脳幹は脳の中心部分にあり、自律神経を整える働きがあります。脳幹ヨガは、頸椎の歪みを改善して脳幹の働きを活性化することで、首や肩のこり、片頭痛の緩和が期待できます。毎日寝る前に行うことで、脳の疲れを癒し、睡眠の質の向上にもつながります。さらに、顔のむくみが改善して寝起きの顔がすっきりしますので、ぜひ続けてみてください。
※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
脳幹は、いわゆる脳の一部で、首の骨である頸椎の上2つ、第1頸椎と第2頸椎に潜り込むように位置しています。文字通り脳の幹となっている部分で、自律神経の働きのコントロールや、ホルモンの分泌などにも関与しています。
脳幹の働きが悪くなると、自律神経の働きが乱れて、未病の状態になり様々な体の不調につながります。例えば、病気というほどではないけれど、だるい、あるいは疲れやすいといった状態です。
脳幹ヨガは、自己免疫を高めて自分で自分の心身を整えることを目的につくられました。山口県にある海風診療所の院長である沼田光生先生は脳神経外科医ですが、医者に頼る前に、まずは自分の身体を自分で整えることを大切にされており、予防医療にも力を入れていらっしゃいます。その思いに、全日本ヨーガセラピスト協会の理事長山谷夏未先生が共感されて、沼田先生の協力のもと、誰でも簡単にできる脳幹ヨガが考案されました。
脳幹ヨガの一番のメリットは、自律神経の働きを整えることです。不眠の原因のひとつに自律神経の乱れが挙げられますが、脳幹ヨガを行うことで眠りの質の向上につながります。新陳代謝が良くなるので、お肌がキレイになる、むくみが改善されるといったことも期待できます。またリラックスして筋肉がほぐれるので、肩こりなどの改善にもつながります。
身体は筋肉や関節・骨などがすべてつながっていますから、身体を動かすことで、その刺激が様々な部分に伝わっていきます。例えば口を大きく開けることで、あごの骨からつながっている筋肉が動き、頭がい骨に刺激が伝わって脳幹にも届きます。目に見えるわけではないので、実感しにくいかもしれませんが、動きは連動しているのです。
脳幹ヨガは、リラックスした状態で行うのが一番効果的なので、お風呂上がりの体がほぐれている時がおすすめです。アロマなどをたいて、落ち着ける環境の中で行っていただくのもいいですね。私はラベンダーやベルガモットが、リラックス効果があってとても好きな香りです。
すべてのメニューを行うのが難しい場合は、ご自身が一番心地いいと感じる、リラックスできるメニューを選んでみてください。動きに左右差がある場合、やりにくい方をたくさんやれば、より効果的というわけではありません。むしろ心地いいと感じる方を重点的に行うことで、やりにくいと感じている方も、いつの間にかできるようになってくる、というのがこのメソッドのひとつの特徴です。ですので、がんばり過ぎずに、まずはご自身が気持ちよくできることから始めていただければと思います。
私は現在、おもにリラックス系のヨガクラスを担当していますが、いらっしゃる方は30~40代の女性が中心です。ダイエットが目的の方や、肩こり・腰痛などの不調を改善されたい方、身体が硬いので柔らかくしたい方など、様々な理由で通われています。みなさん、実際にやってみると、身体がほぐれてリラックスできたと言ってくださいます。
私自身は、普段肩周りに力が入ってしまったり緊張しやすかったりするのですが、脳幹ヨガを行うことで、肩周りがほぐれてリラックスできます。一日の終わりに行うことで、リラックスして眠ることができるなと感じています。
今回は首こりや肩こりのケアをおもな目的としたメニューですが、そういったお悩みをお持ちの方だけでなく、お仕事などの疲れやストレスを感じていらっしゃる方にも、ぜひおすすめしたいですね。
最初に、今の首の状態を確認しましょう。
あぐらなど楽な姿勢で座ります。力を抜いてゆっくり首を回します。
左右両方に回してみて、回しにくいところはありませんか。
続けて、頭を横に捻ります。こちらも左右行って、左右差や首が回る範囲を確認しておきましょう。
★ 頸椎は7つの骨で構成されています。今回のエクササイズは、その上の2つ、第1頸椎と第2頸椎を意識しながら行います。
1.ほぐし
まずは肩甲骨周りをほぐしていきます。
あぐらで座り、両手を胸の前で絡めます。
ひと息吸って、吐きながら手を前、背中を後ろ。身体の背中側を丸め込むようにしながら、肩甲骨の間を開いていきます。
次の吸う息でもう一度引き寄せます。
息を吐いて手を下。
吸って手を上。背骨を長く伸ばすようにして、心地よく伸びます。
吐いて、ふわりと開放しましょう。
2.やさしい鳩のポーズ
次に、やさしい鳩のポーズで背骨を調整していきます。
お尻を左側に置いて、横座りの姿勢で座ります。片方のお尻が浮いてしまっても大丈夫なので、土台が安定する位置で座りましょう。
手を外側から開き、両手を絡めたら頭の後ろで組みます。
ひと息吐いて、息を吸って、吐く息で身体を右側に倒します。胸を上に向かって開いていきましょう。
吸いながらセンターに戻ります。
一度吐いてふーっと背中を丸くします。
身体を起こして、手をほどきましょう。
足を組み直し、反対側も同様に行いましょう。
★ 頸椎につながる背骨全体を動かすことで、中枢神経に刺激を与え脳幹の活性化につながります。
★ 呼吸を入れた時に、胸の開きと体側の伸びがつくれればOKです。
3.肩ほぐし
再びあぐらで座りましょう。肩をほぐしていきます。
右手を左肩に乗せます。左手は遠くに伸ばしましょう。楽なところで大丈夫です。
この状態から左手を握り、ひじを曲げて脇を締めます。
腕の重みを使って腕を前後に振り、肩から首までほぐしていきましょう。 8回ほど繰り返します。
続いて腕を左右に振ります。 8回ほど繰り返します。
動きを止めて、もう一度手を遠くに伸ばしましょう。
視線を右に向けて、口を大きく開けます。 あくびをするイメージで大きく開けましょう。 ゆっくり口を閉じたら、もう一度大きく開けます。 のどの奥も大きく開くイメージです。
ゆっくり口を閉じて、顔を正面に戻します。
手をほどいて、肩を前から回します。
一連の動きを反対も同様に行いましょう。
★ 口を大きく開けることで、頭がい骨に刺激が伝わり、脳幹が活性されます。
★ 実際にあくびが出ると、より緩んでいきます。
4.首ほぐし
次は、首周りをほぐします。
正面を向いて、頭が天井に引っ張られているようなイメージで背骨を伸ばします。
そのまま口を大きく開きます。耳の下がくぼむくらい、大きく開けましょう。
そのまま頭をゆっくり左右に揺らします。
第1頸椎と第2頸椎に意識を向けながら揺らしましょう。
8回ほど繰り返します。
次に両手を胸の前で重ねます。
息を吐きながら少し前にかがむように力を抜いていきます。
吸いながら、あごを上げて口を大きく開きます。のどの奥から開きましょう。
5秒キープします。
首がつまる方は、あごを引きながら行います。続けて、舌を天井に突き出し、さらに伸びを深めましょう。首のシワを伸ばすイメージです。 5秒キープしたら、顔を正面に戻します。
5.顔ヨガ:ライオンのポーズ
次は、顔ヨガのライオンのポーズです。
両手を胸の前で重ねたら、鼻から息を吸います。
口を大きく開いて舌をあごに届くくらい思い切り出しながら、息をハーッと一気に吐き出します。 この時、目はみけんに向け、舌は根元からしっかり出すことがポイントです。
吐き切ったら元に戻して、あと2回繰り返します。
★ 舌を大きく引き出す動きが脳幹を刺激し、アンチエイジングにもつながるとされています。
6.首回し
次は、頸椎を動かして、首の回りを良くしていきましょう。
両手を首元に添えて、背骨を伸ばすように首を上に引き上げます。
そのまま、頭がい骨と頸椎の境目を動かすイメージで、首を回していきます。 第1頸椎と第2頸椎だけを動かすイメージなので、大きく動かす必要ありません。
左右5回ずつ回しましょう。仕上げに、手をグーに握り、後頭部のあたりから首元をトントンと、5秒ほど優しく刺激しましょう。
口元は力を抜いて、叩く振動を顔全体で感じていきましょう。この刺激が脳幹に伝わり、脳幹を活性化します。腕を下ろしたら、肩をゆっくり前から回します。
最後に、最初と同じように首の動きをチェックしてみましょう。 息を吐いてゆっくり首を前に倒したら、吸いながら左右に首を回していきます。 続けて、頭を左右に捻っていきましょう。 首の動きがスムーズになったのではないでしょうか。
- 小杉山 幸恵さん プロフィール
- ヨガインストラクター。健康大国所属。医療事務員として病院勤務をしているなかで、「何か新しいことを始めたい」「運動不足を解消したい」と思い、以前より興味のあったホットヨガを始める。レッスン後は身体だけではなく、心までもスッキリしていることに気付いていき、次第にヨガの魅力にはまり、もっとヨガのことを知りたいとインストラクターになることを決意。現在は都内近郊を中心としたヨガクラスでレッスンを担当している。
健康大国ホームページ
全日本ヨーガセラピスト協会
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ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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