美容や健康に関心のある女性たちから、いま最も注目を集めているエクササイズ「アウェークニング」。
あのマイケル・ジャクソンのワールドツアーに女性ダンサーとして初めて参加し、『Newsweek』誌の2007年度版「世界が尊敬する日本人100」に選出されたアウェークニング考案者のユーコ・スミダ・ジャクソンさんに、アウェークニングの魅力について教えてもらいました。
(取材:2010.4)
今年、マイケル・ジャクソンのツアーの模様に追ったドキュメンタリー映画『THIS IS IT』がヒットしましたが、ユーコさんは初の女性ダンサーとしてマイケルのツアーに参加していますよね?
私は1992年から93年にかけてのワールドツアー「Dangerous Tour」に参加させていただいたんですが、オーディションは『THIS IS IT』と同じような感じでした。
大きなダンススタジオに大勢集められて、そこからどんどんカットされていく。最終的に絞り込んだ人をマイケルがチェックして決めていましたね。
それまでマイケルのツアーでは女性ダンサーを使ったことがなかったので、制作する側もどこまで私をフィーチャーするかとか、男性ダンサーの中にどう混じりこませるかという迷いがあったようです。私自身、「The Way You Make Me Feel」というマイケルとデュエットで踊る曲のときに、どう「女性」の部分を出すのかですごく悩みました。初めてのことでみんなも答えられないし、難しいポジションでしたね。
マイケルに聞きそびれてしまったので、彼が私をどう評価してくれていたのかはわからないんですが、「THIS IS IT」ツアーのオーディションで選ばれた黒人女性ダンサーの方が、私によく似ているらしいんですね。間接的だから本当かわからないけど、振り付け師の方から「ユーコのイメージがマイケルに強く残っているからじゃないか」と言われたのが、すごく嬉しかったです。
世界で活躍するトップダンサーから、アウェークニング考案者へ。
そのきっかけとなった出来事を教えてください。
私はダンサー時代にケガがすごく多かったんです。ダンスをやればやるほど、靭帯を伸ばしちゃったり、脱臼や骨折をしたり。
ケガをすると時間のロスもあるし、精神的なダメージもある。どうにかケガをしないようになりたいなという気持ちと、ダンサーとして自分の目指すところに近づきたいという気持ちがあって、その両方を満たせるエクササイズを探していたんです。
それ以前にも、ヨガや太極拳、ブラジルの格闘技として知られるカポエイラなど、自分でいいなと思ったエクササイズは行っていたんですね。その中から自分のために必要なエクササイズの形がどんどん固まってきて、ケガもしなくなってきた。
ところが結婚と出産でダンスを一時やめて、出産後にまた戻ったら、ぎっくり腰になることが多くなって。若いときには、おきなかったんですけどね。ぎっくり腰を克服するために、また新たなエクササイズを探して色々な要素を取り入れていった結果、自分のトータルなエクササイズやコンディション作りとしてのアウェークニングが出来上がりました。
「アウェークニング」とはどんなエクササイズなのでしょうか。
アウェーク=目覚める、という意味なのですが、私が目指すのは、自分の中の眠っている部分を目覚めさせて活性化させるというもの。
「動」「静」「脱力」の動きでワンセットになっているのですが、最初にウォーミングアップしてから、音楽に合わせてちょっとアップテンポに動く「動」を行います。それで体温と代謝をあげていく。
体が温まったところで「静」の動作。ヨガ、ストレッチングやバレエ、負傷兵のリハビリのために開発されたピラティスなど、色んな要素を取り入れて、柔軟を行ったり、骨格や筋肉を矯正していきます。
最後はリラクゼーションで「脱力」の時間を取るんですが、脱力で力が抜けたところに少し力を加えてあげることで、また体も丁度いい感じに目覚めます。それがワンセットで、1時間半ぐらいですね。
肩こりや頭痛、不眠など、体の不調に効くようなエクササイズを教えてください。
アウェークニングには、エクササイズを部位的に絞って家でもできるようにした、5分ぐらいの簡単なバージョンもあります。
例えば、頭蓋骨のズレは頭痛などにも繋がりますから、床に横たわって頭で左右に床を押すように頭蓋骨のズレを整えるといいんですよ。
あとは深い眠りのために、体の軸となる体幹を使った呼吸を行うといいですね。一日の疲れを癒してくれるので、寝る前に行うだけで眠りの深さが違ってきます。ベットに入って目を瞑って、細くて長ーいストローをイメージするんです。それを使って遠くから息を吸って、遠くに吐き出す。呼吸に意識を向けていると、すっと眠ってしまう感じです。
ちょっと下世話な話なんですが、アウェークニングをやっているとクラスの途中でトイレに駆け込む人がいるんです。血液や体液のめぐりが良くなるので、冷え性や肩こりなどにも効くという声をよく聞きます。閉経していた50代の受講生から、生理が来たといわれたときは、本当にびっくりしました。
アウェークニングをやると、無駄なものが落ちて行くんですよね。無駄な力や無駄なお肉。必要じゃない物が落ちていく。私自身も、ダンサー時代よりは今のほうが断然体も心もバランスが良くなっていると思います。
ダンス以外のリラックス法はありますか?
みんなが寝静まったところで、好きな音楽をかけながら横になってゆっくり呼吸します。楽しいことを考えることもあれば、何も考えないようにするときもありますね。あとは天気がいい日には、太陽の陽が当たるカフェでひとりお茶をしたり。
いつも寝る前には、リラックスできるラベンダー系のオイルを焚いているんです。私は睡眠時間が平均5、6時間ぐらい。退屈しちゃって長く寝ていられないんですね。若いころはもっと短かった。ニューヨークでは、明け方に目が覚めちゃって、やることがなくてカフェに行って時間をつぶしたりしていました。
私は毎朝目が覚めた瞬間、頭も冴えてすっきりしているんです。たぶん睡眠が深いんだと思いますが、お布団は10代の頃からずーっと羽毛のものを使ってます。本当に軽くて暖かいので、あれを体感すると他のはもう、使えませんね。
日本人離れしたバツグンのスタイルを持つユーコさん。その華々しい履歴からも、ちょっと気の強いアメリカナイズされた女性を想像していたのですが、実際にお会いしたユーコさんは、とても穏やかな話し方をされる優しい女性でした。スタイルもお写真で拝見するよりもよいのでは? と思われます。すっかりユーコさんとアウェークニングの魅力にはまった一日でした。
- 【プロフィール】 アウェークニングスペース主宰 / ユーコ・スミダ・ジャクソンさん
- 1966年熊本県生まれ。『アウェークニングスペース』主宰。単身L.A.に渡り、マイケル・ジャクソンやベビーフェイスのワールドツアーに参加。世界を舞台に成功を収めた日本人ダンサー。
現在は劇団四季、ワークショップ、自身のスタジオでダンス及びヨガなどを取り入れたアウェークニング指導行っている他、アパレルブランド「aryles」の展開も手がける。またダンスワークショップ「Dance with Michael」を毎月開催。
著書としては『ヨガをこえた「アウェークニング」なら無敵のボディが手に入る』、『ヨガを超えた「アウェークニング」なら憧れのボディが手に入る』(リットーミュージック)、『アウェークニング』(角川SS)などがある。
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