筋力をつけて基礎代謝を上げることは、ダイエットにとても有効です!そこで、自宅で気軽に始められるピラティスをインストラクターの日野泰子先生に教えてもらいました。しかも筋力アップしながら肩こりなどの悩みも改善!椅子で行うエクササイズは、仕事の合間のプチシェイプアップにもおすすめです。
ピラティスの考案者であるジョセフ・ピラティス氏は、もともと病弱で、自分の身体のためにさまざまなトレーニングを行っていました。その中で負傷兵のリハビリのために開発されたエクササイズが、現在のピラティスの始まりです。
ピラティスとヨガはどう違うの?というご質問を受けることがあります。大まかにいうと、ヨガは、腹式呼吸でコア*を感じながらポーズをとり、副交感神経を優位にしてリラクゼーションをしていきます。
対してピラティスは、一般的に胸式呼吸でコアを意識しながら動くことで、交感神経を優位にして、頭をすっきりさせ、身体のバランスを整える、という違いがあります。ですが開発者であるピラティス氏はヨガも学んでいたので、動き、呼吸に違いはあっても、心と身体を繋げるという意味では、共通する要素は多いと思います。
ちなみに、胸式呼吸と腹式呼吸の違いを簡単に説明すると、横隔膜を上下に動かして呼吸をするのが腹式呼吸。肋骨を動かす肋間筋を動かして呼吸をするのが胸式呼吸です。
*コア=身体の核になる部分。横隔膜、多裂筋、骨盤底筋群、腹横筋で囲まれたエリアのこと。明確な定義づけはされていない。
ピラティスは一般的には胸式呼吸で行います。肋骨を360度広げるようにして肺を膨らませて、鼻から深く吸い、口から細く長く吐ききるようにしながら、コアを使って身体を動かし、インナーマッスルを鍛えます。
インナーマッスルとは深層筋で、おもに背骨の周りにある身体の軸になる筋肉です。ここをバランスよく鍛えると、身体の軸ができ、基礎代謝も上がります。姿勢も良くなり、呼吸を意識することにより臓器も活発に動き始めます。
代謝が上がることでダイエット効果が期待できるピラティスは、有酸素運度を一緒に行うとさらに効果的です。一方、部分痩せをしようと、あまり偏った部位だけのエクササイズをすると、他の部分に負担がかかってしまいます。腰痛や肩こりなどが起こる場合もあるので、気を付けましょう。
初めてピラティスを行う場合、まずは呼吸を止めないことを意識してみてください。最初からたくさんやろうと思わずに、1日10分でも構わないので、自分の心、身体を見つめる時間を作ってみてください。正しい姿勢で呼吸をし、身体を動かすことによって、心身ともにスッキリしますので、質の良い睡眠にも繋がりますよ。
私自身、怪我のリハビリのためにピラティスを始めましたが、やり始めると奥が深く、身体と心は繋がっているんだなと実感しました。身体が安定してくると、自然と不安などが解消されて、活力が湧いてきたんです。そして、毎日笑顔で元気に過ごせるようになりました。毎日ちょっと呼吸や姿勢を意識するだけでも効果はあると思いますので、ぜひ取り入れて欲しいと思います。
実践!簡単ピラティスで美ボディに!
ピラティスの呼吸法は、胸式呼吸です。肋骨を360度大きく広げるように空気を送り込むのがポイント。この時、おなかはあまりふくらまないように注意しましょう。
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- 1椅子に浅く座り、足は骨盤幅に広げまっすぐ前に。骨盤を立てて、恥骨が下に向くように。
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- 2背骨をひとつずつ伸ばし、4本の指を肋骨の前に添え、親指を後ろに当てる。
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- 3鼻から大きく息を吸って、身体を前後左右に広げるように肺に空気を入れる。
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- 4口からハーッと細く深く吐いていき、肩をリラックスさせ、おへそと背骨を近づけながらトイレを我慢するようにお腹を引き上げる。
※ピラティスでは骨盤底筋群(恥骨、尾てい骨、両坐骨に囲まれたエリア)を使いながら呼吸します。
健康的で美しいボティラインを作るためにとても重要な、姿勢を矯正するエクササイズ。背骨の柔軟性を高め、正しい姿勢へ導くことが出来ます。立位での重心のコントロールも学びましょう。
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- 1立位でニュートラルポジション*に。両足は坐骨幅に開き、親指、小指、かかとの3点に体重をかけるように重心を取る。両手は横に下ろし肩の力を抜く。
*ニュートラルポジションとは?
本来の骨格の位置。恥骨と尾てい骨が床と垂直になるように骨盤を立てる。
肩は左右に広がってリラックスした状態で、肩甲骨を下ろす。
- 1立位でニュートラルポジション*に。両足は坐骨幅に開き、親指、小指、かかとの3点に体重をかけるように重心を取る。両手は横に下ろし肩の力を抜く。
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- 2鼻から息を吸って、口から吐きながら前屈。背骨の骨と骨の間に隙間を作るイメージで、首から背骨をひとつずつ下げるように一定の速度で前屈。
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- 3前屈しきった位置で重心はかかと寄りにしてリラックス。ハムストリングス(足の裏側の筋)の伸びを感じる。きつい場合は、少し足を曲げてもOK。
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- 4吸って、吐きながら状態を起こす。重心を前へ移し、尾てい骨から背骨をひとつずつ積み上げるイメージで最初のポジションへ。
これを3セット行う。
- 4吸って、吐きながら状態を起こす。重心を前へ移し、尾てい骨から背骨をひとつずつ積み上げるイメージで最初のポジションへ。
腹筋、背筋をバランスよく使って手足を動かすことで、体幹が安定し、背中のラインをスッキリさせ、腰痛の予防・改善にも。手先からつま先まで、対角線上一直線に感じ中心軸を意識します。
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- 1四つん這いでニュートラルポジションに。肩の下に手首、足は骨盤幅に開き、膝は股関節の下にくるように。
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- 2吸って、吐きながら、肩甲骨を安定させニュートラルポジションを維持しながら、対角線の手と足を骨盤の高さまで上げ5秒間キープ。
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- 3吸って、吐きながら、体幹を維持して手足を元の位置に戻す。反対側も同様に。
左右3セット行う。
- 3吸って、吐きながら、体幹を維持して手足を元の位置に戻す。反対側も同様に。
※手を肩よりも上、足を骨盤ラインより上に上げないように、また背中が反らないように。
※手足同時に上げるのが辛い場合、片手・片足のみでまず行い、その後、手足を同時に上げていきましょう。
肩甲骨を正しい位置に安定させて鍛えることで、肩こりを改善し、また全身を使うことで体幹トレーニングにもなって代謝をアップさせます。頭からかかとまでが一直線になるようにし、体幹を安定させましょう。
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- 1四つん這いでニュートラルポジションに。肩の下に手首、足は骨盤幅に開き、膝は股関節の下にくるように。
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- 2吸って、吐きながら、片方ずつ足を伸ばし、頭からかかとまで一直線にする。
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- 3吸って、吐きながら、肩甲骨を安定させ、脇を閉めて肘を曲げる。おへそをマットへ近づけるようにゆっくり下ろす。
この動きをゆっくり10回行う。
- 3吸って、吐きながら、肩甲骨を安定させ、脇を閉めて肘を曲げる。おへそをマットへ近づけるようにゆっくり下ろす。
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- 4吸いながら、ニュートラルポジションを保ち膝を元の位置に戻す。
※腕立て伏せのポジションの際、お尻が上がり過ぎたり、お腹が抜けたりしないように。また肩や首は緊張させずリラックス。
肩甲骨を正しい位置に安定させることで動きを向上させると、背中の意識が生まれ、肩甲骨周りの筋肉が鍛えられます。安定した肩甲骨の位置を保つことで姿勢も改善しますので、五十肩の改善になります。
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- 1椅子に浅く座り、骨盤・背骨はニュートラルポジションに。足は骨盤幅に開く。
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- 2両腕は肩幅で斜め前方に伸ばし、手のひらを下に向ける。
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- 3吸って、吐きながら、肩甲骨を安定させ、肘を左右に張り、曲げながら後方に引き下げる。(肩甲骨を中心に引き寄せ、挟んだクルミを割るようなイメージ)。
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- 4吸って、体幹を安定させながら元の位置へ戻す。
これを10回繰り返す。
- 4吸って、体幹を安定させながら元の位置へ戻す。
※首が前に出たり背中を反らせたりしないように。また肘を後方に引く際、肋骨が開かないようにしましょう。肩や首は緊張せずにリラックス。
骨盤を正しい位置に戻すことによって下半身やせに。また膝の痛みは、骨盤と筋肉のアンバランスから生じることが多いので、股関節、膝関節を正しい位置で動かすことでひざ痛の改善になります。
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- 1椅子に浅く座り、骨盤を立ててニュートラルポジションに。両膝は坐骨幅に開き、足の裏を床につける。手は椅子の両サイドを持つ。
- 1椅子に浅く座り、骨盤を立ててニュートラルポジションに。両膝は坐骨幅に開き、足の裏を床につける。手は椅子の両サイドを持つ。
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- 2吸って、吐きながら、肩甲骨を安定させ、骨盤が動かないようにしながら片足を床から離す。
- 2吸って、吐きながら、肩甲骨を安定させ、骨盤が動かないようにしながら片足を床から離す。
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- 3吸って、吐きながら、上げている足を前に蹴り出し、かかとで前方を押すように膝を伸ばす。
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- 4吸って、膝を曲げ、吐いて膝を伸ばす。
これを5回繰り返す。
- 4吸って、膝を曲げ、吐いて膝を伸ばす。
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- 5吸って、膝を曲げ、吐きながら足を床に下ろす。反対の足も同様に。左右2セット行う。
※膝を曲げる際、膝が内側に入らないように
気を付けましょう。
腹斜筋を強化して、くびれのあるウエストを目指します。身体の中心を意識して上半身の回旋を行いましょう。
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- 1椅子に浅く座り、骨盤を立ててニュートラルポジションに。足は坐骨幅に開く。
- 1椅子に浅く座り、骨盤を立ててニュートラルポジションに。足は坐骨幅に開く。
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- 2胸の前で指を組み、吸って、吐きながら、肩甲骨を引き下げ、おへそを背骨に近づけるようにしながら骨盤を安定させ、骨盤を後方へ倒す。
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- 3吸って、吐いて、雑巾を絞るように上体を右にねじる。吸って、腹部の緊張を保ったままセンターに戻る。吐きながら左も同様に。
左右3回行う。
- 3吸って、吐いて、雑巾を絞るように上体を右にねじる。吸って、腹部の緊張を保ったままセンターに戻る。吐きながら左も同様に。
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- 4吸いながら、ゆっくりと骨盤立ち上げ、最初のポジションに戻す。
- 4吸いながら、ゆっくりと骨盤立ち上げ、最初のポジションに戻す。
※最初のポジションで肋骨が開かないように。回旋時は骨盤や膝が動かないように安定させましょう。また両足に過度に力が入ったり、抜けたりして足が床から離れないように。
- 日野 泰子さん プロフィール
- JAPICA公認ヘッドマスターコーチ。DMJボディバランシング所属。 ダンサー・振付家としてイギリスやニューヨークで13年にわたり活躍。「シルク・ドゥ・ソレイユ」とも登録ダンサー・振付家として契約していた経歴を持つ。20歳の時に故障のリハビリにおいてピラティスと出合う。ニューヨークでKane Schoolのマット資格を取得後は、マンツーマン専門のフリーランスのインストラクターとして活躍。2011年、上級指導者資格取得を機に日本に活動の拠点を移した。さまざまなキャリア、バックグラウンドを生かした、きめ細かい指導は定評がある。 「DMJボディバランシング」ホームページ:http://www.pilates.co.jp/
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無理をするとケガのもととなりますので、無理せず行ってください。
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