足裏の筋肉を鍛えて、5本指と足裏全体でしっかりと床をつかんで歩けるようになると、結果として基礎代謝の向上や美姿勢・美脚づくりにつながります。また、運動能力の向上や足の疲れの軽減、血行促進による冷えやむくみの改善も期待できます。外反母趾や偏平足が気になる方も、ぜひ一緒に行っていきましょう。
※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
足裏の筋力が弱まったり、足指で床を掴む感覚が落ちたりすることで、一番分かりやすく影響が出るのは姿勢です。左右の足裏全体で床を押せなくなると、体のバランスが崩れて姿勢が悪くなります。本来は足裏で地面を踏みしめ、その反動で体は動くのですが、足裏の筋力が落ちるとそれが出来なくなり、歩行や運動のパフォーマンスが落ちてしまいます。結果ケガをしやすくなったり姿勢が悪くなったりします。
足裏や足指をしっかり使えないと、重心が後ろにかかりやすくなります。すると指先が反り返るように床から浮く、「浮指」になってしまうことがあります。指先が浮くことでかかと重心になり、さらに姿勢が悪くなると、反り腰や肩こり、頭痛などにも影響します。
ご自身では、浮指だと気づいていないこともあります。まずは足指の腹が床についているかどうかをチェックしてみましょう。1本の指だけ浮いていたり、第一関節だけが浮いていることもあります。立って、ご家族などに正面から見ていただくのもいいでしょう。
反対に足裏が鍛えられると、姿勢が良くなり、歩行や運動のパフォーマンスが上がります。代謝も良くなるので、ダイエットの効果を感じられたり冷えが改善されたりすると思います。
足指と足裏を使えていないと感覚が鈍ってきてしまうので、ご紹介しているメニューで刺激を与えてみてください。色々な刺激があるほうがいいので、素足で生活したり昔ながらの竹踏みをやってみたり、時には芝生の上を裸足で歩いてみたり。かかとの上げ下げをやるのもいいでしょう。
毎日ペタンコ靴を履いている方は、週1~2回は3~4cm程度のパンプスや底の厚いスニーカーでいいので、少しかかとがある靴を履いてみてください。ペタンコ靴には、歩く時にかかとから着地する意識を持ちやすいという利点がありますが、反面、かかとに重心が乗りやすいので足指が浮きやすく、ふくらはぎも使われにくくなります。毎日続けると、かかと重心がクセになってしまい、お尻が落ちて肩が前に出た姿勢になってしまうことがあります。
ヒールのある靴を履くと、いやでも重心が前にいって、指裏で地面を押している感覚が出てきます。重心の位置を確認するという意味でもおすすめです。
ご紹介しているメニューはフルで行わなくて大丈夫ですが、ほぐしとトレーニングはセットで行うようにしてください。たくさん歩いた後や1日お仕事をした後など、足首が凝り固まった疲れた状態のまま、いきなりトレーニングをやると、違うところを使ったり力が入ったりして、足がつってしまうこともあります。けがの予防という意味でも、ほぐしてからトレーニングをしましょう。入浴をして体を温めてから行っていただくのもいいですね。
楽しみながら、リラックスしながらやることもポイントです。それと“ながら”でやるよりも、きちんとご自分の足を見て向き合ってやるのがおすすめです。ダラダラやるよりも逆に時短になると思います。
姿勢改善のためには、上半身などを鍛えることももちろん必要ではありますが、地面に一番近いのは足裏なので、そこから正していくことも非常に大切です。足裏のトレーニングを1日のルーティンに入れてもらえばうれしいですが、あまり気張らずに「続けられること」をやっていただきたいです。
私は歩く時、足で歩くというより腰で歩く感じで歩幅を広くしています。地面を踏み込んで着地する意識も高まりますし、太ももの裏やふくらはぎも伸びているのがわかります。代謝も上がってダイエット効果もあります。
足指のトレーニングは血行が良くなるので、夜に行うとよく眠れるという方も多いですね。私は普段から良く眠れる方だと思いますが、疲れ過ぎや緊張が強いと眠れなくなることがあるので、そんな時は深呼吸を4~5回しておふとんに入るようにしています。
心身ともに健康でいたいので、運動、食事、睡眠のバランス、そして家族とのコミュニケーションを大切にしています。やはりメンタルも伴って初めて健康だと思うので。特に今は子どもが小さいので、スマホやテレビを見る時間があったら、家族で出かけたり触れ合ったり。夫婦でも、お互いを見ているとちょっとした変化に気付くので、コミュニケーションは大切にしています。もちろん毎日そんなにパーフェクトな生活は送れないので、頑張り過ぎずちょっと緩めに(笑)。
足指と足裏のほぐし
1.足首回し
トレーニングの前に足指と足裏をほぐします。
足指と足裏をほぐすとことで、無駄な緊張がとれて後半のトレーニングの効果も高まりますので、しっかりと丁寧にほぐしていきましょう。
足指の間に手の指を入れます。
指が入らない方は無理をせず、指の上から全体をつかんでも構いません。
そのまま足首を回します。大きく丁寧に回しましょう。
5~6回まわします。
反対回しも行います。
続けて、足の指と手の指を互いに力を入れてぎゅっと握ります。足の指もしっかり力を入れましょう。
少し血流が滞る感覚がありますが、それで大丈夫です。
そこからパッと手足の力を緩めます。血がスーッと流れる感覚があると思います。
もう1度行います。
反対の足も同様に行います。
2.足指ほぐし
次に、足指を1本ずつほぐしていきます。
まずは指をやさしく回します。
続けて引っ張ります。
さらに指の根元からつま先まで、ほぐします。
側面も根元からつま先まで、さすっていきます。
これを1本ずつ左右すべての指に行います。
反対の足も同様に行います。
お時間がある方は1本ずつじっくりほぐしていくと、さらに効果が高まります。
手の指は1本ずつ使えますが、足の指は5本まとめて使ってしまうと思います。1本ずつほぐして刺激を与えることで、眠っている指の感覚を呼び覚ましていきます。
左右の指でも感覚が違うと感じる方もいらっしゃると思いますが、感覚がにぶいと感じる指は、じっくりほぐして刺激を与えてあげましょう。
ほぐしていくと、血流がアップするので体もポカポカしてくると思います。足先の冷えにお悩みの方にもおすすめです。
3.足指関節だし
次は、関節だしです。
足指を丸めて、中足趾節関節が出るように、指先に向かってパンをこねるようなイメージでほぐしていきます。
関節が出ない方が多いと思いますが、出る方も出ない方もやさしくさすっていきましょう。
反対の足も同様に行います。
中足趾節関節が出ない方は、浮指または浮指予備軍と言われています。
浮指とは、足を床についた時に、指先が床から浮いてしまう状態のことで、浮指の人はかかと重心になり、姿勢が悪くなります。反り腰や肩こり、頭痛などにも影響します。
関節は一度で出るものではありませんが、毎日続けていただくと少しずつ浮き出てきますので、ぜひ続けてみてください。
続けて、反対に指を反らせていきます。
手の平全体を使って手前に反らせならが、足指を前に押していきましょう。
足指を伸ばしながら足裏の伸びも感じていきましょう。
無理をせず気持ちいい程度で行うことが大事です。
指を1本ずつ反らしていくのもおすすめです。
反対の足も同様に行います。
足指を離したり、開いたりすることが目的ではなく、足指を刺激して1本ずつの感覚を呼び覚ますことが大切です。
4.足裏表ほぐし
次は、足の表と裏をほぐしていきます。
まずは足裏です。
土踏まずを中心に手の指でもみほぐします。
続けて、手の親指の関節で、かかとからそれぞれの指先に向かって押し上げていきます。
痛い必要はないので、気持ちいい程度で行いましょう。
30秒~1分程度行いましょう。
反対の足も同様に行います。
次は、足のおもて面、足の甲です。
手をグーにして指の関節を使って、やさしくなでるようにさすっていきましょう。
力は入れずにコロコロと、足の甲から足首、くるぶし周り、足の指の表面までさすっていきましょう。
30秒~1分程度行いましょう。
反対の足も同様に行います。
足の表をさするという何気ない動きですが、足の甲がストレッチされて指先が伸びやすくなるので、次に行うトレーニングの効果を高めてくれます。
しっかりほぐすことで足首も柔らかくなって、つまずきや転倒防止にもつながります。
お時間がある方は、丁寧に時間をかけて行いましょう。
足指と足裏のトレーニング
1.足指ジャンケン
足指と足裏のトレーニングです。
足首は力を抜いた状態で、指でグーチョキパーをしていきます。
長座になります。
頭を上に引っ張るように背筋を引き上げて座り、腹筋や背筋も意識していきましょう。
ひざが浮いてしまう方は、お尻の下にたたんだバスタオルなどを敷いてみてください。
まずは指を丸めてグーです。
足裏の真ん中に向かって、指全体をグーっと力を入れて丸めていきます。
次はチョキです。
親指が手前、残りの指は向こう側です。
今度は反対側のチョキです。
親指が向こう、残り4本が手前です。
最後はパー。
親指と小指を、扇を開くように思い切り開きます。
これを繰り返します。
これだけでも汗ばんでくるくらいの運動量があります。
この動きを10~15セット程度行うと効果的です。
続けて、少し早めにグーパーをしていきます。
途中で疲れた時は、少し足先をブラブラしたり回したりして、ほぐしてから再開します。
開きにくい指は、つまんだりして刺激を与えていきましょう。
ここも指を開くことが目的ではなく、1本ずつ機能させることが目的です。
10セット程度行うと効果的です。
2.足指ボタン
続いて、指を1本ずつ動かせるようにするトレーニングです。
ひざを立てて、足裏を床にしっかりつけた状態から、手で足指全体を一度起こします。
両足一緒に行っても、片足ずつでもOKです。
まずは、手を使って構いませんので、小指から1本ずつボタンを押すように床に下ろしていきます。
今度は反対に、親指から1本ずつ起こしていきます。
ご自分の右足と左足、どちらの感覚が鋭いのか鈍いのか、確認していきましょう。
手の指を使ってこの動きができた方は、次は手を使わずに行ってみてください。
少し床を押し付けるようなイメージで、1本ずつぎゅっと下ろしていくのがポイントです。
この動きはゆっくりで構いません。
4~5セット程度続けてみてください。
3.足指引き寄せ
次は、指を引き寄せるトレーニングです。
片ひざを立てて、足裏を床にしっかりつけた状態から土踏まずを上げて、引き寄せるという動きです。
指裏で床を押しながら、中足趾節関節を持ち上げて、土踏まずを引き上げます。
ポイントは、指の第一関節を床から離さないことです。
最後に床から指先を離す必要はありません。
引けるところまで引いたらストップです。
この動きはゆっくりと20回程度繰り返して行うと効果的です。
反対の足も同様に行います。
土踏まずを持ち上げた時に、指先が丸くなってしまうと意味がありません。
指の第一関節を床から離さず、指の腹で床を押す感覚を残して、中足趾節関節と土踏まずを起こして自分の方に引き寄せていきます。
引き寄せる感覚が分からない方は、タオルを敷いて指で引き寄せてみましょう。
足指だけではなく、足裏も使って引き寄せることが大事です。
指裏で床をつかんで、中足趾節関節を持ち上げ、土踏まずを引き上げる動きを意識して行っていきましょう。
このトレーニングは、足指と足裏の筋力アップにとても効果的です。
4.足指・足裏起こし
次も足指と足裏のトレーニングです。
長座になって、両足のつま先を伸ばします。
その際、土踏まずを引き上げて指先を伸ばすようにしてみてください。
足の表をほぐしたときに、足首から指にかけてコロコロしたので、伸びやすくなっていると思います。
まず指だけを起こします。
足全部を起こします。
指先は残して、足の甲を伸ばします。
最後に、指先を伸ばします。
この動きを8セット程度行うと効果的です。
5.足指立ち
最後は、これまでのトレーニングの効果を確認する意味も含めたメニューです。
ひざ立ちになり、片足を前に出します。
かかとを上げて指の上までもっていきます。
この時、足に体重をかけ過ぎて足首を痛めないように、何かに掴まって行ってください。
足首周りが硬い方は、無理にかかとを上げずに、上げられるところまでで構いません。
20秒ほどキープします。
反対の足も同様に行います。
指が丸まっていると足首が伸びません。
指先と足首はしっかり伸ばしましょう。
土踏まずがしっかり起きて、指が丸まっていないことが大切です。指の根元で真下に向かって床を押せているかを確認しましょう。
また、かかとが小指側や親指側に偏らないように、まっすぐ前に向いていることも大切です。
歩く時に指が丸まっていると、足首がしっかりと伸ばせず、歩幅が小さくなってしまいます。
指先がしっかり伸びていると、足首が伸びて床を押せるようになり、しっかりと蹴り出して歩けるようになります。
- 野津彩子さん プロフィール
バレエ講師、「アヤコ・バレエ・クルール」代表。
5歳からバレエを始める。橘バレエ学校卒業。元 牧阿佐美バレエ団。橘バレエ学校教師課程修了。2019年5月、自由が丘に大人のためのバレエ教室「アヤコ・バレエ・クルール」をオープン。現在、基礎・初級を中心としたクラスを開催。大人から始めるバレエ初心者や、子どもの頃にバレエを習っていた人、基礎を見直したい人向けのレッスンを行っている。またプライベートレッスンや企業向け「美姿勢講座」なども行っている。YouTube「アヤコバレエクルール」では、バレエダンスエクササイズなども人気。
アヤコ・バレエ・クルールHP
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また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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