠をとることによって心身のメンテナンスを行い、明日も元気に活動できるよう機能回復を図るのです。

―睡眠をとっている間、身体にどんな変化が起こっているのですか?

 
人間の身体は、寝ている間にホルモンを分泌します。
ひとつは、「美容・健康」に大きくかかわってくる”成長ホルモン”。もうひとつは、「ダイエット」に欠かせない”コルチゾール”というホルモンです。
まず、”成長ホルモン”は、子どもが成長していく過程で多く分泌されるホルモンです。しかし、大人にとっても、「美容と健康」を確保するために欠かせないホルモンなのです。たとえば、日焼けをすると一時的に肌が褐色になりますが、いつの間にか元の肌に戻っているでしょう? それは、眠っている間に分泌された成長ホルモンが、古くなった細胞を新しく生まれ変わらせているからなのです。

もうひとつの”コルチゾール”というホルモンは、眠っている間に体内の脂肪やグリコーゲン(ブドウ糖の固まり)を燃やしてエネルギーに変える働きをしています。つまり、一ミリも身体を動かさないでダイエットを行っているようなものですね。朝起きたばかりでも身体を動かすことができるのは、コルチゾールが眠っている間にエネルギーを作り出してくれているおかげなのですよ。

ホルモンが分泌される時間帯 ※グラフ:精神保健福祉協会「やさしい睡眠ハンドブック」より

― だから睡眠不足や不眠症になると、身体のメンテナンスが不十分になって体調を崩してしまうのですね。

 
その通りです。
睡眠にはサイクルがあり、夢を見る「レム睡眠」と、ほとんど夢を見ない「ノンレム睡眠」とがワンセットになって約90分周期で繰り返されます。

レム睡眠」の役割は、昼閒に経験した出来事を記憶の戸棚に整理し、心のメンテナンスを行うことです。いっぽう「ノンレム睡眠」の役割は、脳をゆっくり休ませることと、健康・美肌づくりに欠かせない成長ホルモンを分泌し、身体機能の成長や回復をうながすことです。

ですが、睡眠不足や不眠症、または不規則な生活を続けていると、こうした働きが不十分になってしまうため、心身ともに不調になってしまうのです。

また、たんに「眠れば良い」というものではなく、質の良い睡眠であることも重要です。たとえば、成長ホルモンは眠ってから3時間ほど経過した「ノンレム睡眠」のときに多く分泌されるのですが、睡眠の質が良くないと分泌されにくいことが分かっています。ですからまずは、寝付きを良くし、さらには睡眠の質まで上げていくことが大切です。

―では、「なかなか寝付けない……」という場合に効果的な対処方法を教えてください。

 
まず、人間の身体は、”体温”が急激に下がると眠くなるようにできています。
夜になると眠くなるのは、「そろそろ眠る時間だよ」と脳から指令が出ると、体温が1度ほど下がり、体内から”メラトニン”という眠りを誘うホルモンが分泌されるからです。

つまり、「なかなか寝付けない……」という方は、人為的に体温を下げる工夫を行うと良いのです。
たとえば、眠る3時間くらい前に「熱いものや辛いもの」を食べると、一時的に体温は上昇し、その後しばらくして下降していくため、眠りを誘いやすくなります。

体温とメラトニンの変化  ※グラフ:精神保健福祉協会「やさしい睡眠ハンドブック」よりさらに食後は、ウォーキングやストレッチ、ヨガなどをして汗をかき、その後入浴するのが効果的です。ストレッチや入浴を行うことで、体温はグンと上昇しますが、約2時間後には体温が下がり始めますから、これが眠りにつくチャンスです。

そのほか、眠りを誘う”メラトニン”は、サプリメントとして外から摂取することもできるので、どうしても寝付けないときには摂取してみるのも良いでしょう。

【プロフィール】 医学博士。睡眠医療認定医師、精神保健指定医/遠藤拓郎さん
東京慈恵会医科大学卒業、同大学院医学研究科修了、スタンフォード大学、チューリッヒ大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。東京慈恵会医科大学助手、北海道大学医学部講師を経て、「スリープクリニック調布」および「スリープクリニック銀座」を開設、院長を務める。
主な著書:『4時間半熟睡法』(フォレスト出版)、『6分半で眠れる!快眠セラピーCDブック』(フォレスト出版)

スリープクリニック調布・銀座 http://www.sleepmedicine-tokyo.com/index