「断捨離」という言葉の発案者であるやましたひでこさん。
断捨離とは、今までのお片づけ術とは全く違う発想による、「新・お片づけ術」なのだとか。
今回は断捨離における寝室のあり方について教えてもらいました。 (取材:2012.3)
寝室には「寝ることに必要のないものは置かない」というのが理想ですね。寝ているときって、体が一番リラックスした状態ですよね。だから寝室はその条件が整っているかどうかがカギになります。
これはセミナーでもよく話すことですが、寝室が4畳半で、そこにタンスが二つあって、タンスの上には段ボールが天井までぎっしり積んである場所で、安心して寝られますか?
そんな圧迫感のある場所で質のいい睡眠が確保されるわけがありませんね。
やっぱり寝室はできるだけモノがない空間がのぞましいですよね。でも日本の住宅事情では現実的に難しいことだと思います。だったら、少しでも睡眠に関係のないモノを減らしていく、というところから始めてみましょう。理想形は無理でも、前よりは良くしていく。少しずつモノを減らしていくのです。一度にやろうと思わなくていいんです。タンスの上に段ボールが10個あったら、まず1個減らしてみる。9個で何の問題もなかった。じゃあもう1個減らしてみよう。そういうふうに前の状態よりも良くなった、そのときの気持ち良さを覚えておいて、こっちのほうが気分がいいかな、じゃあまたもうひとつモノを減らしてみよう、それを繰り返し、繰り返しやっていくのです。
断捨離とはその言葉通り「断」=断つ、「捨」=捨てる、「離」=離れる、ということです。
お片づけ術ではありますが、焦点を当てているところが今までの片づけ・収納術とは違うのです。今までの片づけは、モノに焦点をあてていました。けれど「断捨離」は空間をクリエイトする、自分にとっての空間づくりをするという点に焦点をあてています。
今までの片づけは家の中にあるモノすべてを収納グッズなどを駆使して、いかにうまく整理・収納していくかという発想でした。けれど今や、家の中はモノであふれている。それをすべて片づけるには時間も必要だし、収納グッズやお掃除グッズを揃えるお金も必要だし、何よりお片づけをするエネルギーも必要です。でもはたしてそこまでやって取っておくほど、そのモノに価値はあるのでしょうか?今そこにあるモノと私の関係は良好なのでしょうか? それをまず考えて、検証していくのが「断捨離」の基本的な考え方です。
そういう私も実は以前は片付けベタだったのです。私はヨガの指導員をしていたのですが、ヨガの「断行・捨行・離行」という考え方を何とか片づけ術に応用できないかとずっと思っていました。ちょうどその頃、収納ブームでテレビでもさかんに収納番組をやっていました。それが面白くて、私も真似してみたんです。でうまくいかなくてすぐに挫折しました。これは特殊な才能がいるのではないかと(笑)。自分には無理だと思ったんです。
そんなある日、ヨガの先輩と「断行・捨行・離行」の話しをしていたときに「タンスの中だって、着ない服でギチギチだもの」とおっしゃった。そのときピンときたのです。つまり服はいっぱいあるのに、今着たい服がない。それはどういうことかというと、「高かった」とか「やせればまた着られらるかも」「もったいない」といった気持がその服に残っているから捨てられないのでは? でも現実には着ていない服は、もういらない服なのでは?
いらないのに、捨てられない。それはなぜかというと、その服に執着があるからです。だったら、その執着を一つずつ手放していけば片付けられるのではないかと気がつき、そこから私のお片づけの道が始まったのです。
「いらないものを捨てる」といっても、これが結構、大変。でもそれは当たり前なのです。難しいから取捨選択していくわけで、トレーニングが必要なのです。
「他の人はできるのに、なぜ私はできないんだろう」と落ち込む必要は全然ありません。「断捨離」はそこからスタートなのです。だって、トレーニングしていないのだから、できなくて当たり前なのですから。そこでまず始めに、
- 1. 片づけられないのは、モノの量が多いだけ。自分を責める必要はありません。 「片付けられない」という言葉は、自分を責めている言葉です。家事労働というのは誰もができて当たり前、それができない自分はダメな人間…と女性は自分を責めます。でもそうではなくて、「片付けられないんじゃなくて、モノが多いから片づかない」という発想にします。モノが多すぎるだけ、モノの量の問題だということがわかります。
- 2. 本当にもったいないものは?モノを惜しむ以上に、自分の時間・空間・エネルギーを大切にしていく。 なぜモノを捨てられないのかと言うと、それはモノに対する「執着」。その執着との戦いです。高いお金を出して買ったモノ、そしてまだ使えるモノ、だから「もったいない」。これも執着心の正当化です。「もったいない」そして「いつか必要になるときが来るかもしれない」、だから取っておく。でも今の私が必要としていないモノのために時間をかけて空間(収納する場所)を作り、片付けにエネルギーを費やす。そのほうがよっぽどもったいなくないですか? 自分の人生に対して、もったいないことをしていませんか? その見極めをしていくのが2番目の作業です。
これを繰り返しやっていくのが「断捨離」の考え方です。少しずつ、前で進んでいきませんか?
- 【プロフィール】 やましたひでこ/クラター・コンサルタント
東京都出身、石川県在住。大学在学中に入門したヨガ道場で心の執着を手放す行法哲学「断行・捨行・離行」に出会う。この行法を日常の片付け術に落としこみ、片付け術「断捨離」として提唱。2001年よりクラター・コンサルタントとして「断捨離セミナー」を日本各地で行っている。最初は主婦層が多かったセミナーも、現在は年齢・職業を問わず幅広い層から支持されている。著書にベストセラー『新・片付け術 断捨離』『新・生き方術 俯瞰力』(ともにマガジンハウス刊)『ようこそ断捨離へ』(宝島社刊)他、多数。
◆やましたひでこ公式ブログ
「断捨離」~断捨離で日々是ごきげんに生きる知恵~
http://ameblo.jp/danshariblog/
◆やましたひでこ公式サイト
「断捨離」~日々是ごきげん 今からここからスタート~
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