今回は、スマートフォンでおしゃれな写真を撮るコツをご紹介します。お花や料理、人物(自撮り)などを、構図や光を上手に活用して撮影してみましょう。スマートフォンに標準装備されている、カメラの機能を使った撮影方法ですので、ぜひ気軽に実践してみてください。
スマホが普及して、たくさんの人が撮影を楽しんでいますが、少し注意も必要です。教室では生徒さんに「自分が撮られて嫌な写真は撮らないようにしましょう」とお伝えしています。人物の顔が入ってしまう場合は、ボケさせて背景として取り込んだり、顔が映らないように後姿で狙ったりといった工夫をしてみてください。
またSNSなどにアップする場合、親しい人であっても事前に掲載許可を取っておくことが大切です。レストランなどで撮った写真をアップする場合も、できればお店の方に一言「載せていいですか?」とお断りすることをおすすめします。
写真は、それを通じて人とコミュニケーションを取れるかが大事で、そのためのルールやマナーです。そういう意味では、実は社交性がないと写真撮影は難しいとも言えます。撮影自体はひとりでも楽しめるものですが、自分が撮りたいものが、人物など相手があるものの場合、その方とコミュニケーションを取ることはとても大切です。
今回、ケーキの撮影でテーブルクロスの色を替えて撮ってみましたが、食べ物の場合、寒色系は食欲がわきにくいので、冷たい色でまとめないこともポイントです。また、被写体の中にある色を使ってコーディネートすると、まとまりがよくなります。お皿は何と言っても、白が一番食べ物がきれいに写ります。
レストランでは、大きなお皿の真ん中に料理が盛られていて、周りをソースでデコレーションしている時がありますよね。そうした場合、シェフは当然、全体のバランスを考えてデザインされていますから、ソースも含めて全体像がわかるような撮り方にするといいですね。そのためにも、やはりタテ・ヨコ・俯瞰といろいろな方向から撮って、ベストショットを探ってみてください。
撮影が上達する一番の方法は、とにかくたくさん撮ることです。それと常日頃、撮ることができるかどうか。「○○だから撮れない」と理由を付けずに、撮ることを習慣化することです。
観光地で撮影を頼まれたり、旅行先で風景を残したり、さまざまンシーンでの撮影のコツをご紹介します。
【風景や建物を背景に入れた撮影】
風景や建物を背にして撮る場合、まずは人物の全身を入れようとしないこと。そして人物が立つ位置は、カメラの近くです。建物のすぐ前に立ってしまう人が多いのですが、人物はカメラに寄ってもらい、建物は背景として取り込みましょう。
【自然など風景の撮影】
風景は構図が肝心なので、グリッドガイドを活用します。構図をしっかり考えて、一番見せたい部分をグリッドの交点に合わせて撮りましょう。水平線などは、ヨコのラインをグリッドの線に合わせて、水平を保つこともポイントです。
【子どもやペットなど動く被写体の撮影】
残念ながら、スマホでの撮影はおすすめしません。スマホのバースト(連写)機能を使えば撮れないことはありませんが、やはり動くものの躍動感を表現するなら一眼レフです。スマホのカメラでは、撮れるものに限界があることも知っておいてください。
スマホから、一眼レフなどのデジタルカメラでの撮影にステップアップしていく場合、まずは撮りたいものや撮りたいシーンを自分の中で把握することが大事です。そこが明確であれば、カメラを購入する際も、「○○が撮りたいのですが」とお店の方に相談できて、最適なカメラを選ぶことができます。ところが、撮りたいものが決まっていない状態で、カメラを買ってしまう人が非常に多いんです。これは教室でいつも感じる悩みです(笑)。
でも、生徒さんたちが「これができた!」と笑ってくれて、何かをできるようになった喜びを共感できるのは、本当にうれしいですね。それと私の教室では必ずプリントするので、「プリントになっているからこそ良さがわかる」と言っていただけるのもうれしいですね。
最初にお話ししたように、写真はコミュニケーションです。プリントして人に見せることで、見えてくる面白さや魅力もあります。また選ぶという楽しさも出てきます。机に写真をバーっと並べて見るのは、データを探すのとは違う楽しさがありますので、ぜひみなさんも撮りっぱなしせず、プリントしてみてください。
今回使用したスマートフォンは、iPhone6です。iPhoneの旧機種やAndroidには、標準装備されていない機能もありますのでご了承ください。
1.カメラ位置の確認
スマートフォンのカメラ位置を確認します。 カメラを構えた時に、レンズに手がかぶらないように持ち方にも注意しましょう。
縦に構えるときは、握るように持ちます。
横に構えるときは、指先でつまむのではなく、こちらも両手でしっかり握ります。シャッターはボリュームボタンで切ることができます。
★手帳型のスマートフォンケースは、撮影しにくい場合が多いので、外していただくことをおすすめします。
2.カメラの設定
おしゃれな写真を撮るための、スマートフォンのカメラ設定を3つ確認しましょう。
①グリッドガイドを表示
スマートフォンの「設定」にある、「写真とカメラ」を開き、「グリッド」をオンにします。
バランスのよい構図で写真を撮るためのガイドラインです。
スマートフォンに表示されるのは三分割のグリット線です。
②フラッシュやLEDライトをOFF
フラッシュやLEDライトの強い光は、被写体が反射してしまうので、基本的には使わないようにします。
③HDR(ハイダイナミックレンジ)をOFF
HDRは、明暗の差を画像合成する機能ですので、通常はOFFにしておきます。
★HDRは、真夏の炎天下など明暗差が強い場合で、風景を撮影するのに適しています。
3.撮影の基本テクニック
撮影の基本テクニックを3つご紹介します。
①バランスのよい構図にする。
構図を決めるときにグリッドガイドを活用します。
一番メインとなる「主役の被写体」を、線と線の交わる点に置くとバランスの良い構図になります。
また、その周りに置くものやレイアウトにもグリット線が役に立ちます。
②ピントを主役の被写体に合わせる。
ピントをしっかりと主役の被写体に合わせることで、ボケの効果を出すこともできます。
③露出を補正する。
露出補正とは、明るさを調整することです。露出の補正は、一番見せたい被写体にピントを合わせ、その位置で調整しましょう。
構図の見本
3分割
2分割
対角線
遠近法
日の丸
日の丸(スクエア)
日の丸の構図は、スクエア写真に向いています。
4.被写体の撮影
それでは、構図、ピント、露出に注意しながら、撮影してみましょう。
花の撮影
花の撮影は光の選び方が重要です。基本的に逆光での撮影を心がけます。室内では、窓際でレースのカーテン越しの柔らかい日差しを選びましょう。
窓から離れてテーブルなどで撮影する場合は、屋外と同様に明るい窓の方に向かって逆光で撮影をします。
アレンジメントの中心となる花をメインに光の当たり方、向きを調整して逆光で撮影するようにしましょう。
飾りになっている葉っぱなど、画面の中に動きやポイントになる色を取り入れながら、近づいて一部分をクローズアップします。
ピントをしっかりと主役の被写体に合わることで自然に背景はボケます。
逆光は主役の被写体が暗くなりがちですので、被写体に明るさを合わせ、露出補正で調整を行います。
アレンジメントは、全体的な雰囲気を撮影しておくと、記念として残すこともできます。
ワンポイント
ボケ撮影の条件は、被写体に思い切り近づき、背景が離れていることがポイントです。 スマートフォンのカメラは広角レンズといって、比較的広い範囲の撮影が可能で、画面全体にピントが合うように作られていますが、被写体に近づくことで背景がボケやすくなります。
屋外では、直射日光を避けます。できれば日蔭から背景が明るい場所で撮影するのがベストです。 これは逆光と同じ効果になります。
直射日光の当らない曇りの日も撮影に適しています。 全体的に優しい雰囲気で明るさも調整しやすいです。
食べ物(ケーキ)の撮影
食べ物もお花と同様に、窓際での撮影が基本です。
光が強く当たらないようにテーブルの位置を調整しましょう。
テーブルフォトで、特に食べ物は、コーディネートや主役の被写体を引き立てる脇役の置き方にも気を配りましょう。
ここでもグリッドガイドが活躍します。
アングルもグリッドガイドを意識しながら縦にも横にも撮影し、バランスのよい方を選びましょう。
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被写体に思い切り近寄って、おいしそうな部分をクローズアップしてピントを合わせます。お皿は画面から切れても大丈夫です。
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テーブルの上に並んだものを全体的に写すのはNG!説明写真になってしまいます。
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真上から俯瞰撮影するのも、オシャレ写真の基本です。
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ケーキなど、ある程度の高さがある被写体は横から撮影することで、背景を取り入れることができます。
テーブルクロスなどの色を替えるだけでイメージが変わります。
洋服のコーディネートを楽しむように替えてみましょう。季節感を意識するのも大切です。
ワンポイント
グラスやボトルなど背の高いものを撮る時、スマートフォンの広角レンズで、上から撮影すると、ゆがみが生じてしまいます。
画面を少しだけピンチアウトして、望遠気味で横から撮影すると、まっすぐに見えるようになります。グリッドガイドを目安にして、まっすぐになっているか確認しましょう。
レストランなどでは、窓から外光の入る明るい席や、直射日光の当らないテラス席などがベスト。自然光の方がよりおいしさが伝わります。
人物(自撮り)の撮影
自撮りの撮影は、逆光で撮影するとふんわり柔らかな雰囲気になります。
レースのカーテン越しの光がベストです。光が強すぎたら窓際から少し離れましょう。
基本は、「ちょっと上から」カメラを向けます。
画面は少しだけピンチアウトしてゆがみをなくしましょう。
少しだけ上目づかいになるような視線であごのラインを強調することで小顔効果が出せます。
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スマートフォンで人物、特に顔を写す際には顔認識機能が働きますので、フォーカスフレームがしっかり顔に合ってからシャッターを切ります。
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セルフタイマーを3秒に設定して使うと、よりキメ顔をつくりやすくなります。
白い壁や部屋の角に向いて撮影すると、光が反射してレフ板の役割をしてくれますので、上手に利用しましょう。
または、レフ板として手元にノートを持ち、ノートが隠れる角度で狙うなどするとよりキレイです。
自撮りの撮影は、逆光で撮影するとふんわり柔らかな雰囲気になります。
レースのカーテン越しの光がベストです。光が強すぎたら窓際から少し離れましょう。
基本は、「ちょっと上から」カメラを向けます。
画面は少しだけピンチアウトしてゆがみをなくしましょう。
少しだけ上目づかいになるような視線であごのラインを強調することで小顔効果が出せます。
スマートフォンで人物、特に顔を写す際には顔認識機能が働きますので、フォーカスフレームがしっかり顔に合ってからシャッターを切ります。
セルフタイマーを3秒に設定して使うと、よりキメ顔をつくりやすくなります。
白い壁や部屋の角に向いて撮影すると、光が反射してレフ板の役割をしてくれますので、上手に利用しましょう。
または、レフ板として手元にノートを持ち、ノートが隠れる角度で狙うなどするとよりキレイです。
5.写真の調整
撮影した写真がどうしても暗いなと感じたら、ほんの少しカメラアプリで明るさの調整をしましょう。
メインの被写体の質感が損なわれない程度で、明るすぎて白く飛んでしまったり、色がなくなってしまわないように程よく露出補正します。
基本的な撮影が出来ている写真は、少し調整を加えるだけでキレイに仕上がります。
また、バランスのよい構図で撮影された写真はスクエアに切り取ってもオシャレ写真になります。
- こばやしかをるさん プロフィール
- 写真家/クリエイター。写ルンです、スマホカメラ〜一眼レフまで幅広く指導。デジタル写真の黎明期よりプリントデータを製作する現場で写真を学んだ経験を活かした、「プリントを通じた講評会がわかりやすく勉強になる」と好評。メーカー講師も勤める。企業とのコラボ企画も手がけるなど写真を通じて活躍中。2016年10月より「体験する写真教室 エンジョイフォトルーム」を開設。共著に『毎日が楽しくなる ご近所フォトのススメ』(日本カメラ社)がある。
公式HP:https://kobayashikaworu.jimdo.com/
エンジョイフォトルーム HP:http://enjoyphotolesson.wixsite.com/eproom
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実施する際は、ご自身のご判断で行ってください。
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