歌をもっと上達させたい、音程を上手く取れるようになりたい。そんな方におすすめのボイストレーニングが今回のテーマです。腹筋の使い方と声の響かせ方を連動して使えるようになると、声が安定して高音も出しやすくなります。ぜひ、このトレーニングを行って、カラオケで気持ちよく歌ってくださいね。
※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
スクールの生徒さんは、3~4割がプロ、あるいはプロの歌手を目指している方で、残りの6~7割は、趣味で歌いたいとか歌にコンプレックスがある方なんです。
また、ご本人は全然歌に興味がないけど、接待でカラオケに行くとか、上司がカラオケ好きで連れていかれるとか(笑)、それで歌えるようになりたいと通われるケースも結構あります。
ボイストレーニングは、お悩みや目的によって練習方法も違ってきます。今回ご紹介したメニューは、声量が足りない、息が持たない、喉が痛くなるといった方の他に、音がずれているのは分かるけど、合わせられないタイプの方に適しています。
音程が合わせられない、いわゆる音痴の原因はいろいろです。先ほどの、音がずれているのは分かるけど合わせられない方。自分の発声している音や伴奏を聴かずに、自分が歌うことに集中してしまって、結果的にスピードやリズム、音程がずれてしまう方。あとは、自分が出している音が、そもそも合っているかどうか自分で判断できない方などです。
自分の発声している音や伴奏を聴かずに歌ってしまっている方は、まず自分の声や伴奏を聴くクセをつける必要があります。ヘッドホンやイヤホンをしたり耳を塞いだりして歌うと、自分の声がよく聴こえるのでチャレンジして欲しいです。今回のトレーニングと併せてやっていただけると効果的です。
自分が出している音がそもそも合っているかどうか分からない方は、歌える曲があれば、まずはカラオケの採点機能を使うとシンプルに判断できるのではないかと思います。歌自体歌えそうにない場合、ピアノとチューナーのアプリを使えば、一音だけ出すことで判断できます。
チューナーアプリは、ギターなどのチューニングに使うもので、鳴らした音が正しい音か判定できるんです。なので、ピアノで一音鳴らして、その音に合わせて声を出してみる。その声がピアノの音と合っているかをチューナーで確認する、という手順でやってみてください。
筋トレ前に多少ランニングすると効果が増すように、ボイストレーニングをする前にも準備運動をした方が、効果が増します。全身をリラックスさせるためにストレッチをすると有効です。
また声を出すための筋肉は、太ももや股関節周りからもつながっています。お相撲さんの股割りのように、股関節の可動域を広げていくと、声の伸びも良くなるんです。実際に、柔軟性が増しただけで、格段に歌が上手くなった人もいるんですよ。歌うことは全身運動ですから、重心をしっかり保てる体を作ることで声の伸びも良くなります。
男性は高い声を出す時に、首が前に出てしまう方が多いんです。試しに壁に背中と頭をぴったりつけて、首が前に出ないように意識しながら練習してみてください。舌が滑らかに動くことも大切なので、前回の「滑舌トレーニング」のように割りばしをくわえて歌うのもいいでしょう。
カラオケで選曲する際、リズムやメロディーが細かく動いたり、歌詞が詰まっていたり、地声と裏声を使い分けるような楽曲は、難しい印象があるかもしれません。アイドルグループの歌や歌謡曲は、比較的歌いやすいのではないかと思います。
歌は老化防止や認知症予防にも使われているぐらいですから、健康維持のために有効にお使いいただけるのではないかと考えています。歌う際は腹筋を使うので、代謝のアップが期待できますし、血の巡りが良くなることで冷えの改善にも一役買います。
また、歌うことはストレス発散にもなりますので、忙しい日本人の息抜きにもいいですね。自分の声が成長していくのを感じていただければ、自信もついて、より楽しく音楽と触れ合っていただけると思います。
1.腹式呼吸
お腹を使って空気を吐いて、吸う感覚をつかむことで、お腹のどの部分を使って声を出していくかを理解する大切な練習です。
① お腹で吐く・吸う
椅子に座った状態で、足は少し広めに開き、前かがみになります。前かがみになることで、お腹の動きを感じやすくなります。
口から空気を強く太く吐き、お腹に力が入るのを感じるまで、しっかり吐き切りましょう。吐き切ったところでお腹の力を抜くと、自然にお腹に空気が入っていきます。
何度か繰り返して、おへそよりも下の部分が動いていることを確認しましょう。
② お腹を固める
床にひざを立てて座り、手はお尻より遠くに置きます。ひざの内側とかかとをピッタリとつけたまま、足を上げてキープします。
手を離して、おへその下のところに置きましょう。
この時、力が入っているお腹の筋肉が、歌っている時に使う筋肉です。お腹が固く締まっている状態を覚えて、立っている時も同じ状態をキープできるようになりましょう。
2.ウォーミングアップ(リップロール)
次に、ウォーミングアップとして、唇を震わせるリップロールを行います。
この動きで口まわりの筋肉を緩めましょう。息の量を調節したり、音程を安定しやすくします。
上下の唇を突き出すようにして、「プルルル~」と音を鳴らしてみましょう。口の力を抜くことがポイントです。
上手くいかない場合は、唇の両脇を指で少し上げたり、すぼめたり、横に開いたりして、唇を震わせやすい場所を探してみてください。
① スタッカート
まずは、リップロールしながら、音を弾ませるスタッカートで「プルッ・プルッ・プルッ・プルッ・プルッ」と音程を上げていきましょう。
ピアノで音程をチェック
ピアノで音を確認しながら行いましょう。
※ピアノ音はスマーフォンのアプリにもありますので使ってみてください。
② ツナギ
次は、「プルル~ルルル~ルルル~ルルル~ルルル~」とつなげて行います。
③ サイレン
次は、サイレンのように「プルルルルルルル~⤴ プルルルルルルル~⤵」と1オクターブ分、音程を上げ下げします。
3.声を響かせる練習(ハミング)
音程を取るのが苦手な人は、発声した音の響きが悪く、ご自分の声をきちんと聴けていないケースがあります。鼻に音を集めるハミングで声を響かせる練習をしましょう。
まずは、「フゥ~ン」と相槌してみましょう。これもハミングの一つです。のどではなく、鼻に音を響かせることがポイントです。眉間の辺りを意識して、鼻の奥が振動するような感覚をつかみましょう。
わかりづらい方は小鼻の上を触ってみてください。ブルブルと振動を感じればOKです。少し高い音の方が出しやすいです。
① スタッカート
まずは、ハミングしながら、スタッカートで「フンッ・フンッ・フンッ・フンッ・フンッ」と音程を上げていきましょう。
② ツナギ
次は、「フ~ン~ン~ン~ン~」とつなげて行います。
③ サイレン
次は、サイレンのように「フゥ~~~~~⤴ フゥ~~~~~⤵ 」と1オクターブ分、音程を上げ下げします。
4.高音を出しやすくする練習
芯があり、響きの良い音を上下させることで、広い音域でキレイに発声しやすくなります。
声帯を閉じ芯のある声を出せるようにする練習と、鼻に響かせる感覚を養う練習を、平行して行うことで高音を出しやすくしていきましょう。
高い声を出す時に、時々首が前に出てしまう方がいます。その場合は、壁に背中と頭をぴったりつけて、首が前に出ないように意識しながら練習するのもおすすめです。
① スタッカート
まずは、「ガ」と発声しながら、スタッカートで音程を上げていきましょう。声帯を閉じる練習で、芯のある声を出せるようにします。
② ニェイ
次は、「ニェイ」と発声しながら、つなげて音程を上げていきます。ハミング同様に、鼻に響かせる感覚を意識しながら行いましょう。
5.裏声を出しやすくする練習
ハミングの時と同様に、人差し指で鼻を押さえて、そのまま発声することで鼻に音が響きやすい状況を作ります。
歓声を上げるイメージで「ウゥー」と言いながら、音を出します。低音から始めても良いですが、できるだけ高い音を出します。
音が上手く鳴ればOKです。上手く出せない時は、できるだけ口を細くすぼめたり、鼻を押さえる位置を変えてみたりしましょう。
「ウゥー」とキレイに鳴るようになったら、音が鳴った瞬間に指を外します。そのまま音を上下して音質が変わらなければ成功です。
歌う姿勢
カラオケで歌う時は姿勢も大切です。立って歌う方が声は出しやすいですが、立ち座りどちらの場合も、体が縮こまっていると歌いづらくなります。
あごを少し上げ気味にして、猫背にならないよう少し胸を張って歌ってみてください。
- 河野ひかりさん プロフィール
- ボイストレーナー。Beeボーカルスクール所属。
3歳よりモダンダンス、ピアノ、エレクトーンを始める。高校でボーカル、ジャズダンス、ミュージカルを始め「青い鳥」「Annie」に出演。卒業後、音楽専門学校に進み、ボーカル、ダンスパフォーマンスを専攻。在学中、世田谷FMのパーソナリティーや、渋谷AXでのライブイベントの司会等を務める。卒業後、TBS系列局のレポーター、試写会・披露宴などの活動の幅を広げ、キッズショーダンサー、ホットヨガインストラクター、女優、モデル業なども行っている。
Beeボイススクール ホームページ: http://www.bee-music.jp/vocal/
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ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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