長時間のデスクワークによるコリや疲れは、今や現代人の悩みの筆頭と言えるでしょう。また立ち仕事・座り仕事、どちらにも共通して挙げられるのが、足のむくみ。夕方になると足がパンパンに張って靴がきつくなってしまうことも。そこでちょっと疲れを感じた時にオフィスでできる、簡単なストレッチやツボマッサージをご紹介します。
血液には酸素や栄養を体全体に巡らせる役割があり、リンパ液は老廃物や疲労物質を流して体外に排出させる機能があります。ツボマッサージとストレッチをうまく組み合わせて、血行とリンパの流れ両方の働きを整えるとよいでしょう。
ストレッチを行う場合は、大きな筋肉から動かし始めて、段々とピンポイントのツボマッサージへ移っていくのがおすすめです。例えば、眼精疲労は肩こりとつながっている場合も多いので、ご紹介している疲れ目対策のツボマッサージも、肩こり改善のストレッチの後に行っていただくとよいでしょう。
また首を横に倒すストレッチがありますが、斜め前など倒す角度を変えて、伸ばす筋肉を変えるのもいいですね。ご自身が気持ちいいと感じる場所を探してみてください。筋肉は伸ばすだけでなく縮めることも大切です。伸ばす・縮める、両方行うことを意識しましょう。
ご紹介しているメニューを行う際の注意点があります。まず食前・食後、発熱時や体に炎症がある場合は控えましょう。女性の場合、妊娠中や生理の時は、力を弱めにすることも覚えておいてください。また体内の循環が促進されますので、行う前後に水分を補給しましょう。
学校の授業のように、仕事中も1~1.5時間に1回くらい休憩を入れて体を動かしていただくのが理想ですが、実際にはなかなか難しいと思います。午前と午後1回ずつを目標にしていたければと思います。
プラスαの工夫として、職場に電子レンジがある方は、濡れタオルをチンしてホットタオルを作り、目や首の後ろなどストレッチする場所を温めるといいですね。肩用の湯たんぽなどもありますので活用するといいでしょう。体を温めることは、風邪の予防にもなりますので、ぜひ取り入れてみてください。
また、食生活も関連しますので、おすすめの食材をいくつかご紹介します。
肩こり・首こり | 大豆、ウメ、プルーン | 筋肉の緊張緩和を助ける。 |
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目の疲れ | 黒豆、ブルーベリー、ブドウ、ナス、ニンジン、レバー、ウナギ、イカ、タコ、サザエ | 疲労を緩和する。 目を構成する細胞の材料となる。 |
むくみ | アサリ、アボカド、シラス、イワシ | むくみの改善に必要な、筋力のアップを助ける。 |
私の患者様は、アンチエイジングが目的の方もいらっしゃいますが、一般的な美容というよりも、体の機能そのものを高めてキレイになろうという方が多いですね。美容には体調の改善が欠かせないですから。
また男性は体に不調が出て困ってから来院される方が多いのに対して、女性は定期メンテナンスのように前もって来られる方が多いんです。女性は生理があるので、体調の変化がわかりやすいからかもしれません。体調は日々変化するものだということを、わかっていらっしゃるんだと思います。男性にも、もう少しご自分の体の変化を気にかけていただけるといいな、と思いますね。
以前、患者様から「元気になったことで行動範囲が広くなった」、「体のコリが取れて考え方まで凝り固まっていたものが取れた気がする」と言っていただいたことがあるんです。心や考え方にまで変化が表れるのが、体をメンテナンスすることの良さだと感じています。
首のストレッチで首回りのリンパの流れを促して、首から肩につながる筋肉を緩めます。
デスクワークは猫背になりがちですので、肩の後回しで肩関節周辺のリンパ節を刺激しましょう。
- 顎の骨に親指を当てて持ち上げる。
そのまま10秒、気持ち良く首の筋肉を伸ばす。
これを3回繰り返す。
- 左手で頭を上から抱える。
右手で椅子をつかみ、頭を左に傾けイタ気持ちいいところで10秒キープ。
反対側も同様に行う。
これを左右3セット行う。
- 肩が上がらないように左手で右の肩を軽く押さえながら、
右肘を軽く曲げ、肘でできるだけ大きな円を描くことを意識して、肩を後ろに5回まわす。
反対側も同様に行う。★ポイント★
できる人は、肩を支点として腕をコンパスのように大きく円を描くようにまわすと、さらに効果的です。
デスクワークで長時間同じ姿勢で座っていると腰回りの筋肉が固まり、腰に負担をかけてしまいます。脊柱起立筋や広背筋など、背中全体の筋肉をストレッチして、腰回りの緊張をゆるめましょう。
- 身体を反らせるように背もたれによりかかってリラックス。
ゆっくり呼吸をしながら10秒キープ。
続いて、前かがみになり、膝の裏で手を組む。
おへそをのぞきながら、腰を引いて背中全体をじっくり10秒伸ばす。
これを5回繰り返す。
パソコン作業などで目を酷使すると、目の周辺の神経が緊張して血液循環が悪くなります。
凝り固まった目の筋肉をほぐし、首の後の「天柱(てんちゅう)」のツボを刺激して、目の血行を良くしましょう。
- 目頭の骨の際に親指を当て、骨に沿って目尻に向かって3回なでる。
- 眉毛をつまむように、眉頭から眉尻へ向かって指で挟んでもむ。
- これを5回繰り返す。
- 首の後ろの髪の生え際にある「天柱」のツボを、頭の中心に向かって押しこむように親指で5秒ほどもむ。
★ポイント★
これらのツボマッサージは、眠気をすっきりさせたい時にもおすすめです。
腎臓の機能を助け、余分な水分を排出する働きがあると言われる「湧泉(ゆうせん)」のツボを刺激します。さらに、内ももの筋肉を伸ばし脚の付け根のリンパ節を刺激するストレッチで、リンパの流れを促進して、むくみを改善しましょう。
- ゴルフボールなどを床に置いて、土踏まずのやや上の中央、足の指をグーにしたときに、くぼむ部分にある「湧泉」のツボにあてて、イタ気持ちいいくらいに体重をかけて刺激する。
10秒程度を目安に両方の足を行う。
- 椅子に浅く座り、左足を横に広げ、足先は前に向ける。
背筋を伸ばしたまま、ゆっくり上体を左に倒し、内ももが伸びるのを感じながら5秒キープ。★ポイント★
ウエストから上を曲げるのではなく、脚の付け根から上体全体を横に倒すようにしましょう。
反対側も同様に行う。
昼食後は血液が胃腸に集中して、眠くなりやすいものです。そんな時は、覚醒効果が期待できる「労宮(ろうきゅう)」と「井穴(せいけつ)」のツボを押して頭をシャキッとさせましょう。
- 手の平の中央のくぼみ、人さし指と中指の間にある「労宮」のツボを5秒ほど押す。
反対の手も同様に行う。
- 手の爪の脇にある「井穴」のツボを刺激する。
爪を横から挟むようにつまんで、5秒ほど少し強めに押しもみ、指先に向かってパッと放す。
親指から順に行う。
反対の手も同様に行う。
- 石川稚子さん プロフィール
- 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。Rapha 鍼・灸・マッサージ 代表。
東京都出身。明治学院大学経済学部卒業。祖父、母、妹が歯科医師、祖母が歯科衛生士の歯医者一家に育ち、幼いころより予防医学の大切さについて聞かされて育つ。大学卒業後は、体に優しい健康食品、化粧品関連の仕事、接客業に従事。その後、伯母が鍼灸師だったことから影響を受けて東洋医学の道へ。東京医療専門学校卒業後、鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の資格を取り現在に至る。
「Rapha 鍼・灸・マッサージ」ホームページ:http://harikyu-rapha.jp/index.html
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ご紹介しているエクササイズにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理せず行ってください。
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