今日は寝る前におすすめの、ストレッチ用のポールを使ったエクササイズをご紹介します。深い呼吸に合わせて行うことで副交感神経が優位になり、リラックスしてお休みいただけます。また不安定なポールの上に寝るだけでも、バランスを取ろうとして体幹が鍛えられますので、無理のない範囲でぜひ続けてみてください。
【注意事項】
背骨に疾患のある方はエクササイズを控えてください。
またポールに寝た時に痛みが生じた場合はすぐに中止してください。
ポールエクササイズを行う床面は、同一素材でかつ、段差のない平面で周囲に障害物のない足元が安定した場所で行ってください。
最近はいろいろなエクササイズの道具がありますが、ポール状のものは、ポール自体の不安定さを利用して筋肉トレーニングやエクササイズとして使用するほかに、筋膜アプローチの中でも、かたいと感じる部分にポールで刺激を与えて、身体をゆるませることを目的とした利用方法があります。
今回は前者で、中でも動的ストレッチを使ったエクササイズのご紹介です。動的ストレッチというのは、身体を動かしながらストレッチしていくもので、例えばラジオ体操も動的ストレッチのひとつなのです。
動的ストレッチにポールを使うと、各関節の可動域を広げて動くことで血液循環を促し、また体幹部分の筋肉のバランスが整い背骨をより良い状態に導く助けになるので、姿勢改善にも大きな効果が期待できます。特に今回のメニューは、肩こりの方や猫背の方には良い運動になります。最近の方は、スマホの影響による姿勢の崩れを感じますので、ぜひ取り入れてほしいです。
ポールを使ったエクササイズは、インナーマッスルの強化にも有効です。実は男性は女性の半分くらいしかインナーマッスルがないと言われています。
大昔、男性は狩りなどをする大きなパワーが必要で、女性は家事や子育てなどで継続的に身体を動かしていました。そうした男女の生活習慣の違いから、男性はアウターマッスルが、女性はインナーマッスルが発達していって、それが現代人の身体の根幹にも残っているそうです。そういう意味で、ポールを使ったエクササイズは、男性はよりトレーニングのし甲斐があるのです。
またインナーマッスルが成長すると、アウターマッスルの働きを長持ちさせることにつながります。つまり疲れにくい身体になっていくのです。スポーツ選手がインナーマッスルに注目するようになった理由です。いずれにしても男性も女性も、インナー・アウター両方の筋肉がバランスよくついているのが理想です。
ポールは目的に合わせて選びます。今回のようなエクササイズに使われる場合は、ポールの上に寝られる長さと、不安定さを感じられる固さが必要だと考えます。
ただ、痩せて骨ばっている方や背中の筋肉が少ない方だと、痛くて寝ていられないケースがあります。そういった方は柔らかめが良いと思いますが、柔らかいとその分、身体が沈むので不安定性が減ってエクササイズが簡単になってしまうという面もあります。
一方、ポールの円周が大きいほど、寝てエクササイズをする時に高さが出るのでハードになります。ビギナーの方は、細目で長め、少し柔らかめのものが良いでしょう。一番の方法は、専門知識を持った方の元で、一度実物を試してみることです。その上で、適したものを購入されることをおすすめします。
私は背面の筋バランスを整えたい時や、肩甲骨周りの可動域を広げたい時などに、レッスンでもポールを使いますが、多くのお客様から効果が分かりやすい、身体の動きを実感しやすいという感想をいただきます。
メニューを実施する時は、深呼吸に注目してください。また“大きくゆっくり”動くことが大切です。早く何度も動かすのではなく、“数より質”を目指しましょう。
エアロビクス、サーキットトレーニング、バレトンといった、アクティブなエクササイズと組み合わせる場合、クールダウンで取り入れることをおすすめします。特に今回のメニューは寝る前に行うことを想定しているので、“1日のクールダウン”をするイメージで、その日の疲れを和らげましょう。注意点として、大きな動きを行った後は疲れもあって早く動きがちです、深呼吸をしながらゆっくり行いましょう。
眠りと深呼吸は学術的にも深い関係が証明されています。ゆっくり深呼吸を行い、ご自身の身体に集中する時間を持ってみましょう。
1.腕のエクササイズ
首や肩のこりにおすすめのエクササイズです。
首、肩、肩甲骨、背中周りの筋肉をほぐして、血流を促し、左右のバランスを整えることで不必要な筋肉の緊張を和らげます。
ポールに仰向けに寝ましょう。両足を腰幅より広く開いて、足を踏ん張ります。頭、背中、お尻の3点がポールにつけて、30 秒ほどそのまま深呼吸をしましょう。
快適に寝ていられるか確認しましょう。
★ポールに仰向けに寝た時に、背中が浮いてしまう方は、バスタオルを頭の下に挟んでみましょう。
★また、床の上でポールが滑りやすい場合は、ヨガマットなどを敷きましょう。
アームサークル
ポールに仰向けに寝たまま深呼吸をしながらゆっくり腕を回します。
この時、肩甲骨から大きくゆっくり動かすようにイメージしましょう。
10回 程度繰り返します。
シザーズ
両手を天井に上げ、片方ずつ交互に上げ下げします。
ポールが揺れないように、バランスを取りながらゆっくり繰り返します。
左右1セットとして8セット程度行いましょう。
スウィングアーム
ひじを90度くらいに曲げたまま、スイングするように横から頭の上に向かって動かします。
肩甲骨の動きを感じながら、ひじを腰まで引きつけるように戻します。
★早く、回数を多く行うことよりも、ゆっくり深呼吸をしながら大きく行いましょう。
10回程度繰り返しましょう。
2.足のエクササイズ
腰痛におすすめのエクササイズです。
腹筋を意識して行うことで、腰痛による筋バランスの崩れを調整します。
腰の準備運動
まずは腰の準備運動として、腹筋に意識を向ける練習をしましょう。
ポールに仰向けに寝て、息を吐きながらお腹を凹ませ、腰をポールに近づけます。
吸って腰を戻します。
数回繰り返し、腹筋を意識しましょう。
腰痛におすすめのエクササイズ
それでは、腹筋の意識を保ったまま、左足を伸ばします。
この時、腰が反りすぎないように、お腹を凹ませる意識を持ちましょう。
★遠くに引っ張られるようなイメージで、股関節の間を長く伸ばします。
深呼吸をしながら、ひざを曲げましょう。
★かかとを床に擦りながら、ゆっくり戻します。
2~3回繰り返しましょう。
右足も同様に行います。
続けて腕の動きをつけます。
先ほどと同様に左足を伸ばし、対角の右腕を頭の上に上げます。
手足を一緒に戻します。
★深呼吸をしながらバランスを取り、ゆっくり行いましょう。
2、3回繰り返します。
片方になれてきたら、反対も同様に行いましょう。
右足を伸ばし、左腕を頭の上に上げます。
手足を一緒に戻しましょう。
★手足を同時に使うことで、体のバランスが整います。ポールがぐらつかないように、急がずゆっくり行いましょう。
2、3回行いましょう。
3.上半身のエクササイズ
呼吸を意識しながら、上半身のエクササイズです。
深い呼吸は、寝つきを良くする効果も期待できます。
準備運動
正座になり両手を前に伸ばしてポールに乗せます。
深い呼吸をしましょう。息を吸う時には、鼻からゆっくり吸って身体が膨らんでいくのを感じます。吐いた時には、お腹を凹ませるよう腹筋を意識して、深呼吸をします。
上半身のエクササイズ
深呼吸をしながら両手でポールを少し抑えながら転がして、肩や脇、背中を伸ばします。 肩や首の力は抜きましょう。
お腹を凹ますように意識をして、おへそを後ろに引っ張るように骨盤を後ろへ戻します。
この時、股関節を広げるように意識をしましょう。
★小指側を押す意識を持つと肩に力が入りにくくなります。またポールをぎゅうぎゅう押し過ぎないように。軽く転がすように行いましょう。
★気持ちよく伸びるところまで、遠くまで押し出します。
10回程度繰り返しましょう。
4.肩甲骨のエクササイズ
肩甲骨のエクササイズで、首や肩甲骨周辺の筋肉を動かして血流を促し、背面の筋肉を使うことで姿勢を整えます。
うつぶせで両手を頭の上に上げてポールに手首を乗せます。
深い呼吸をしながら、両手でポールを抑えて、腕ではなく肩甲骨を動かすように意識をしながら、ポールを手前に引き、肩と耳を引き離すように首を長く保ちます。
★肩を上げ下げする動きと、ポールを連動させて転がします。深呼吸をしながら、肩甲骨周りの筋肉が気持ちよく伸びるところまで押し出し、戻しましょう。
これを10回程度繰り返しましょう。
- 清水まいこさん プロフィール
- バースピラティススタジオ主宰。ストットピラティス認定フルインストラクター。
幼少より様々なダンスを学び、企画・振付・演出に携わる。1999年にピラティスと出合い、自分の身体の内側と深く向き合って身体をより良い方向に導いていくピラティスの考え方に心を動かされる。妊娠出産を期によりピラティスの効果に確信を持つ。現在は、マシンを用いたピラティスレッスンに加え、筋膜へのアプローチを学び、ストレッチポールやバランスボールなど様々な小道具を使った指導も行う。特にマタニティピラティス、産後ピラティスに力をいれている。
「バースピラティススタジオ」HP
‐免責事項‐
ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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