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眠りを誘うツボ押し ~不眠タイプ別ツボ押しでぐっすり快眠~ 鍼灸師・マッサージ師 はりあやこさん

今回は、寝つきが悪い、熟睡できないなどで、睡眠の質に悩みを感じている方に、不眠のタイプ別に眠りを誘うツボ押しをご紹介します。ご自身が当てはまるタイプを選んで行っても、全部行って日頃の疲れを癒してお休みいただいてもOKです。美容や健康にも良いツボですので、一緒に行っていきましょう。

眠りを誘うツボ押し 不眠タイプ別ツボ押しでぐっすり快眠 鍼灸師・マッサージ師 はりあやこさん

※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。

ないけど、ある!それがツボ!?

ツボとは、体の反応点であり、治療する側からすると、診断点でもあり、治療点でもあります!?そもそもツボとは、体の反応点であり、治療する側からすると、診断点でもあり、治療点でもあります。

ではツボってどこにあるのかというと、まず私たちの体の中には、経絡という、気や血など、生きるエネルギーが流れる通路のようなものがあります。経絡は、全身にはりめぐらされていて、内臓や筋肉、皮膚などとつながり、体の機能を調節しています。それと同時に、病もこの通路を通ると考えられています。

ツボは、その経絡上の皮膚に近い場所にあり、例えば肝臓が悪い時は、そこにつながっている経絡に何か異常が現れ、それがツボに現れる。鍼灸師は、そのツボを反応点として見ていくわけです。経絡もツボも、解剖したところで、神経や血管のように、実際に見つけることはできません。でもあるんですよ(笑)。

真ん中に戻る力=自然治癒力を整える

自然治癒力を整える 東洋医学では、人間は何かに偏りすぎたり何かが過ぎてしまうことで病になり、偏りがあっても真ん中に戻ってくる力があると健康につながると考えます東洋医学では、人間は何かに偏りすぎたり何かが過ぎてしまうことで病になり、偏りがあっても真ん中に戻ってくる力があると健康につながると考えます。人間にはもともと真ん中に戻る力が備わっていて、それは西洋医学でいうホメオスタシス(恒常性)や自然治癒力です。ホメオスタシス(恒常性)や自然治癒力が弱まってしまったら真ん中に戻れないし、あまりに強い偏りになってしまった場合も戻れない。そんな時にバランスを取りながら、本来あるべき心と体に戻そうと働きかけるのが東洋医学なんですね。

診断の基準となる考え方のひとつに「虚実論」があります。病になった時に、治るパワーが足りないのが「虚」。体の中に余分な何かが多すぎて邪魔をして、痛みや病を治せない状態が「実」です。

なので、「虚」の場合は足りないものを補って、「実」だったら余分なものを取り去ればいい。すごくシンプルな考え方ですが、人間はそんなに単純ではなくて、両方が合わさっていることが多いです。例えば不眠の場合、忙しくてストレスフルなのに、疲労困憊で眠るエネルギーが足りないとか。ですから、まずは余分なものを取り除いてから、不足しているものを補おうと考えます。

陰と陽のパワーが眠りをコントロール

陰と陽のパワーが眠りをコントロール 「陰陽論」も診断基準のひとつです。陰陽は、世の中にある、あらゆるものを2つの性質に分ける考え方です。例えば、「昼と夜」「太陽と月」「明暗」「熱寒」「動と静」など、2つは対立関係にあるけれど、お互いを補完しあうことで、世界はバランスよく統一されています。

昼が陽で、夜は陰。お日様がてっぺんに上がる頃に陽の力が極まり、午後になって日が落ちてくると陽の力が弱くなる。そうすると今度は反対に陰の力が増していき、夜中に陰が極まって、夜明けに向かうと陰が弱まり、陽が強くなっていきます。そういう陰陽のサイクルの中で私たちは生きています。

不眠の原因のひとつに、「陰の不足」が考えられます。夜に、心身をクールダウンさせるための陰のパワーが上がってこないと、陽のパワーが暴走してしまい、体が「休め」の体勢にならないので、寝つきが悪くなってしまうと。よく車のエンジンとラジエーターに例えますが、車を動かす時にはエンジンが必要です。それと同時に、エンジンを冷ますためのラジエーターの水も必要で、両方あって車は安全に走れます。人の体も同じで、陰のラジエーターが少ないとエンジンが空焚きになって、熱が上がってしまい寝られない。また体がほてったり寝汗をかいたりといったことも起きてしまいます。

大切な人とのスキンシップにも♪

「湧泉」は、余分な水を含んでいる場合は排泄を促して、逆に乾燥気味の時には水の巡りをよくしてくれます ご紹介している「湧泉」は、水のツボとも言われ、余分な水を含んでいる場合は排泄を促して、逆に乾燥気味の時には水の巡りをよくしてくれます。このように、同じツボでも流したり補ったりどちらの作用にもなります。「ツボを押す」とは「スイッチを押す」という意味で、どう反応するかはその人次第で、その人にとって良い方に変わっていくはずなんです。私たちには自然治癒力という素晴らしいパワーが備わっているので、ぜひツボ押しでご自身の体をいたわっていただきたいですね。

ご自身でやるだけでなく、親子とかご夫婦とか気心の知れた方にやっていただくと、スキンシップというまた違った効果も出るのでおすすめです。スキンシップは、相手への信頼感を高めたり、ストレスを抑えて不安を減少させたりするホルモン(オキシトシン)の分泌が高まると言われています。しかもこのオキシトシンは、触れられている側よりも、触れている側の方が多く分泌されると言われています。なので、ツボ押しは、押される側、押している側の双方にとって、幸福感や免疫力アップなどの効果も期待できるんです。

体が弱っている高齢者の方などに行う場合は、ツボの位置をさするだけでもいいと思います。相手の方が心地いいと感じるくらいの強さで、何より愛情を持って(笑)、やって差し上げてください。

実践!眠りを誘うツボ押し

ツボの押し方

ツボは場所に関わらず、親指で心地いい程度に押します。
呼吸法と合わせるとより効果的です。
息を吐く時は体の力が抜けやすいので、息を吐きながら5秒ほど押し、息を吸う時に圧を弱めます。
5回程度繰り返してください。

またツボは、体の左右対称の位置にあるので両方行いましょう。

1.不眠のツボ「失眠」

睡眠の質を高めて、ぐっすり眠るための代表的なツボ、「失眠(しつみん)」です。

失眠(しつみん)かかとの真ん中ツボの位置は、かかとの真ん中です。
ツボに両手の親指を重ねて押します。

かかとは固い部分ですので、親指の代わりに棒などで押しても構いません。また、椅子に座ってかかとにゴルフボールを当ててツボ押ししてもOKです。

失眠のツボを押すことで足裏や足先の血行が促進されます。
体の末端を温めると深部体温が下がりやすくなり、寝つきが良くなると言われています。

2. ストレスフルで寝つきが悪いタイプ「太衝&合谷」

高まった興奮を抑えて寝つきを良くしてくれるツボ、「太衝(たいしょう)」と「合谷(ごうこく)」です。
ストレスで気持ちが落ち着かず、なかなか眠れないというタイプの方におすすめです。

太衝 足の甲の親指と人差し指の骨の付け根、二つの骨が重なる手前の凹みまずは太衝です。
ツボの位置は、足の甲の親指と人差し指の骨の付け根、二つの骨が重なる手前の凹みです。
押すと少し痛いことがあります。イタ気持ちいい程度に押しましょう。

太衝のツボは、気持ちを安定させて、心に溜まったモヤモヤをスッキリさせてくれます。
また、血の巡りを良くして、婦人科系のトラブルや美肌効果も期待できます。
このツボは、肝機能を高めて、体をデトックスしてくれる作用もあるので、二日酔いの改善にもおすすめです。

合谷 手の甲で親指と人差し指の骨が交差する付け根の凹み続いて合谷です。
ツボの位置は、手の甲で親指と人差し指の骨が交差する付け根の凹みです。
押すと気持ちがいいことが多いです。

合谷のツボは、太衝のツボとセットで刺激することで、ストレスを緩和して、緊張を和らげ、眠気を感じやすくする効果が期待できます。
ストレスが多く、交感神経が高めで、夜になっても目が冴えてなかなか寝つけない方におすすめです。
合谷のツボは、腸内環境を整える作用もあるので、便秘を改善する効果や、免疫力を高めて疲労や倦怠感を改善する効果も期待できます。
また、頭痛、肩こり、肌荒れやニキビなどの肌トラブルにも効果的な万能のツボです。

3. 心身が疲れて眠れないタイプ「足三里&三陰交」

滋養強壮、疲労回復のツボ、「足三里(あしさんり)」と「三陰交(さんいんこう)」です。
疲労困憊なのに、よく眠れないというタイプの方におすすめです。

足三里 すねの骨の外側にある筋肉の真ん中で、ひざのお皿の下からご自身の指4本下まずは足三里です。
ツボの位置は、すねの骨の外側にある筋肉の真ん中で、ひざのお皿の下からご自身の指4本下にあります。
押すと少しツンとしたイタ気持ちいい感覚があることがあります。

足三里は 胃腸の調子を整えてくれる有名なツボです。
弱った胃腸を元気にして、全身の疲労を回復し、睡眠の質を高める効果が期待できます。
また、体内の水分バランスを整える作用があり、全身のむくみを改善する効果も期待できます。
このツボは、松尾芭蕉が毎日ここにお灸をして東海道を歩いたと伝わる、健脚のツボとしても有名です。

三陰交 ツボの位置は、すねの骨の内側のライン上で、内くるぶしの骨の先端からご自身の指4本上続いて、三陰交です。
ツボの位置は、すねの骨の内側のライン上で、内くるぶしの骨の先端からご自身の指4本上にあります。
ライン上を指で下から上に軽くなでていくと、凹みを感じることもあると思います。

三陰交は、「女性のツボ」とも言われていて、生理痛、生理不順など、女性の血にまつわるトラブルに効果が期待できます。貧血の方にもおすすめです。
寝てもすぐに目が覚めるといった症状は、血が不足している状態にあると考えられます。
体に血液を満たし、脳血流量も十分であれば、深い眠りにつけると考えられています。

4. 体の巡りが悪く眠りが浅いタイプ「復溜&湧泉」

体に熱がこもって眠りづらい、寝汗をかきやすい、更年期を迎え眠りが浅いというタイプの方におすすめのツボ、「復溜(ふくりゅう)」と「湧泉(ゆうせん)」です。

復溜 アキレス腱のキワのラインで、内くるぶしからご自身の指3本上まずは復溜です。
ツボの位置は、アキレス腱のキワのラインで、内くるぶしからご自身の指3本上にあります。

復溜は、昼間にたくさん活動した体をクールダウンしたり感情を静かに沈めてくれるツボです。
体にこもっている余分な熱を冷ましてくれますので、冷えやのぼせ、ホットフラッシュや寝汗を抑える効果が期待できます。更年期を迎えている方には特におすすめです。
体を潤す作用もありますので、年齢にともなう肌の乾燥や、髪のパサつきなどのケアにもおすすめです。

湧泉 足裏を三等分して、指の付け根から約1/3のところにあり、足の指をグーにした時にできる足裏の凹み続いて湧泉です。
ツボの位置は、足裏を三等分して、指の付け根から約1/3のところにあり、足の指をグーにした時にできる足裏の凹みです。

湧泉は、全身の水分代謝の改善が期待できるツボです。
余分な水分を排泄する作用があるため、足の冷えや足のむくみ、頻尿などの泌尿器系のトラブルにも効果的です。
年齢を重ねて、なかなか眠れなくなってきたと感じる方にもおすすめのツボです。

5. 不安や興奮を癒すツボ「攅竹」

不安や興奮が強くて眠れないという方におすすめのツボ、「攅竹(さんちく)」です。

攅竹(さんちく)眉頭の少し下のくぼみ、目を囲む骨のふちツボの位置は、眉頭の少し下のくぼみ、目を囲む骨のふちにあります。
親指を当てて、骨に指をひっかけるように、少し上気味に押します。

攅竹のツボは、心を落ち着かせる作用があり、不安や興奮を沈めて寝つきをよくしてくれる効果が期待できます。
また、目の周りの血流をよくするので、眼精疲労や目の充血、まぶたのけいれん、頭痛にもおすすめです。
目の周りの筋肉を和らげて、気持ちを穏やかにしてから眠りに入るといいでしょう。

鍼灸師・マッサージ師。睡眠コンサルタント、睡眠健康指導士、せんねん灸セルフケアサポーター。はりあやこさんはりあやこさん プロフィール
鍼灸師・マッサージ師。睡眠コンサルタント、睡眠健康指導士、せんねん灸セルフケアサポーター。「麻布十番鍼灸マッサージサロン happysleep hariayako」代表。
大学を卒業後、約10年間テレビ・映像業界に従事。華やかさとは裏腹に、眠りに悩みを抱え薬に頼る人々の姿を見て、薬以外にもっとhappyな方法はないかと考え、東洋医学に辿り着き、鍼灸師、マッサージ師の国家資格を取得。都内のクリニックにて8年間にわたり、医師、理学療法士、看護師など、多くの医療従事者と一緒に統合医療に従事した後、独立開業。さらに睡眠に関する知識を深めたいと、睡眠コンサルタント、睡眠健康指導士の資格を取得。現在までに、延べ2万人以上の患者のケアに携わる。
麻布十番鍼灸マッサージサロン happysleep hariayako HP

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