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美容と睡眠
コラム

美容コンサルタント美羽Miu

vol. 42高齢者にとっての快眠術とは?睡眠の質を高める5つのポイント

睡眠は、私たちの健康を支える大切な時間ですが、年齢とともにその質が変わることをご存じでしょうか? とくに高齢者では、睡眠時間の減少や質の低下が起きやすく、ぐっすり眠れないと感じる方も少なくありません。
とは言え、適切な生活習慣や環境づくりで、心地よい睡眠を取り戻すことは可能です。今回は、高齢者の睡眠の特徴と、睡眠の質を高めるためのポイントをお伝えします。

高齢者の睡眠の特徴

高齢者の方の中には、「なかなか寝つけない」「ぐっすり眠れない」と感じる方が多くいらっしゃいます。これは決して特別なことではなく、健康な方であっても、眠る時間や睡眠の質は年齢とともに変化していくものなのです。


特徴1:睡眠時間が短くなる

年齢を重ねるにつれ、睡眠時間は短くなっていく傾向があります。たとえば、20代の頃に7〜8時間の睡眠で「ちょうどよい」と感じていた人も、60代以上になると6時間ほどの睡眠で自然と目が覚めてしまうことは少なくないのです。このような変化は、多くの人に生じます。


特徴2:睡眠の質が低下しやすい

高齢者の睡眠でとくに目立つのは、眠りの質の低下です。これも加齢に伴う自然な現象なのですが、深い眠りである「徐波睡眠」の時間が減り、夜中に何度も目が覚めてしまう「中途覚醒」が増える傾向があります。


特徴3:睡眠障害のリスクが増加する

特徴3:睡眠障害のリスクが増加する高齢者では、睡眠障害の症状も現れやすくなります。たとえば、夜によく眠れず昼間眠くなってしまう「不眠障害」が引き起こされたり、横になると下肢に不快感が生じて眠りが妨げられる「むずむず脚症候群」が起きやすくなったりする傾向があります。
さらに、睡眠中に呼吸が一時的に止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」についても、高齢者の発症リスクは若者より高いとされています。これは、加齢によって喉や口周りの筋肉が衰え、気道が狭くなりやすいためです。
このように、加齢によって睡眠にもさまざまな変化が生じます。


高齢者の睡眠に影響を及ぼす3つの要因

要因1:身体的な変化(ホルモンバランスの変化)

要因1:身体的な変化(ホルモンバランスの変化) 睡眠を促し、睡眠の質とも関連するホルモンであるメラトニンは、加齢に伴って分泌のリズムが変化していきます。メラトニンは、夜間に多く分泌され、睡眠と深く関わっていますが、年齢を重ねると夜間の分泌量が減ってしまいます。
さらに、年齢を重ねるとともに睡眠中に尿意で目覚めやすくなることがあります。夜間に1度以上尿意で目が覚める「夜間頻尿」は、睡眠の中断を引き起こしますので、中途覚醒の原因の1つになります。


要因2:体内時計の前倒し

人間の身体は、24時間より少し長い周期の「体内時計」によって、睡眠と覚醒のリズムなどさまざまなリズムを調整しています。
この体内時計は、加齢とともに少しずつ前倒しになっていく傾向があり、睡眠と覚醒だけではなく、血圧・体温など多くの生体機能リズムが前倒しになる傾向があると言われています。


要因3:活動量の変化

身体の痛みなどで運動することを避けてしまい運動不足になりがちです。運動不足で日中の活動量が低下すると、夜に疲労感を感じにくくなり、眠りにつきにくくなったり、眠りが浅くなったりするおそれがあります。
また、定年退職などで家にいる時間が増え、子育てなど家庭での役割も減ると、布団の中で過ごす時間が長くなる傾向があると言われています。必要な睡眠時間は短くなっているのにかかわらず、布団の中ですごす時間が長くなると、睡眠効率が下がって睡眠で休養がとれている感覚が低下してしまうおそれがあります。



高齢者の睡眠の質を高める対処法

年齢に伴う睡眠の変化は自然なことです。しかし、不眠の辛さなど、困った症状を我慢し続ける必要はありません。睡眠の質は、生活習慣や環境を整えることで、ある程度改善できます。ご自身で取り組みやすい対処法を、5つご紹介しましょう。


対処法1:布団の中にいる時間を必要な睡眠時間+30分に

長時間布団の中にいることは、健康上のリスクを高める要因となります。布団の中にいる時間の目安は、実際に睡眠をとっている時間に30分程度を加えた時間とされています。夜は眠気を感じてから布団に入るように心がけましょう。布団の中にいる時間を制限し、日中はできる限り活動的に過ごすことが重要です。


対処法2:適度な運動

日中に身体を適度に動かすことも、睡眠の質を向上させるのに効果的です。ウォーキングや軽いストレッチなど、無理なく取り組める運動を習慣にしましょう。


対処法3: 仮眠は30分まで

仮眠をとることで認知症の発症リスクが下がると言われています。
ただし、長い時間仮眠をとってしまうと、夜の眠りが妨げられてしまいます。目覚まし時計などを活用し、30分以内に起きられるようにしましょう。


対処法4:リラックスできる習慣

ストレスは、睡眠の大敵です。心の緊張を和らげるために、自分に合ったリラックス法を日々に取り入れていきましょう。とくに、夕食後から寝る前までのリラックス習慣は大切です。たとえば、「軽い読書をする」「好きな音楽を聞く」「ゆっくり湯船に浸かる」「アロマを楽しむ」など、夜にほっと一息つける時間を設けてみてください。
また、寝る前に布団の上で深呼吸や瞑想を行うと、副交感神経が優位になり、リラックスした状態で眠りやすくなります。


対処法5:快適な寝室環境の整備

対処法5:快適な寝室環境の整備 良い睡眠のためには、寝室環境を整えることも大切です。寝室は、静かで暗く保ち、温度や湿度を快適に保ちましょう。温度は「夏は25℃前後、冬は19℃前後」、湿度は「夏は50~60%、冬は40~50%」を朝まで保つようにしましょう。
また、自分の体に合った寝具や寝間着を選ぶことも重要なポイントです。枕やマットレスは自分に合った硬さや高さのものを、寝間着には吸湿性や吸水性の良い天然素材のパジャマを選ぶと、眠りがより快適になります。




【監修】東京ベイ・浦安市川医療センター CEO / 医師 神山 潤 先生

睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。
旭川医科大学、UCLAでは睡眠の基礎研究に従事。米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。


【主な著書】
・朝起きられない人のねむり学 一日24時間の賢い使い方
・眠りは脳と心の栄養! 睡眠がよくわかる事典 早起き・早寝で元気になれる
・睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 (講談社+α新書)
他多数