今回は、短時間の強度の高いインターバルトレーニングで、効率良く、効果的に脂肪を燃焼して体を引き締めていきましょう。体への負荷を軽減したメニューなので、筋トレが苦手な方も気軽にトライしていただけるトレーニングです。
※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
サーキットトレーニングのひとつである「HIIT(High-Intensity Interval Training)」は、高強度の運動とリカバリーを交互に行っていくことで、心拍数をできるだけ上げて追い込んで運動効果を出すというものです。追い込んでいくトレーニングなので、ジャンプ系の動きが多いです。
対して「HILIT(High-Intensity Low-Impact Training)」は、低衝撃や低負荷を意味するローインパクトという言葉が入っている通り、簡単に言えばHIITからジャンプ系の動きを除いたトレーニングです。ジャンプをせず、体の可動域を大きく使ったダイナミックな動きで体を追い込んでいくような内容です。
とは言えHIITと同様に、HILITも動いて休むというメニューを繰り返すので、トレーニング後に脂肪が燃焼しやすい状態が続くという特長があります。またジャンプがないので関節への負担が少なく、運動習慣がない方や運動が苦手な方、さらに飛び跳ねる動きはマンションではやりにくいという方にも、HILITはおすすめです。
HIITの次にHILITが出てきた理由は2つあります。ひとつは、高負荷のトレーニングは心拍数が上がって高い運動効果が得られる一方で、アスリートではない一般の方は、そこまで追い込むスキルや体の強さがないことで追い込みきれないケースがあったんです。
もうひとつは、これまでは心拍数を自分の最大心拍数の8~9割まで上げて追い込まないと、効果が出ないと言われていました。しかし最新の研究で、7割ぐらいの心拍数でも同程度の運動効果が得られることが分かってきました。そこから低負荷のHILITが生まれたという背景もあります。
ジャンプ自体は、骨密度を高めたり関節を強くしたりする効果もあります。ローインパクトのトレーニングで動きに慣れてきたら、以前ご紹介した「自宅で10分!サーキットトレーニングで脂肪燃焼ダイエット」やその上級編など、ジャンプのあるトレーニングに移行していただくのもいいですね。
ウォーミングアップには、関節の可動域を広げるとともに、心拍数を少しずつ上げていく役割もあるので、必ず行ってください。ケガの防止にもなりますし、メイントレーニングで大きく動けるようになるので、運動効果を高める意味でも重要です。
クールダウンも大切です。お尻や太もも、ふくらはぎ、背中や胸など、使った筋肉を30秒から60秒ぐらいかけてじっくり伸ばしましょう。大きな筋肉を伸ばすポンプ作用によって、疲労で溜まった乳酸などが流されます。
筋肉は休ませることで成長していくので、週1回ぐらいから始めて、慣れてきたら週3回ぐらいトレーニングできるといいですね。初めは追い込もうとして力んでしまい、身体が硬くなりがちです。追い込みたい時ほどリラックスして、可動域を大きくのびのび動くことを意識しましょう。その方が、筋肉がしっかり動いてきます。
追い込む目安は、“息は上がっているけど、やや会話はできる”ぐらいです。ただ難しい点が、心肺機能的なきつさと筋力的なきつさは違うんですね。心拍数は上がっていないけど、筋力がなくてグラついてしまうといった場合、まずは一つひとつの動きをゆっくり行って、動きと筋力を使うことに慣れるところから始めましょう。慣れてきたら徐々にスピードを上げていくと、心拍数も上がりやすくなります。
トレーニングは、安全・効果・効率の3つが揃うことが大切ですが、HILITは衝撃が少ないという安全性があり、時間的にも効率が良く、効果面でも短時間でぐっと心肺機能を高めて、ダイエット効果も期待できるので、優れたトレーニングだと思います。
私もトレーニングクラスでHILITを取り入れることがあります。参加された方からは、きついけどすごく達成感があるとか、短時間だけどすごく汗が出たとか、終わった後も燃焼している感じがするとか、そういったお声を聞くことが多いですね。
私としては、本当はいろいろな運動をしていただきたいと思っていますが(笑)、まずはこのトレーニングが体を動かすきっかけになったらいいと思います。そこから段々と体を動かすことが習慣化していくといいですね。
※トレーニングの前後や合間に適宜水分補給を行いましょう。
1.ウォーミングアップ(4分)
手と足をブラブラと揺らして、筋肉をほぐしていきましょう。
足を肩幅に開いて、両手を胸の前で組み、体を縮めます。
組んだ手を上にグーッと引き上げて、全身を気持ちよく伸ばしたら、手を離して、リラックス。
3回繰り返します。
ひざを少し曲げて、片手は肩、片手は腰に置いて、ひじを前から5回まわします。胸を横に開くように、肩甲骨から大きく動かして肩回りをほぐしていきます。
反対も同様に行います。
足をクロスして、クロスした足と同じ側の手を上に。体を横に倒して、体側を伸ばします。
少しだけひざを曲げるとバランスが取りやすくなります。
反対も同様に行います。
左右交互に3回ずつ繰り返します。
足を肩幅よりも大きく開いたら、両手をももに置いて、左右交互にひざを曲げていきます。
5回目で少し止まってキープです。
股関節周りや内ももをストレッチしていきます。
左右2セット行います。
足を前後に開いて、後ろ足と同じ側の手を上に伸ばします。ひざを曲げて体も少し横に倒します。腰を少し前に押し出しながら、ももの付け根を伸ばしていきます。
ひざを伸ばして上体を起こし、手を胸の横に戻します。
これを5回繰り返します。
反対も同様に行います。
足を軽く前後に開いたら、両手をももに置いて、お尻を後ろに。体をくの字にして、前足のももの裏側を伸ばします。
続けて、立ち上がって股関節を伸ばしましょう。
5回繰り返します。
最後は、体をくの字の状態で止め、前足のつま先を上げて、ふくらはぎも伸ばしていきます。背中が丸まらないように背筋を伸ばしていきましょう。
反対も同様に行います。
2.メイントレーニング(6分)
1種目40秒行って、20秒休みます。これを6種目行い合計6分のメニューです。
前半はヒップや足腰など下半身を強化、後半は体幹を意識しながら上半身を鍛えていきます。
前半
横移動スクワット
足は肩幅に開き、両手は胸の前で組みます。軽くひざを曲げて、上体は少し前傾姿勢です。
そこから3歩横に移動したら、深くスクワットをして床をタッチします。
ひざが、内側に入ったり、外側に開いたりしないように。ひざをまっすぐ正面に向けましょう。
背中が、丸くなったり、反ったりしないように、頭からお尻までまっすぐ一直線になるように意識します。
横移動の時は浅めに、3歩目はももと床が平行になるくらい深くしゃがみ込みます。
しゃがんだ時も背中が丸くならないように気をつけましょう。お尻をしっかり引くことで、お尻やももの裏側が強化されます。
この動きを40秒間繰り返します。
きつい方は、3歩移動したら、軽くしゃがみ込むだけでOKです。
終わったら20秒間のインターバルを取ります。
足踏みを続けながら、次の動きを確認しましょう。
ランジ&ニーアップ(片足20秒ずつ・両足で40秒)
足を前後に大きく開き、後ろのかかとは上げた状態で、前足はしっかり床につけ、ひざを曲げたランジの姿勢です。両手は上に伸ばします。
ひざが内側や外側に向かないように。ひざとつま先をまっすぐ正面に向けましょう。
ランジの姿勢から後ろ足を一気に持ち上げてニーアップ。ひじも引き下げます。
バランスを取ろうとすることで体幹が鍛えられ、バランス力も向上します。ピタッと一瞬止まるイメージで行うとより効果的です。
この動きを片足20秒繰り返します。
足を入れ替えて20秒繰り返します。
きつい方は、手は前に伸ばします。
ニーアップの時は、ひざを上げずに、つま先を床にタッチしてきましょう。
終わったら20秒間のインターバルを取ります。
足踏みを続けながら、次の動きを確認しましょう。
バッククロスランジ
足を肩幅に開いた状態から、片足を反対の足の後ろにクロスして、しゃがみます。スクワットのように少し前傾姿勢で、両手を胸の前で組みます。
鼻からおへそまで真っすぐのまま、垂直にしゃがみこんでいくことでお尻に効いてきます。
足を開いて戻り、両手も横に開きます。両手を広げることで、全身を大きく動かしていきましょう。
体がグラグラしやすいので、できるだけ体の中心軸を意識して動いていきましょう。
反対も同様に行います。
この動きを40秒間繰り返します。
きつい方は、しゃがみ方を浅くしてみましょう。
終わったら20秒間のインターバルを取ります。
足踏みを続けながら、次の動きを確認しましょう。
後半
横移動ベアポーズ
四つ這いになり、両手を肩の真下に、ひざは腰の真下に置きます。ひざを少し浮かして横に3歩移動します。
頭からお尻まで、できるだけ真っすぐに。横移動の時、できるだけ腰が揺れないように。
動きを安定させて動いていくことで、より体幹が鍛えられます。
3歩移動したら、戻ります。
この動きを40秒間繰り返します。
きつい方は、移動せずにその場で5秒ひざを浮かします。一度ひざを下ろしたら、すぐに上げましょう。
終わったら20秒間のインターバルを取ります。
足踏みを続けながら、次の動きを確認しましょう。
バランスサイドプランク(片側20秒・両側で40秒)
横向きのポジションで、ひざは後ろに曲げ、ひじは肩の真下に置きます。
ひじから腰、ひざまでを一直線にして、腰を持ち上げて、上の手は上げます。そこから上の足を開きます。
上体を動かさないようにキープして、ひざを前後に動かして、股関節を曲げて伸ばします。
体幹の中でも下の脇腹・腹斜筋に効いてきます。また足を動かすことで股関節周りのエクササイズになり、支える側の腕や足の強化にもつながります。
この動きを片側20秒、反対側も20秒繰り返します。
きつい方は、足を動かさずに基本姿勢のままキープしましょう。
終わったら20秒間のインターバルを取ります。
足踏みを続けながら、次の動きを確認しましょう。
スイミングバックエクステンション
うつぶせになり、両手両足を開きます。
そこから手足を持ち上げて、パタパタと大きく動かしていきます。
頭が上がり過ぎないように、首を長く保って行いましょう。
体の中心軸をしっかり意識して、胴体が手足と一緒に動かないように。手足の付け根から動かしていきます。
バランスを取ることで体幹、手足を地面から持ち上げることで、背中やお尻など体の背面側が強化されます。
5秒動いたら下ろす。
この動きを40秒間繰り返します。
きつい方は、腕だけ動かしてみましょう。
※トレーニング終了後は、ゆっくりと呼吸を整えながら、使った筋肉を30秒から60秒程度じっくり伸ばしてストレッチしましょう。
- 田中 いずみさん プロフィール
ACSM(アメリカスポーツ医学会認定運動生理学士)、NASM-PES(パフォーマンスエンハンスメントスペシャリスト)、(社)日本母子健康運動協会認定 産後運動指導者、Radicalfitnessジャパンマスタートレーナー。
エアロビクス、格闘技、トレーニングやコンディショニングなどフィットネス全般の指導に従事し、機能的な身体づくり、楽しく効果的な指導を得意とする。また、インストラクターの育成、エクササイズ開発、フィットネスクラブやイベント等で幅広く活躍。また、パーソナルトレーナーとしても活動している。過去にはNHK-BS2「ドゥ!エアロビック」にもレギュラー出演した。
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また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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