今回は寝る前10分の、冷えを改善するストレッチで、血行を促進して体を温めていきましょう。ご紹介するストレッチは、姿勢を整え、肩こりや腰痛の改善効果も期待できます。毎日寝る前に行っていただくことで、自律神経を整えて、体がリラックスした状態になり、質の良い睡眠につながります。一日の疲れを癒してゆっくりお休みください。
※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
冷えの原因のひとつは、柔軟性の不足、つまり筋肉の硬さだと思います。それによって血流が悪くなり、体の末端まで十分に血液が渡っていかない、あるいは血流の戻りが悪いということが考えられます。また体の歪みも影響します。体が真っ直ぐでないと、体がきちんと働かず、巡りが促されません。
リモートワークの方は、通勤回数や日常の活動量が減り、筋肉を動かす量も減りがちです。すると筋肉が熱を発する量も減ってしまい、冷えにつながっていきます。また筋肉自体が少ないことも、冷えの一因です。
一方、自宅にパソコン用の机や椅子がなく、オフィスで働く時以上に姿勢が悪くなっているケースがあります。なるべく背筋を伸ばして、姿勢を良くしてパソコンに向かうように心がけてほしいと思います。また座りっぱなしだと、下半身が固まりがちです。軽くひざを上下させて、ふくらはぎの筋肉を動かしたり、伸びをしたり、お仕事の合間もこまめに体をほぐしてあげてください。
食生活も冷えの原因に挙げられます。寒い地方で採れるものや根菜類は体を温めますが、反対に南方の暖かい地域で採れるもの、例えばトマトやきゅうりは体を冷やす食べ物です。体を冷やすものや冷たい物を好んで体に入れている方は、まずは飲み物を温かいものに変えることから始めてみてください。冬場はお鍋などもいいですね。お野菜もたくさん食べられますし、体も温まります。
あとは、首・手首・足首という“首”がつくパーツを冷やさないことですね。
自律神経の乱れも冷えに関係していると言えます。ストレスがかかると、自律神経がアンバランスになります。交感神経が優位になると、筋肉が硬くなります。筋肉が硬いと血行が悪くなり冷えへとつながる可能性があるので、ご自分のリフレッシュ方法を持っておくこともおすすめです。
ご紹介しているメニューを行う場合、なるべく背筋を伸ばすことを意識してみてください。背骨が真っ直ぐでねじれがないと、呼吸がしやすくなり、体もしっかり働くようになります。また痛みを感じるほど頑張らないこともポイントです。つい頑張りすぎてしまうことがあるので、そこをぐっとこらえて(笑)、ほどほどに抑えていただいた方が効果的です。
呼吸は、基本的に鼻から吸って鼻から吐きます。鼻は呼吸をする場所で、口は食べる場所です。鼻には鼻毛や粘膜のバリア機能があり、「天然マスク」とも言われます。普段、口呼吸をしている方は、このメニューを通じて、ぜひ鼻呼吸も身につけてください。寝る時も自然と鼻呼吸になると、口が乾いて風邪をひくことを減らせると思います。
また今回のメニューは、寝起きに行っていただいても、もちろん大丈夫です。ただリラックスすることを意識したメニューなので、昼間に向けて活動的になるように、伸びや屈伸など交感神経を優位にする動きをプラスしていただくといいと思います。
ヨガクラスにいらっしゃる方などを拝見していて、ご自分の冷えに気付いていない方が多いと感じます。例えばお腹を触ったら冷たいのに、そのことに注意が向かず、冷たいのが当たり前だと思ってしまっています。 そういう方は、冷えがなくなると、本来の調子の良さとはどういう状態か気づくのではないでしょうか。
実は私自身も、冷えを全く自覚していなかったんです。お腹がキンキンに冷えていて、生理痛などもあったのに気にしていなかったんですね。でもヨガを始めて、体が冷えているのはよくないことなんだと気付いて、今は楽になりました。お客さまからも、靴下を履く枚数が1枚減った、汗をかけるようになったといったお声を聞くと、ヨガを通じて冷えにくくなったのかなと感じます。またヨガでゆっくり動いてから寝ると、寝つきがいいといったお声も聞きますね。
家でじっとしていると、体も心もギュッと縮こまってしまいます。少し体を動かして汗をかくだけで、体も気持ちもスッキリします。年齢に関係なく、ぜひ体を動かす習慣は持ち続けていただきたいと思います。
1.足首のストレッチ
まずは、足首のストレッチで足先の血行を促進しましょう。
長座になり、足を少し開いて両足首を回します。ゆっくりと5回まわします。
少しずつ、動きを大きくしましょう。しっかりと足首が動いているか、目で見て確認しましょう。ぎこちなくても、出来る範囲から始めてください。ふくらはぎも動くので、筋肉のポンプ作用により血行が促進され、冷えやむくみ対策に効果的です。
(反対回しも同様に行います。)
続けて、つま先を伸ばしたら、今度は足首を手前に曲げて、ふくらはぎを伸ばします。 5回繰り返しましょう。
無理のない範囲で、つま先を伸ばしながら指先をグーに、足首を手前に曲げながら指先をパーにします。足首や足の指を動かすことによって、末端まで血流を促しリンパの流れをよくします。
2.片足前屈ストレッチ
次は、前屈のストレッチで、ももの裏の血行を促進します。
長座から、右足は前に伸ばしたまま、左足はつま先を内側にして曲げます。
右ひざを曲げ、足の裏に両手を添えます。
ゆっくり前屈して、ももの裏を伸ばしましょう。
20秒キープします。
ももの裏の筋肉群は、骨盤の下からひざにかけてつながっています。ここが硬いと、骨盤が引っ張られ背中が丸まり、猫背の原因になることがありますので、しっかり伸ばしましょう。
ももの裏の筋肉が縮んでいると、ひざが伸びずに歩行時のひざ痛の原因にもなります。ももの裏のストレッチで姿勢を整え、腰痛やひざ痛も予防しましょう。
(足を入れ替えて、反対も同様に行います。)
3.お尻のストレッチ
次に、お尻のストレッチでお尻周りの血行を促進して、冷えを改善していきましょう。
右足は前に伸ばし、左足は上から組み、つま先を体の右側に。
右足首を手前に曲げながら、ゆっくり前屈します。
20秒キープしましょう。
お尻の筋肉は、骨盤を支えて姿勢を整える、重要な役割を担っています。お尻の筋肉をほぐして、姿勢も整えましょう。
お尻の筋肉が使えていないと、周辺の筋肉に過度な負担がかかり、腰痛を引き起こす可能性もあります。お尻の筋肉をしっかり意識しながら、ほぐしていきましょう。
(足を入れ替えて、反対も同様に行います。)
4.猫のポーズ
次に、猫のポーズで、全身の血行を促進し、肩こりも改善していきましょう。
四つ這いになります。手は肩幅、ひざは腰幅に広げ、手は肩の真下、ひざは腰の真下に置きます。
鼻から息を吸いながら背中を反ります。
鼻から吐きながら背中を丸めて視線はおへそに。
これを5回繰り返します。
背中を反る時には、腰を緊張させない範囲で胸を広げます。肩は上がらないように下げ、首を長くします。視線は斜め上に。
背中を丸める時はお尻も丸めるようにして、腰や背骨の間を伸ばすように意識しながら行います。顔に力は入れません。丸める時は、手と足の甲で床やマットをしっかり押します。
背骨や肩甲骨・胸周りの筋肉を動かし、ほぐすことにより、呼吸筋が広がり深い呼吸になります。呼吸を整えることで、自律神経を意識的にコントロールすることができます。さらに体のゆがみを整えることで神経伝達もスムーズになり、自律神経が整いやすく、副交感神経が優位に働いて質の良い睡眠につながります。
5.股関節ストレッチ
最後に、股関節のストレッチで血液を末端から心臓方向へ流します。
仰向けになり、ひざを外側に開き、足の裏を合わせます。両手は体の横です。
鼻から息を吸ってお尻を持ち上げます。 30秒キープします。
吐く息でゆっくりお尻を下ろします。
鼻呼吸で、呼吸を止めないようにしましょう。股関節を開きながら、優しい逆転のポーズです。
血液とリンパを末端から心臓方向へ流しやすくし、冷えや消化機能の改善を促します。また胸を広げることで、猫背の改善や肩こりの予防にもつながります。
- 小野田 貴代さん プロフィール
- ヨガインストラクター、ベビーマッサージインストラクター、ラジオパーソナリティー。学生時代にヨガに出会い、ヨガインストラクター養成講師を経て現在はオンラインを中心に活動。誰もが取り組みやすい、日常に活かすヨガを幅広く伝えている。CM等のメディア監修や健康コラム執筆、 FMラジオパーソナリティーとしても活動。初心者から自分のペースで楽しめる「たかヨガ」もYouTubeで配信中。
公式ホームページ
‐免責事項‐
ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
ケガ・体調不良などにつきましては、当コンテンツ制作者は一切の責任を負いかねます。