立ち仕事や終日のデスクワークによる疲労や姿勢が原因で、腰痛にお悩みの方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ツボ押し、ストレッチ、筋トレを組み合わせた、腰痛の緩和だけでなく予防にもおすすめのメニューをご紹介します。どれも簡単にできる内容ですので、お仕事中やテレビを見ながら、気軽に続けてみてください。
腰痛が起こる代表的な原因は主に4つあります。1つ目は、長時間同じ姿勢が続いて筋肉が凝り固まっている、カバンを常に一方の肩にかけて姿勢がゆがんでいるといった、関節や筋肉に起因するものです。2つ目は坐骨神経痛のような神経が原因のもの。3つ目は内臓からくるもので、生理痛もこれに当てはまります。また腸などが悪くなることで腰に痛みが出ることもあります。最後は、ストレスによる心因性の腰痛です。また、筋肉とストレス、筋肉と神経といった具合に、複合的な原因で痛みが出ていることも多いですね。
内臓や身体から神経を通じて送られてきた刺激を、脳が認知することで、人は「痛い」と感じます。ランナーズハイという言葉がありますね。マラソン中、苦しくて身体が鉛のように重かったのが、途中からいきなり軽くなり、走るのが楽しくなるといった状態です。これはβエンドルフィンという鎮痛作用がある脳内麻薬物質が出て、苦痛を緩和させることで起きる現象と言われています。ランナーズハイは極端な例ですが、人間は通常ある程度の痛みを、無意識にコントロールしています。「仕事に集中していたら、腰痛を忘れていた!」そんな経験をされた方もいらっしゃると思います。これも、痛みがコントロールされているからです。ところがストレスを受け続けると、自律神経が乱れてその力が弱まり、それまでと同じように過ごしていても、コントロールしきれなくなった痛みを感じるようになるんです。痛みを感じるようになったことが、またストレスになるという悪循環に陥ることもあります。
今回ご紹介しているメニューは、筋肉が硬くなり、筋肉に酸素がいかなくなった結果、腰に痛みが出ているようなケースをおもに対象としています。また、お尻の筋肉が硬くなることが一因の坐骨神経痛や生理痛にもおすすめです。ただし、ぎっくり腰など重い症状の方は控えてください。
メニューを実施する際は、まずは無理をしないことです。「1.ツボ押し①委中(いちゅう)」のツボは、ひざ裏のリンパもあるところなので、強く押し過ぎず、イタ気持ちいいくらいが目安です。ツボの中には、あざを触っているような痛みを感じるところもあります。そのような時は、さするだけでもいいでしょう。「6.腰のストレッチ」は、背中を丸めずに行うことがポイントです。
筋肉をやわらかく保つと、腰痛の緩和だけでなく予防にもなります。お仕事中であればトイレに立ったついでに行うなど、こまめに取り入れてみてください。
ご紹介しているツボにお灸をするのもおすすめです。腰に直接お灸をするのは難しいと思いますので、お腹にすえて温めてあげると腰にも効いてきます。お休み前であれば、ストレッチなどで体を動かした後に、お灸で体を温めてリラックスするといいですね。ただし、お灸の匂いが気になる方は、入浴前に行うことをおすすめします。
腰痛以外にも、最近疲れが取れない、眠りにくい、イライラすると感じている方は、体が非常に疲れているサインです。忙しい生活が続くと、交感神経が働いて体も緊張状態が続いてしまい、腰痛を起こすこともあります。そうした時は、睡眠時間を確保することはもちろん、リラックスして食事をするとストレスを和らげて、腰痛の軽減にもつながります。また呼吸が浅くなっていることがありますので、意識して深呼吸をしてみましょう。
特に女性は、疲れがたまるとホルモンバランスが崩れて、お肌や髪の色つやも悪くなってきます。腰痛だけでなく、そうした体のサインも読み取って、早め早めのケアをしていただきたいですね。今回のメニューは、1日にたくさんやるよりも、少しずつでも長く続けて習慣化することが大切です。ぜひ続けてみてください。
<ご注意>
以下の症状の方は、行う前に医師の診断をおすすめします。自己判断での実施はおやめください。
・強い痛みが長期にわたって続いている方
・安静時も痛みが続いたり、寝ている時に痛みで起きる方
・腰痛以外の症状を伴っている方(下半身の痺れや痛み、筋力低下など)
・重いものを急に持ち上げたり、腰を強く捻った等の原因がはっきりしている方
腰には上半身と下半身から様々な筋肉がつながっています。委中のツボを押すと、座りっぱなしで固くなっていた下半身の裏側から背中までの血流を良くして、腰痛の軽減につながります。
ひざ裏の中心、コリコリとしたり痛みを感じるところが委中のツボです。椅子に座り、片足を前に出して両手の中指と薬指で委中を10秒ずつ3回押しましょう。
反対の足も同様に行います。
後谿は、腕から頭や首肩をほぐしてくれるツボです。デスクワークや同じ姿勢で緊張した身体を緩め、腰痛を和らげる効果も期待できます。
手を握って小指側に出来る深いシワの端が後谿のツボです。手の平を上に向けて開き、反対の手で小指を握り、親指で後谿を10秒ずつ3回押しましょう。
反対の手も同様に行います。
脊柱起立筋の両脇にある志室というツボを押します。志室は腰の痛みが出やすいところです。押しながら体を傾けることで、脊柱起立筋を刺激してマッサージ効果もプラスされます。
① おへその真裏の背骨から指4本分、外側にあるのが志室のツボです。座った状態でウエストに手を添えます。
② 親指で志室のツボ押しながら、体を横に傾けていきます。
5秒ずつ3回行いましょう。
反対も同様に行います。
同じ姿勢で凝り固まった下半身を、ストレッチでほぐして血流を促すことで、腰周りの血流をアップさせ、腰の痛みを和らげます。
① 椅子に浅く座ります。骨盤をまっすぐ立て、坐骨の上に身体が乗っているのを意識しましょう。
片足を伸ばし、伸ばした足のももに両手を軽く置き、腰を丸めないようにまっすぐ上半身を倒し、10秒キープします。ひざ裏の伸びを感じましょう。
② 続けて、伸ばした足を反対の足に乗せ、同じように10秒、上半身を倒します。お尻まわりの筋肉を伸ばしていきます。
③ ①~②を反対の足でも同様に行います。
腹横筋は「天然のコルセット」とも呼ばれ、鍛えることで姿勢も良くなり、腰痛の予防や緩和が期待できます。筋肉が凝り固まると呼吸も浅くなっていきますので、筋肉を大きく動かして呼吸を行い、血流をアップしていきましょう。
① 椅子に浅く座り、坐骨で座るように骨盤を立てます。 まず、1回肩を回して肩甲骨の力を抜きましょう。
② 鼻から息を吸いながら、お腹を膨らませ、息を吐きながら、お腹を凹ませていきます。おへそが背骨にくっつくようなイメージでゆっくり息を吐きます。
息を吐ききったら、息を止めたまま5秒キープしましょう。
あと4回繰り返します。
最後に、腰のストレッチで気持ちよく伸ばしていきましょう。身体のゆがみを整えることで腰の痛みを和らげます。
① 指を組み、手の平を上向きにして腕を上げ、背中を伸ばします。上から腕が引っ張られているようなイメージで、かかとが持ち上がるくらい伸ばします。
② そして、手の平を後ろに向け、骨盤を前に突き出すように、腰を伸ばしましょう。
③ そのまま、左手で右手をつかみ、右手を引っ張りながら左に身体を傾けます。右が気持ちよく伸びていたら効いています。
反対も行います。
右手で左手をつかみ、同じように伸ばしましょう。
- 逸見 愛さん プロフィール
- 鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師。病を患った友人が薬の副作用に悩んでいたことをきっかけに医療の道を志す。自分に何かできることがないかと考え、鍼灸やリフレクソロジーを学び始める。資格取得後は、鍼灸整骨院や人気美容鍼サロン「麻布ハリーク」に勤務。現在は独立して自身のサロンを開業。健康で内側から輝くような美しさを引き出すサポートを目指している。
‐免責事項‐
ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
ケガ・体調不良などにつきましては、当コンテンツ制作者は一切の責任を負いかねます。