パソコン作業などによる猫背や身体のゆがみ、肩こりに悩む人は少なくありません。また後ろ姿は、案外年齢が出てしまうところです。そこでバレリーナの美しい立ち姿を目標に、バレエエクササイズに挑戦。適度な柔軟性や筋力をつけることで、正しい姿勢やスッキリとしたレッグラインを目指します。

バレリーナと言うと、みなさん身体の柔らかさを思い浮かべると思いますが、柔軟性のメリットは、しなやかな筋肉が備わって初めて発揮されます。
体が柔軟だと関節の可動域が広がり、筋肉を最大限に使うことができるようになります。それによって代謝アップにつながったり、ケガをしにくい身体へと近づいていったりするのです。
バレリーナは、柔軟性によって大きな動きができるとともに、しなやかな筋肉で身体の動きをイメージ通りにコントロールしているのです。
そのための身体づくりは、何といっても、今回のエクササイズでもご紹介している「プリエ」です。バレエを習い始めたばかりの人もトップダンサーも、一日の稽古はプリエで始まります。バレエの探求は、プリエの探究とも言えるかもしれません。
バレエそのものは運動ではなく芸術です。「身体・心・音楽」が三位一体となって成立するものですから、ご自宅でエクササイズを行う時も、ぜひ音楽をかけてなさってみてください。『白鳥の湖』や『くるみ割り人形』などの名曲をレッスン用にアレンジしたCDなら、作品の世界観も楽しんでいただけますよ。
「見る」こともポイントです。バレエのレッスン場は鏡張りですよね。鏡を見るとイヤでも自分の姿を意識します。姿見でも窓でもいいので、ご自身を映して見ながら行っていただくことをおすすめします。
エクササイズの時間をつくるのが難しい方は、テレビを見ながら前屈をしたり、電車を待つ間は背伸びをしてみたりと、今の生活の中に取り入れると継続しやすいと思います。
ただし、絶対に力まかせに勢いをつけて行わないでください。行っているポーズのまま、息を止めずに8カウントはキープできるくらいの加減が目安です。まずはひとつひとつの動きにゆっくり取り組んでみてください。
私が主催する「おとなのための初めてバレエFairies」のレッスンには、幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。やはり姿勢を良くしたい、筋力をつけたいという方が多いです。
でも生徒さんたちと接していると、一番変わっていくのは内面なんですね。レッスンをしていて本当に感動するのですが、みなさん未知の自分を発見していくような印象を受けます。
バレエをすることで、自分の身体と自分自身を見つめるようになります。それが心も癒しているというか…。なので身体のケアのためにレッスンに通っているけれど、身体+内面も浄化されているなと感じます。
きっと「女性であること」を再認識したり、きれいになろうとする意識を高めてくれたりする効果も、バレエにはあるんじゃないかなと思います。
ぜひみなさんにも、運動としてだけでなく、新たな自分に出会うチャンスとしても、バレエ エクササイズを続けてみていただきたいと思います。
猫背を改善して姿勢を正していくエクササイズです。3種類のエクササイズで、極端な背骨のS字カーブをなるべく真っ直ぐに保つための筋肉を鍛え、肩甲骨の可動域を広げます。そして身体を支える骨盤周りの筋肉群を目覚めさせていきます。
背骨と太ももの後ろ側のストレッチです。このエクササイズは美脚づくりにも効果があります。
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- 1膝を抱えて体育座りをする。尾てい骨を床に刺すようなイメージで骨盤を立てる。
お腹に太ももをしっかり引き寄せることで、背中を真っ直ぐに。
- 1膝を抱えて体育座りをする。尾てい骨を床に刺すようなイメージで骨盤を立てる。
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- 2手を組んで上に伸ばし背骨を伸ばしながら、膝も伸ばして長座になる。
この時、背骨を床に対して垂直に保つことが大切なので、長座で背筋を伸ばすのが難しい人は、膝を少し曲げてもOK。
- 2手を組んで上に伸ばし背骨を伸ばしながら、膝も伸ばして長座になる。
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- 3②の状態のまま、鼻から息を吸いながら胸から上を右に45度ひねる。
正面に戻って口からゆっくり息を吐く。
- 3②の状態のまま、鼻から息を吸いながら胸から上を右に45度ひねる。
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- 4左側も同様にひねる。
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- 5鼻から息を吸いながら②の状態に戻り、口から息を吐きながら上体を前屈する。
前屈など負荷をかける際は、吐きなが行うと効果的。
- 5鼻から息を吸いながら②の状態に戻り、口から息を吐きながら上体を前屈する。
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- 6前屈の状態で8カウントキープ。
その際、息を吐き切ってしまったら、もう一度吸って吐き直しながら、もう少しストレッチする。
- 6前屈の状態で8カウントキープ。
腰を曲げて膝におでこを近づけるのではなく、腕の引き上げでストレッチされている背骨を伸ばし続けながら、伸ばす方向を少しずつ下げていきます。伸ばし続ける意識が大切です。この時、膝下に隙間が出来ないように心掛けます。膝が曲がってしまう人は、毎日続けることで少しずつ膝下の隙間を減らして行きましょう。
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- 7ゆっくり上体を起こす。
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- 8続けて、つま先を自分の方に向けた状態で同様に前屈する。
前屈の状態で8カウントキープ。
- 8続けて、つま先を自分の方に向けた状態で同様に前屈する。
つま先を自分の方に向けると、より太ももの後ろ側をストレッチできます。
ポールドブラで、バレエ特有の腕の動かし方を学んで背中を真っ直ぐに保つ感覚を養いましょう。指先まで意識を持って動かすことで二の腕が引き締まり、デコルテも美しくなります。
バレエの基本姿勢を確認
仰向けに寝て、床に、お尻、腰、背中、肩、頭がついていることを確認する。
● 両肩を床にしっかりと押し付け直します。その際、胸が少し上に上がります。
● 腰の下の隙間を、腹筋を使って圧を掛けてなくす。
この上半身の状態が、立った時のバレエの基本姿勢です。
- 1バレエの基本姿勢を踏まえて、立ってポールドブラを行う。
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(1)アンバー:下に
手を脚の付け根まで下ろして、両腕で楕円形を作る。
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(2)アンナバン:前に
(1)の楕円形をキープしたまま、手の平をみぞおちの高さまで上げる。その際、肘から上げるイメージで。
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(3)アンオー:上に
(2)の形をキープしたまま斜め上へ上げる。
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(4)アラセゴンド:横に
肩の高さまで腕を左右に伸ばしながら下ろす。両腕で大きな風船を抱えるイメージ。
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(1)アンバー:下に
腕を下ろし、手を脚の付け根まで下ろす。
- 2呼吸とともに行う。(1)→(2)→(3)で息を吸い、(4)→(1)で吐く。
- 3目線をつけて行う。まずは目で右手を追いながら(1)→(2)→(3)→(4)→(1)、 続けて左手を追いながら(1)→(2)→(3)→(4)→(1)を行う。
背骨の一本一本を感じながら背筋と腹筋をじんわりと鍛えます。
このエクササイズは、ムリをせずできる範囲内で行いましょう。
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- 1仰向けに寝て、両脚を伸ばした状態で、8カウントでゆっくり90度まで上げる。
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- 2鼻から息を吸いながら、腰に手を添えて腰を上げ、脚を頭の上へ伸ばし床につま先を着ける。
脚を床に着けることが難しい人は、頭の上で止めてもOK。
- 2鼻から息を吸いながら、腰に手を添えて腰を上げ、脚を頭の上へ伸ばし床につま先を着ける。
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- 3 口から息を吐きながら、8カウントで腰を下ろし①の状態に戻す。
下ろす時は、背骨一つひとつを床に着けるようなイメージで。
- 3 口から息を吐きながら、8カウントで腰を下ろし①の状態に戻す。
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- 4 もう一度息を吸い、吐きながら8カウントかけて脚を下ろす。
これを2回繰り返す。
- 4 もう一度息を吸い、吐きながら8カウントかけて脚を下ろす。
美脚づくりには、太もものエクササイズが効果的です。脚全体の筋肉に意識を向け、脚を真っ直ぐに保ちます。タオルを股に挟むことで、特に太ももの内側の筋肉を意識しながら、長くてしなやかな筋肉を鍛えます。

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- 1タオルを太ももに挟み、手は椅子の背もたれに乗せる。鼻から息を吸いながら、4カウントで背伸びをし、口から息を吐きながら、4カウントでゆっくりと元に戻す。これを2回行う。
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- 2今度は2カウントでアップして、2カウントでダウンを4回行う。
これを2セット繰り返す。
- 2今度は2カウントでアップして、2カウントでダウンを4回行う。

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- 3次に1番ポジションで同様に行う。
1番ポジションとは、両脚を揃え、つま先を左右に開いたポジション。無理せず開ける範囲でOK。
これも2セット繰り返す。
- 3次に1番ポジションで同様に行う。
1番ポジションとは、両脚を揃え、つま先を左右に開いたポジション。無理せず開ける範囲でOK。
ボディラインの引き締めには、プリエがおススメです。プリエとは、バレエの代表的なエクササイズです。体全体の筋肉を使うエクササイズなので、全身のボディラインの引き締めが期待できます。
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- 1両手を椅子の背もたれに乗せる。
足を肩幅に広げ、つま先を外側に向けて立つ。
- 1両手を椅子の背もたれに乗せる。
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- 2鼻から息を吸い、口から吐きながら、4カウントで膝をゆっくり左右に開いて曲げる。膝はつま先と同じ方向に開く。
この時、上半身が前に倒れないように。また、つま先と膝の開く方向が揃っていないと、膝や足首をひねって痛めてしまうことがあるので注意。
- 2鼻から息を吸い、口から吐きながら、4カウントで膝をゆっくり左右に開いて曲げる。膝はつま先と同じ方向に開く。
- 3鼻から息を吸いながら、ゆっくりと4カウントかけて元に戻す。
これを2回繰り返す。
- 3鼻から息を吸いながら、ゆっくりと4カウントかけて元に戻す。
- 鈴木朋子さん プロフィール
- バレリーナ、バレエ インストラクター。「大人のための初めてバレエ Fairies」代表。
横浜出身。清泉女子大学卒業。3歳より、南綾子エコール・ドゥ・バレエにてバレエを始める。現在、バレエの教授と指導に関する世界で唯一もっとも重要な組織と言われる、英国 Royal Academy of Dance(RAD)の日本で数少ない登録教師として後進の指導をするかたわら、舞台活動も行う。
「大人のための初めてバレエ Fairies」
ホームページ:http://i.fairies-ballet.holy.jp/
‐免責事項‐
ご紹介しているエクササイズにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理せず行ってください。
ケガ・体調不良などにつきましては、当コンテンツ制作者は一切の責任を負いかねます。