女性のおしゃれに欠かせないアイテムのひとつ、ハイヒール。しかし、姿勢の悪さや筋力不足、靴のサイズが合っていないなど、さまざまな理由から、本人も気づかないうちに不格好な歩き方になっていることがあります。そこで颯爽とした歩き姿を手に入れる、美しい歩き方や靴選びのコツを歩きのプロに教えてもらいました。
猫背でとぼとぼ歩いている人は、元気がないように見えませんか?
またハイヒールで歩く際、ひざが曲がったり背中が丸まったりしては、貧相な印象になってしまいます。反対に、美しい姿勢で颯爽と歩く姿は、生気に溢れた健康的なイメージを与えることができます。
歩き方を整えると、印象のアップだけでなく、身体面でもいろいろな効果が期待できるんですよ。いくつかご紹介しましょう。
1.脚のラインが美しく整う:
外側重心(小指側、足の外側を使う)で歩くと、ふくらはぎや太ももの外側に筋肉が付きやすくなります。内側重心に変えることで、次第に不要な筋肉が減ってスッキリ美脚に。
2.むくみや冷えのケア:
しっかりつま先を上げて歩くとともに、足の大きな筋肉を動かすことで、ポンプ作用によって血液やリンパが流れ、むくみのケアに。また血液が末端まで届き、冷えの予防にも。
3.胃腸の働きを整えスリムに:
良い歩きの前提は良い姿勢です。猫背だと肺や内臓が圧迫され十分に機能しないことに。姿勢を正すことで、内臓の働きを整え代謝アップに。
今回は平坦なところでの歩き方をご紹介していますが、坂道や階段での歩きにもポイントがあります。
階段の上りの場合、「お尻から上がる」イメージです。上げる方の太ももの後ろ側を押されているような感覚とも言えます。足を上げるというより、お尻が上に上がっていくつもりで歩きましょう。下りは、ガニ股になりやすいので、目線をあまり下げ過ぎずに、足をまっすぐに出して歩きます。上りも下りも、手すりがあれば、つかまるとより安全です。
ハイヒールで坂道を下るのはきついですね、ひざに負担がかかり、足首からガクッとおれることもあります。下りはまっすぐ姿勢を上に伸ばすこと意識して、上りは少し前傾気味にして歩きます。
階段、坂道ともに、つま先だけで歩いている方がいますが危険です。一歩一歩しっかり足を着地しましょう。
靴ずれや魚の目の予防だけでなく、悪い歩きクセがつかないようにするためにも、靴選びは大切です。3大ポイントをご紹介します。
1.大きなリボンやチャームがついていないもの:
飾りが靴の横にはみ出ていると、飾りをこすらないように、無意識に外から回り込むような足の運び方になってしまいます。
2.カミ(履き口のかかと側)がしっかりしているもの:
カミがゆるいとパカパカと足と靴が離れて靴擦れの原因になります。
3.厚底ではないもの:
足の動きに合わせて、靴の腹が曲がることも大切。つま先部分にも厚みがある厚底のデザインで、底が曲がりにくい靴ばかり履いていると、ペタペタとしたペンギン歩きのクセがつきやすくなります。
その他、靴のつま先と足の形が合っていない靴を履いていると、外反母趾の原因になります。外反母趾になると、痛みで親指の付け根に力が入れられず、外側重心になり、さらに歩き方が悪くなるという悪循環になる心配もあります。
まずはご自分の足の形を知ることです。実はご自分の足のサイズを勘違いしている方が少なくありません。シューフィッターさんに正確なサイズを測ってもらうと良いと思います。また週に何度かは、ハイヒールを履かない日をつくるのもおすすめです。
街で女性の歩き方を見ていると、二直線上を歩く「男歩き」をしている人がいます。電車の中では、足を大きく開いて座っていたり、椅子から腰が落ちそうな格好で座っていたりする事もあります。女性の男性化を感じますね。
一方で、幼児化も気になります。子供のころの歩きのままの内股歩きです。内股になると、股関節、ひざ、足首の向きがねじれて、ひざの関節を痛めてしまうことがあります。また内側重心ができなくなる、内ももの筋肉が落ちる、身体に力が入らず軸が取れない、といったことにもつながります。
私は歩き方を習って1年ほどで、足のラインが変わり、周りからも細くなったと言われるようになりました。
何より自信がついて、おしゃれがしたくなって、いろいろな洋服にチャレンジするようになりました。せっかくおしゃれをしても、姿勢や歩き方が不格好では台無しですよね。ぜひキレイな歩き方を覚えて、颯爽と歩いてほしいですね。
美しい姿勢をつくるためのエクササイズと基本姿勢です。
肩をまわして胸を開きます。
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- 1右手の指先を右肩に置いて、前から後に大きな円を描くようにゆっくりと5回まわす。
- 2肩甲骨を背骨に近づけるイメージで、左腕も同様に5回まわす。
- 3両手を肩に置いて肩甲骨同士をくっつけるイメージで、両腕を前から後ろにゆっくりと5回まわす。
★胸とお腹はまっすぐ前に。肩甲骨が背骨にくっつくように行いましょう。
猫背予防のストレッチです。
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- 1手の平を上にして、お尻の後ろで組む。
- 2腕を斜め下に引っ張りながら、肩甲骨同士を思いっきり引き寄せたら息を吸う。
- 3息を吐きながらアゴは上、腕は斜め下へと引っ張り合う。3秒たったらアゴと手を元に戻す。 (1回でOK)。
★腕を斜め下に引っ張る際、お腹を出さないようにして、しっかり肩甲骨を寄せましょう。肩甲骨をしっかり引き寄せないと、アゴを上げた時に首の後ろを痛める場合もありますので注意してください。
★首に疾患のある方は、アゴを上げずに行いましょう。
凝り固まった体がほぐれたら、基本姿勢をつくっていきます。
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- 1手の平を上にして深呼吸するように大きく息を吸って胸を広げ、腕を横に開く。
- 3息を吐きながら、ゆっくり腕を横に下ろす。お腹に力を入れ、アゴを引き、まっすぐ前を見る。
★正面から見た時に、頭、鼻、おへそ、かかとまでが一本線になるように意識する。
★太ももにタオルを挟んでいるイメージで、内ももを意識して、重心は親指の付け根にかける。
股関節と足首の柔軟性を高めるエクササイズと、基本の歩き方を行っていきましょう。
このエクササイズと歩き方を行うことで、むくみの予防にもなります。
股関節の柔軟と下半身の筋トレです。
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- 1足を肩幅より少し広く広げて、つま先は外側に向ける。
- 2つま先より前にひざが出ないようにして、椅子に座るように上半身を下げる。
- 3太ももの内側に手を置き、上半身をひねって肩を下げる。
左右10秒ずつ行う。
- 3太ももの内側に手を置き、上半身をひねって肩を下げる。
太もも、ふくらはぎ、足首のストレッチです。
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- 1右足を半歩前に出し、つま先をできるだけ引き上げる。
- 3手を右ひざに置き、後ろ足に体重を乗せてお尻を突き出す。左右10秒ずつ行う。
★つま先を上げるのがきつい人は、足先を地面に置いたままでもOK。
★つま先を上げることで、足首がやわらかくなり歩きやすくなります。
美しく歩く基本の歩き方を行っていきましょう。
フラットシューズやヒールの高さが5cm以下のローヒールでの歩き方です。
- 1基本姿勢を保つ。
- 2ひざを曲げながら片足を前に出す。
- 3かかとから着地。
- 4体重を一気に後ろ足から前足に移動するように、後ろ足で蹴り出す。
★かかとは、前足と後ろ足で同じ一本線上に置くように気をつけて着地し、重心は内側重心で、親指の付け根にかけましょう。
★ひざは、足を前に出すとき以外は曲げないように注意しましょう。
ハイヒールを履いて颯爽と歩いてみましょう。
正しい姿勢で歩くと、ハイヒールでも足に負担がかかりにくくなります。
ヒールの高さが6㎝以上のハイヒールの場合、つま先から着地します。
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- 1基本姿勢を保つ。
- 2ひざを曲げながら片足を前に出す。
- 3つま先から着地。
- 4体重を一気に後ろ足から前足に移動するように、後ろ足で蹴り出す。
★つま先は、前足と後ろ足で同じ一本線上におくように気をつけて着地し、重心は内側重心で、親指の付け根にかけましょう。
★ひざは、足を前に出すとき以外は曲げないように注意しましょう。
★後ろ足を前に出す際、ひざ、くるぶしをすり合わせることで、女性らしくエレガントな歩き方になります。素足やフラットシューズの時も、同様にひざとくるぶしをすり合わせます。
★ひざが正面を向くと足が長く見えるので、自分のひざが内側に向いているようなら、つま先をやや外に向けるように意識しながら歩くと良いでしょう。
美しく見える立ち方です。街で信号待ちをしている時や全身の写真を撮る時などに実践してみてください。
- 1 右足を半歩前に出し、つま先を時計の12時の方向に向ける。
左足は時計の10時の方向に向け、体重は後ろ足にかける。 - 2前足のかかとを上げ、ひざを少し前に出す。
- 3骨盤は11時の方向に向け、肩は少し正面に戻す。
★正面から見て一番幅のある肩と骨盤部分を斜めにすることで細く見えます。また、ウエストをひねりS字をつくると、より女性らしくエレガントな立ち姿になります。
- 篠田洋江さん プロフィール
- 健康ウォーキング指導士、姿勢教育指導士、中高老年期運動指導士。
株式会社Cowalking (コウオーキング)代表取締役。
ショーウインドウに映る、ひどい猫背、がさつな歩き方の自分に愕然としたことから、見た目や印象だけではなく、それぞれにあった歩き方や健康でいるための姿勢を学ぶ。21歳で患ったヘルニアも、悪い姿勢や高いヒールでの間違った歩きが原因だったと知る。現在はウォーキング教室の開催だけでなく、コンテストファイナリストや読者モデルへの歩き方の指導も行う。またウォーキングイベントも積極的に行い、歩くきっかけつくりやウォーキングから美しく健康になる習慣つくりにも取り組んでいる。
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