今回のゲストは、美肌師の佐伯チズ先生。
48年にわたり、美容の世界で活躍されてきた方です。
「美容の革命を起こした」とも言われる佐伯先生。
会社を定年退職してなお、第一線で活躍なさっています。
そのバイタリティはどこに?
佐伯先生がずっと言い続けてこられた美の本質、そして先生ご自身のライフスタイルについて語っていただきました。
(取材:2011.6)
まず「きれいになること」をみなさんはどういうふうにとらえていらっしゃるのでしょうか。
ほとんどの方が高い化粧品を揃えて、それを使うことだと思っているのでは?
みなさんは肌に化粧品をつけることばかり考えているけれど、私の考えはその反対。引き算の美容法です。みなさん、よけいなものをつけすぎ。それよりまず肌についているメイクをきちんととりなさい、と言いたいですね。
化粧品に頼ってどうするの? 化粧品だけがあなたをきれいにしてくれるわけじゃないのよ。それよりあなたの心の中をきれいにしないと絶対にきれいになんかなれないわよ。内面の美しさや品格などが外見ににじみでてくるのですから。
女性として生まれてきたからには、みんなきれいにならなきゃ損よって伝えているの。それには自分のお肌をもっと大事にして欲しいと思います。
みなさんは、日本女性の肌は、外国人からどれだけうらやましがられるか知ってますか?
「陶器のようだ」とか「たまごのようにツルツル」とか言われるんです。
それなのに何のお手入れもしないでガンガン焼いたり、お金かけて必要のないものまでお肌につけて、間違った手入れをしているという残念なこともあります。
私はよく「なぜそんなにきれいな肌なんですか」って言われるけど、中学1年生のときにオードリーヘップバーンに出会って、あんな女性になりたい、女性はきれいにならないと絶対に損だと思って、それから太陽にあたることをやめたのです。以来、いっさい日焼けするようなことはしていません。
少し、極端に聞こえるかもしれないけど、きれいになって得をするのは自分、汚くなって損をするのも自分なんです。
最初に入った会社がゲランという、スキンケアとメイクアップのメーカーだったんですが、そこでいろんなものを見聞きして、たくさん勉強もしてきました。そこで化粧品に頼るのではなく、化粧品をどう使ったらきれいになれるかということ自分なりに考えてきました。
たとえば化粧水をただ肌につけたって蒸発してしまう。じゃあどうしようと考えて、手でつける方法、次にコットンでたたく方法…と試して、最後に「ローションパック」を思いついて、それを何十年も続けてきたんです。きれいになりたかったら自分で考えることが大切よ。
何より食べることも大事です。きれいになるにはきちんと食べることです。いい加減な食生活をしていて、きれいになれるわけがありません。
日本にはすばらしい伝統食があります。ごはんにお味噌汁におつけもの、旬の野菜など。発酵食品は最高ですよ。お茶も体にいいですね。そしてお水。体の老廃物を出すためにも、お水をたくさんとりましょう。
どれがいいかわからなければ、使ってみたい化粧品メーカーのコーナーへ行き「私は肌がこういう状態なんですが、試させてください」と言って、実際に肌につけてみて、感触や伸び、浸透力などを確かめてみるのです。
使ってみたいと思ったら「サンプルください」っていただいてくればいいでしょう。そして、その化粧品パンフレットももらって、そのときに担当してくれた方の名前を書いてもらいうといいと思いますよ。サンプルを数日使ってみて、「いいかも」と思ったら後日担当の人を訪ねていき、それから買えばいいのです。
食品だって、初めてのものは試食するじゃない。試してみて、おいしいと思えば買うでしょ?化粧品だって同じ。お肌の食べ物。使ってみて、不安だったらまた違うメーカーの商品を試してみればいいのです。
みなさん、トラブルを化粧品のせいにするけど、トラブルは体の中からの信号だと思って欲しいの。
ピリピリ、ヒリヒリするというのは、前の日に太陽に当たったとか、汗をかいたとか、何か原因が必ずあるはず。前日に食べた物が原因かもしれない。だからまず前日に何をしたか、考えてみて。
次に、対処法としてまず水できちんと顔を洗って、次に冷やします。濡れタオルでいいので、冷やしてあげる。ある程度治まったらローションパックをするとか、あるいはオロナインのような軟膏を水で薄めてつけておけばいいのです。オロナインって言うとびっくりされるけど、その程度で大丈夫。もちろん、皮膚科に行かなければいけないこともあるのできちんとお肌をみましょうね。
だいたいみなさん、毎日洗い過ぎだし、つけ過ぎだし、こすり過ぎ。それで肌から自然に出てきている水分と油分のバランスを崩してしまっているのです。たまには「うなはたけチェック」をしてみて。ぬるま湯で洗ったあとに何もつけないで、何時間後に水分や油分が出てくるか、チェックしてみるといいですよ。それによって自分は今何が必要なのか、油分が必要なのか、水分が必要なのかがわかってきます。鏡を見て、自分の肌をもっとよく観察しましょう。
私は長年化粧品を扱ってきただけに、選ぶにも、使うにも、ちゃんと訳があるということがわかっています。たとえば今日はずっと外にいると思えば日焼け止めをしっかり塗って行こうとか、乾燥するから保湿をたっぷりしておこうとか。そういうことを考えて、肌を大切に思って毎日継続していくことが大事なのです。そしてきちんと食べる、きちんと寝る、水もちゃんと飲む、全部意識して、気をつけて毎日を過ごすことが大切なんじゃないかしら。
佐伯先生が提唱する美肌の5原則
- う るおい(潤い) ・・・ 両頬に手のひらが張り付きますか?
- な めらかさ(滑らかさ) ・・・ 額と鼻にほどよい皮脂はありますか?
- は り(張り) ・・・ 肌を外側に軽く引っ張ったとき、小じわが目立ちますか?
- た だんりょく(弾力) ・・・ 頬を指で分厚くつまめますか?つまむと痛いですか?
- け けっしょく(血色) ・・・ 目頭とこめかみの間を指先で押さえると温もりを感じますか?
- 【プロフィール】 佐伯チズ/美肌師
- 1943年生まれ。2003年、外資系化粧品会社を定年退職後、「ひとりでも多くの女性をきれいにしてさしあげたい」という思いから、エステティックサロン「サロンドール マ・ボーテ」を開業。また美容理念と佐伯式美容理論を提供する場、「佐伯式美肌塾チャモロジースクール」を開設。2008年には念願の銀座にてオープン。著書も多数あり、これまで出版した書籍は累計400万部を突破。テレビでも「知りたがり!」(フジテレビ)、「ちちんぷいぷい」(毎日放送)、「チズ×マチャミのキレイの台所」(テレビ東京系列)、などでコメンテーターとして活躍中。
今年の4月には「全てのキレイになりたい人へ佐伯チズの美と食に関する想いと知恵」から Webマガジン『美肌茶房』が誕生しました。
佐伯チズオフィシャルサイトから御覧頂けます。