今回はゴムバンドを使って身体をほぐしながら、衰えがちな筋力を強化して、健康的でしなやかな身体をつくりましょう。ゴムバンドは、負荷が調整できるので、リハビリからスポーツトレーニングまで幅広く使用されています。筋トレや運動が苦手な方も、ご自身の体力に合わせて気楽にチャレンジしてみてください。
※周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
ゴムバンドの利用目的は、主にシェイプアップや筋力アップですが、ピラティスではご自身の筋力だけでは起き上がれない、といった場合に補助道具としても利用します。
ゴムバンドのかたちは、平たく薄いものと、断面が丸いチューブ状のものが多いですね。薄いものは手などに巻き付けやすく、面積が広い分サポート力もあるので、初心者の方も扱いやすいと思います。
チューブ状のものは比較的強度が高めで、しっかり筋力アップしたい時に使っていただくといいと思います。
今回使っているものは長さが2メートルくらいです。短いとその分、強度が高く柔軟性も減るので、初心者の方は長めがおすすめです。ゴムバンド自体の強度もいろいろありますが、まずは中ぐらいの強さから始めていただくのがいいと思います。
ゴムバンドは短く持てば強度が高まるし、長めに持てば弱まります。同じバンドでも使い方で強度を調整できるので、年齢性別を問わず幅広い方に使っていただける点がメリットですね。またゴムバンドを使うと、エクササイズしている部位を意識しやすくなります。
加えて、今回のメニューはピラティスをベースにしていますが、ピラティスの動きは身体の伸長が根底にあります。例えば、背骨のエクササイズでご紹介している「ロールダウン」も、身体を後ろに倒す際、足先は遠くに伸ばして、上体と足先を引き伸ばしていきます。ゴムバンドの伸び縮みによって、よりその動きを意識して、深層筋に働きかけていくことができるんです。もちろん筋力アップや関節の可動域を広げることにも役立ちます。
あと何より邪魔にならない(笑)。バッグに入れて持ち歩いても苦にならないので、お勤め先に持っていって休憩中などにやっていただくのもいいと思います。
背骨のエクササイズの「ロールダウン&ロールアップ」は、背骨と骨盤に働きかけていくので、身体を本来あるべき位置に整えていくという効果も期待できます。すると四肢がスムーズに動くようになって、身体を動かしやすくなるんですね。よく子どもの運動会で、お父さんが急に走って転んでしまうことがありますよね。そういったケガの予防にもおすすめです。
また男性の場合、アウターマッスルを使って力で動いてしまいがちです。インナーマッスルもゆっくりじっくり動かしながら鍛えていくことが大切です。
股関節のエクササイズの「フットワーク」は、やった足とやっていない足の違いが出て、効果を実感していただきやすいと思います。お教室でも、骨盤の位置が整い、股関節の詰まり感がすっきりして、帰りの駅の階段が上りやすくなったと言ってくださる方もいらっしゃいます。老廃物も流れやすくなるので、足が疲れた時、むくみ対策などにもおすすめです。
エクササイズを行っていただく際に、気持ちいいからと伸ばし過ぎてしまうことがあります。肩まわりなど、大きく動かし過ぎると傷めたり筋肉痛になったりしてしまいます。
回数を多くやるより、回数は少なくていいので質の高い動きを丁寧にすることが重要です。また動かしている筋肉を意識することも大切です。
インナーマッスルを鍛えたい、しっかりシェイプアップしたいという場合は、胸式呼吸(鼻から息を吸って口から吐く際にお腹を薄く保つ呼吸)が効果的ですが、始めのうちはこだわる必要はありません。呼吸に意識を取られて動きがおろそかになるよりは、まずは呼吸を止めずに動くことを意識してみてください。
またエクササイズ中に、バンドに引っ張られて手首が曲がってしまうようであれば、負荷のかけ過ぎです。手首を痛めてしまうので、手首から手の甲までをまっすぐ平らに保てるくらいの負荷で行いましょう。
負荷を上げたい場合、実施する回数を増やすよりも、バンド自体を強くするかバンドの持ち方を短くして、強度を上げるのがいいですね。「ロールダウン&ロールアップ」は、逆にバンドのサポート力を緩めて、ご自身の筋力だけで動いていくようにしましょう。
ゴムバンドが手元にない場合、タオルでも代用していただけますが、ある程度の長さが必要です。特に足に掛けるエクササイズは、タオルが短いとつらいですから、やってみて気持ちいいと感じられるメニューや範囲にとどめてください。
マッサージや整体に通うのももちろんいいですが、エクササイズを習慣づけて、自分で自分の身体をメンテナンスできるようになることも、とても大切だと思っています。
続けることが大切なので、まずは月に1回でもいいです。いきなりフルパワーでやって、疲れてイヤになってしまってはもったいないですから(笑)。全部のメニューをやるのは大変でしたら、まずは「ロールダウン&ロールアップ」だけでもいいので、チャレンジしてみてください。
1.肩甲骨のエクササイズ
まずは、肩甲骨まわりのエクササイズです。腕を動かす時に働く、肩まわりの筋肉を緩め、肩関節の可動域を広げることで、四十肩や五十肩の予防に役立ちます。
アームワーク
ひざ立ちになり、足は腰幅に開きます。両手は前に下ろし、バンドを肩幅より少し広く持ちます。手の平は後ろに向けます。
バンドを手にまきつけて行っても良いでしょう。バンドをピンと張って軽く負荷をかけます。手首が曲がらないように注意をしましょう。まずはこの位置で、フッフッフッと小さく息を吐きながら、両手を小刻みに横に広げます。
★手を大きく広げ過ぎると、かえって肩を痛めてしまいます。また、肩が前に出たり上に上がったりしないように注意しましょう。
10回繰り返します。
そのまま手を胸の高さに上げ、手の平は下に向けて、同じように10回繰り返します。
さらに、手を肩の高さに上げて、10回繰り返しましょう。
チェリオット
続けて、バンドをひざの下に挟みます。両手は体の横に下ろし、バンドをピンと張って持ちます。 肩を下に引き下ろして首を長く保ちましょう。
手の平を後ろに向けて、小刻みに後ろに引きます。
手首が曲がらないように注意し、フッフッフッと小さく息を吐きましょう。ターゲットとなる腕まわりの筋肉を意識して小さく動かしていきます。
★この動きは、二の腕のシェイプアップも期待できます。
10回繰り返します。
次は、手の平を内側に向けて、同じように10回繰り返します。
さらに、手の平を前に向けて、10回繰り返しましょう。
ラットプルダウン
今度は、両手を上に伸ばし、バンドを肩幅より少し広めに持ちピンと張ります。手首が曲がらないように、腰が反りすぎないように注意しましょう。
お腹は薄く保ち、肩甲骨を下げるイメージで、息を吐きながらバンドを背中側に下ろします。吸いながら戻します。
★この動きは、背中の引き締めにもおすすめです。
5回繰り返しましょう。
そのまま、右手を引きながら体を右に倒します。
ゆっくり戻したら反対に倒します。
左右3回ずつ繰り返しましょう。
背骨のエクササイズ
次は、背骨まわりのエクササイズです。背骨を一つひとつ動かしていくことで可動域が広がり、お腹のインナーマッスルも使うので、腰痛の予防にもおすすめです。また、ももの裏のストレッチにもなります。
ロールダウン&ロールアップ
長座になり、足裏にバンドを掛けて両手で持ち、ピンと張ります。
鼻から息を吸って準備をし、口から息を吐きながら、おへそを凹ますようにお腹を薄く保って、上体を半分くらいまで後ろに倒していきます。
鼻から息を吸いながらゆっくり戻します。
★腰から床に着くように、お腹を丸めて倒れる意識を持ちましょう。
この動きを3回繰り返しましょう。
今度は、長座から背骨を一つひとつ下から下ろしていくように、ゆっくり床まで上体を下ろして、起き上がります。
起き上がる時は頭、背中、腰の順に、背骨一つひとつの間を広げるイメージで起き上がります。
★起き上がる際、おへそを凹ますようにお腹を薄く保ちながら起き上がることで、お腹のインナーマッスルを鍛えていくことができます。
★肩が上がらないように首を長く保ちましょう。
3回繰り返しましょう。
3.股関節のエクササイズ
最後は、股関節のエクササイズです。バランスを取りながら動いていくので、インナーマッスルも鍛えられます。また足のむくみや冷えの改善にもつながります。
フットワーク
仰向けになり、左足はひざを立てて、右の足裏にバンドを掛けます。両手でバンドを持って、ひじを床に着けて安定させます。
一度息を吸って準備をし、吐きながらひざ下を天井に向けて伸ばし、さらにふくらはぎの裏を伸ばすように、かかとを天井に向けます。
息を吸って、戻します。
3~5回繰り返しましょう。
続けて、右足を天井に向けて伸ばし、かかとで円を描くように回します。
バンドは2本まとめて右手で持ち、左手は骨盤の上におき、お腹は薄く保ちましょう。足の付け根、股関節から動かすように、まずは小さく動かしていきます。
時計回りに3~5回繰り返します。
反対も3~5回繰り返します。
そのまま、左足をまっすぐ伸ばします。
足先と頭で引っ張り合うようなイメージです。
右足の足首は90度に曲げます。
一度息を吸って、吐きながら右足をゆっくり外側に倒します。吸いながら戻します。
今度は足首を伸ばして、足の甲を内側に向けます。
息を吐きながら、足を内側に倒しましょう。
骨盤は床と並行に保ち、動かないように左手で上から押さえておくと良いでしょう。
左右3回ずつ繰り返します。
今度は、大きな円を描くように足を回します。
バンドを2本まとめて両手で持って、股関節からしっかり動かしていきましょう。
この際、骨盤は動いても大丈夫です。左足だけはまっすぐ伸ばして固定しましょう。
時計回りに3回繰り返しましょう。
反対も3回繰り返します。
★足を天井に向けて上げているポジションがきつい方は、少し低めの位置、もしくはバンドを1本ずつに持ち替えて、軽くひざを曲げて無理のないポジションで行いましょう。
最後に足を下ろす時には、バンドを両手で持ち、かかとから遠くに、右足をゆっくり床に下ろしていきます。
一連の動きを左足も同様に行います。
- 長野実生さん プロフィール
- WKPA認定ピラティスインストラクター。子連れOKのピラティス教室Laulea(ラウレア)代表。
中学・高校ではバトントワリング、大学ではチアリーディングに取り組み、卒業後はオール三菱LIONS専属チアリーダーとして活躍。長男の産後、子育てと仕事の両立、母としての働き方を見つめなおし、ピラティスインストラクターの資格を取得。勤務先を退職し、子連れで通えるママのための教室を逗子、横浜、湘南地区にて開催。次男産後は、葉山・逗子にてキッズチアリーディングスクール“Lino Keikies”を創設し、100名を超える子どもたちの指導育成にあたっている。チアリーダー時代のケガや出産・子育てを通じて感じた、ピラティスの魅力を広める活動を行っている。
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ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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