今回のテーマは姿勢改善です。肩甲骨と股関節の2つのポイントを集中的にエクササイズすることで、猫背や巻き肩、骨盤の歪みを改善して、美しい姿勢をつくっていきます。さらにポッコリお腹の改善やヒップアップ、太ももの引き締めなども期待できますので、ぜひ続けてみてください。
※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
姿勢が整うと、ポッコリお腹の改善などのほかに、重心を体の真ん中で捉えられるようになるので、腰痛やひざ痛の改善が期待できます。また肩甲骨が寄ってくると、肩こりはびっくりするぐらい取れます。それと関節の可動域が広がると、しゃがむなどの日常動作が軽々とできるようになります。
私のお客様の中に、ご紹介しているようなエクササイズを続けてくださって、2週間でご家族みんなから姿勢が良くなったと言われるほど、目に見えて変わった方がいらっしゃいます。今回のメニューも、短期間でもしっかりと続けていただければ、きっと効果が感じられます。
続けるコツは、日々の行動にくっつけることです。例えばトイレに入る前に、手を上げ下げする背中のトレーニングを20回やる。すると女性であれば1日平均5回ぐらいトイレに行くので、1日に100回やることになります。トイレの度にやるのは大変であれば、外出から帰ってきた時、家に入る前にやる。日常の動きにくっつけると続けやすいと思います。
理想の姿勢は、横から見た時に、耳の後ろの骨と肩の骨、大転子、ひざの少し前側、くるぶしの指一本手前の5か所が一直線になることです。まずは、かかとと足首の上に一直線に体重が乗っているかどうか。その時に、手の平が内側を向いて太ももの中に入っているかをチェックしてみましょう。女性の場合は特に、ヒールのある靴を履いていることで、上体が前のめりになってつま先に体重が乗ってしまい、手も太ももより前に出てしまう人が多いと思います。
立って正面を向いた時に、肩の骨の高さが平行になっているかどうかも見てみてください。また、肩甲骨の間が10cm以上開いていたら、それはもう巻き肩です。女性は5~6cmが理想で、男性や体の大きな方の場合はもう少し広くてもいいですね。
最近、周囲の人を見ていると、おうち時間が長く座りっぱなしになったことで、股関節の動きが悪くなっていると感じます。それと通学や通勤をしていれば、階段など何かしら上り下りする機会がありますが、家にいることで太ももを上げ下げすることが減っています。そのために、股関節の前についている腸腰筋が弱くなってしまっているんです。腸腰筋が弱くなると股関節の動きが悪くなり、いわゆる股関節が詰まる、引っかかるという状態になってしまいます。
メニュー後半の「股関節まわりのエクササイズ」は、姿勢を保つ筋力が足りないと、バランスを崩してしまうこともあると思いますが、諦めずに続けてほしいです。またどのエクササイズも、呼吸を止めないことが大事です。呼吸に合わせて筋肉が伸びていくので、鼻から長く吸って、口から長く吐くように意識してみてください。
私には増量期と減量期があって、実は今は増量期です(笑)。それはボディメイクの大会に出場するためで、一度たくさん食べて筋肉を増やしてから、余分な脂肪を捨てて10kg落とすのです。ですが眠れないと痩せないんです。やっぱり眠りってすごいですね。体の再生機能が一気に動き出すのでカロリーも使いますから、眠りはとても大切にしています。
30代は子どものために生きていたので自分のことは全く考えていなくて、40代に入る頃にモデルのお誘いがあったんです。そこで初めてトレーニングをして2週間で体重を7kg落として、無事にモデルをすることができました。そこからせっかく痩せたんだからとボディメイクの大会に出るようになって。優勝したら楽しくなって、さらにトレーニングにハマって、ついには教える方になってしまったと。今は初めて自分を生きている気がします。
何歳からでも、いつからでも、なりたいと思った時になりたい自分になれる。遅すぎることはありません。あんな服を着てどこどこに行きたいとか、そんなちょっとしたことでもいいので、やりたいと思ったことがあったら諦めずに前に進んでほしいですね。Never give up on your beauty!
肩甲骨まわりエクササイズ
最初は、肩甲骨まわりのエクササイズです。
胸を開き、肩甲骨を引き寄せて、背中の筋肉を鍛えることで、きれいなデコルテと背中のラインをつくっていきましょう。
胸のストレッチと肩甲骨のトレーニング
横向きに寝て、上の足を前方につけ、骨盤を固定して、両手を前に伸ばして手の平を合わせます。
鼻から息を吸いながら、上の手を持ち上げていき、真上を通って後ろへ。目線は上の手の平を追いましょう。
胸を広げる動作はゆっくりと、手の甲を背中側の床につけましょう。
手を閉じる時には口を「う」の字にしてストローで息を吐くようにゆっくり長く吐きながら、元の位置に戻します。
この動きを10回繰り返します。
肩甲骨を寄せる(内転の)動きから、開く(外転の)動きで可動域を広げて姿勢を改善していきましょう。
前の足が浮いてきたり背中側の床に手がつかない方は、胸が硬く猫背の可能性があります。
この動きで、胸を開き、肩甲骨まわりの筋肉をほぐして、猫背や巻き肩を改善していきましょう。
肩甲骨が腕の動きに連動してついて来られるようになることで、肩こりの緩和にもつながります。
続けて、腕を大きく頭上を通り回していきます。呼吸は、鼻から吸って口から吐いて。大きく呼吸を繰り返していきましょう。
上から10回まわしたら、下からも10回まわします。
できる方は、目線で手の平を追っていきましょう。
一連の動きを反対側も同様に行います。
指先はなるべく遠くを通って、肩甲骨の回旋の動きを意識しながら肩を回していきましょう。
動かしづらいところや、引っ掛かりのある箇所は、意識してほぐすことによって猫背の改善につながっていきます。
肩関節は球関節と言って、球体の形をしている360度自由に動かせる関節なので、スムーズに動かせるようになると、姿勢の改善だけでなく、四十肩、五十肩の予防にもつながります。
次は、フェイスタオル2枚を折って、くるくると巻いて使います。
このくらいの高さになるようにしましょう。
タオルが肩甲骨の下あたりに来るように置き、仰向けに寝ます。ひざを立てて、前習えの姿勢をとります。
息を吸いながら万歳します。
息を吐きながら前習えの姿勢に戻ります。
この動きを10回繰り返します。
頭上に手がつかない方は、肩甲骨の上下の可動域が狭く、手の動きについて来ていない可能性があります。
無理をせず、そこからもとの位置に戻しましょう。繰り返し行いながら徐々に床に近づけていくように気をつけていきましょう。
フェイスタオルで楽に胸を反ることができる方は、バスタオルで行ってみてください。
肩と肩甲骨の可動域を意識しながらしっかり動かすことで、猫背を改善していきましょう。
また、この動きは、背骨の柔軟性を高めて、きれいなS字カーブの美しい姿勢づくりにも効果的です。
背中のトレーニング
立って、足を肩幅に開き、万歳をして両手はパーにします。
小指に力を入れてグーにしながら、肩甲骨を寄せるようにひじを背中側に引き、1~2秒止めてからまた万歳しながらパーに戻ります。
この動きを10回繰り返します。
肩甲骨を上から下にしっかり動かしていきましょう。
先ほど行った胸のストレッチで胸郭がしっかり開くようになったので、今度は肩甲骨を寄せた状態をキープしてくれる背中の筋肉を鍛えます。
続けて、手の平をパーにして下に向け、前習えの姿勢をとります。
小指に力を入れて逆手でグーに握り、ひじを閉じながら肩甲骨を寄せるようにV字にひじを後ろに引きます。またパーにして手の平を下に向けながら手を伸ばします。
この動きを10回繰り返します。
肩甲骨を外から内へ動かすことで姿勢を保持してくれる筋肉を育てていきます。
この筋肉が鍛えられると、肩甲骨が寄った形で姿勢を保持してくれるので、デコルテがピンと張った状態になり、猫背や巻き肩の時にできる影がなくなって、レフ版を当てたように顔色が明るく若々しく見えるようになります。
股関節まわりエクササイズ
ここからは、股関節まわりの筋肉をほぐして、骨盤の前後傾を整えて、姿勢を改善していきます。
股関節のストレッチ
ひざ立ちになり、片足を一歩前に出します。
上体を前にスライドし、後ろ足の股関節を伸ばします。体は前足にくっつかないように、後ろへ反らしましょう。
この動きは、股関節を曲げるときに使う腸腰筋をストレッチしています。
腸腰筋は、デスクワークなどで股関節を曲げた状態が続くと、硬く縮んで伸びづらくなってしまい、お尻の筋肉が使えず、骨盤の歪みを引き起こします。しっかり伸ばして骨盤を正しい位置に整えましょう。
そのまま、前足の内側に両手をつきます。
後ろ足のひざを持ち上げ床から離し、さらに腸腰筋の伸びを感じましょう。
股関節の位置が高いと伸びが足りないので、股関節はなるべく床に近づけて、痛みを感じるところまで下げていきましょう。
上半身と下半身をつなぐ腸腰筋を伸ばすことで、背骨と骨盤を安定させて美しい姿勢の保持に効果的です。
続けて、アクティブストレッチです。 体を上下に振って、さらに腸腰筋を動かしていきます。
10回程度、縦に振りましょう。
腸腰筋を動かして、股関節まわりの血行を促進することで、老廃物が流れやすくなり、足のむくみや冷えの改善にも効果的です。
足の裏側のストレッチ
後ろ足を引き寄せ、両手は前足の横につき、よーいドン!の体勢を取ります。
前後の足のひざを伸ばしてお尻を持ち上げ、前足のもも裏の筋肉とふくらはぎの筋肉をストレッチしていきます。
後ろのかかとが上がっていると伸びないので、しっかり床につけておきましょう。
後ろ足を床につけることで、後ろ足のふくらはぎや太ももも伸びてきます。
続けて、アクティブストレッチです。
体を前後に振って、さらに前足、後ろ足のふくらはぎや太もももを伸ばします。10回程度、前後に振りましょう。
もっとできる方は、体を後ろに振ったときに前のつま先を上げましょう。
骨盤が後傾の方は、足の裏側の筋肉が硬いので、ストレッチでほぐすことで骨盤を正しい位置に整え、猫背の改善も期待できます。
続けて、後ろ足を床に下ろし、後ろ足に座って前足のひざを伸ばします。
できる方は、つま先を持って手前に引き、足の裏側の伸びを深めていきましょう。
ふくらはぎの筋肉を伸ばすことにより、骨盤の後傾を防ぎます。 また、ふくらはぎの筋肉が、伸びたり縮んだりすることでポンプ作用になり、代謝が上がってむくみの改善につながります。
太ももの前側のストレッチ
前足のひざを立て、後ろ足のひざはなるべく後ろの方につきます。
足先を持ってかかとをお尻につけ、前の手を一歩前に出し、体重を前にかけていき、太ももの前側をストレッチしていきましょう。
骨盤が過前傾の方は、前重心になり太ももの前側が張って硬くなるので、前ももの筋肉をしっかりほぐして骨盤を正しい位置に整え、姿勢を改善していきましょう。
また、反り腰の改善にもつながります。
さらにアクティブストレッチです。
かかとを一度お尻から離してもう一度つけていきましょう。ひざが痛い方は、タオルを畳んでひざの下に置きましょう。この動きを10回程度、繰り返します。
一連の動きを反対側も同様に行います。
- 小林園子さん プロフィール
パーソナルトレーナー。女性専用パーソナルジム「Dolce」代表。
学生時代8年間チアリーダー(ソングリーダー)を続けトレーニング三昧の青春を送る。その後、社会人生活を経て結婚、出産。子育てが落ち着いてから自らのトレーニングを再開し、トレーニンングとコンディショニングについて本格的に学び、トレーナーの道へ。フリーのトレーナーとして大手ジム等で指導に当たる。2022年5月に女性専用パーソナルジム「Dolce(ドルチェ)」をオープンした。
女性専用パーソナルジム Dolce 公式ホームページ
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ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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