今回は、首を長くきれいに見せる「からだ美調律」のエクササイズをご紹介します。猫背や巻き肩も改善して美しい姿勢を保ち、フェイスラインもスッキリして小顔効果も期待できるエクササイズです。胸や背中が緩むことで、深い呼吸ができるようになり睡眠の質の向上にもつながりますよ!

※ 周囲に障害物がなく、足元が安定した場所で行ってください。
首が太くなる原因は、やっぱり頭の重さを支えるので、頭が前に出ると首周りが凝り固まって太くなる、というか筋肉の盛り上がりで短くなるんですね。
では、なんで頭が前に出ているかと言ったら、姿勢が悪いから。そうするとみなさん、胸を張るとか、頭を後ろに持っていくとか、姿勢を矯正するようなことをやられます。でも元々、正しい姿勢ができない身体を矯正するのは無理をしているので、今度は別のところが痛くなるんです。
無理に姿勢を矯正するのではなく、“勝手に良い姿勢になっちゃう身体にもっていく”ことが大切です。それには股関節が動いてくれないと、骨盤が自然と立ったきれいな姿勢にはなれません。まずは股関節・骨盤のエクササイズから始めることで、結果としてきれいな首につながります。
身体を整えて、無理のないきれいな姿勢にしてあげれば、筋肉が変に緊張することもなく、首周りの筋肉も固まることがないので、首は勝手に長くなる。ご紹介しているメニューは、首を長くするわけじゃなくて、勝手になっちゃう。そういう身体をつくっていく感じですね。
根本的に言うと、「身体を緩めて整える」のが「からだ美調律」です。プラス、緩めて整った身体を使えるように、深層の筋肉を全身連動して使っていくというのがメソッドです。でも難しいところが、身体を緩めて整えると言うと、ヨガやストレッチも緩めて整えると思っている方がいるし、深層から筋肉を使うと言うとピラティスだってそうじゃないのと思われる方もいらっしゃる。
そうしたら最近、解剖学の教授がおっしゃったんです。ピアニストさんとかピアノの先生と、ピアノの調律師って別ですよね。どんなに有名なピアニストさんも、ピアノを調律してもらわないとピアノが弾けない。そう考えた時、私は調律師で、ヨガとかピラティスとか身体を使うことを教える方はピアニストだと。
美しい音色を出すためにピアノを調律するように、身体を動かす前に調律する。その調律を自分でできるようにするのが「からだ美調律」です。
「緩める」って、マッサージとかストレッチのような直接的に固まった筋肉を緩めるだけじゃなくて、関節とか骨とかを調整してあげると、無理な力を入れなくてよくなって勝手に緩むんですよね。姿勢を変えると、筋力が頑張らなくてもよくなるので、そもそも緊張しなくなる。一番ナチュラルな負荷のかからない姿勢は、骨の上にきちんと身体が乗るので、あまり筋力がいらないんです。
エクササイズは、きついことをした方が効くんじゃないかと思いがちです。やった気もしますしね(笑)。ですが結果的に負荷になっている場合もあって。本当に動く身体を持っている方だったら、例えばヨガとかストレッチの動きが効果的でも、身体が調律されていない方がやったら不協和音な状態です。
よく生徒さんに、ピラティスとかマラソンとかやらない方がいいですか?と聞かれますが、やるのが駄目ではなくて、むしろそれをやる前に調律していただけると、今やっていることがより効果的にできますよということなんです。だからまずは、ご自分の身体の状態を知ってほしいですね。
カロリー消費とは、酸素と二酸化炭素の交換量(呼吸代謝量)なので、痩せたい人であれば、いくら食べ物を抑えても呼吸が小さかったら効果が小さいんです。反対に、呼吸がきちんと深くできる人は代謝がいいわけです。
寝ている時って寝返りはしますけど基本動かないので、寝ている間に心臓以外で動いている筋肉って、呼吸する筋肉なんです。肋骨周りが緩んでいる人は、呼吸筋群がきちんと動いているので、寝ている間の呼吸が深いんです。心臓のポンプの動き以外に呼吸もきちんとできていると、呼吸筋群の動きが血流などの巡りを助けてあげることができるので、むくみにくさにもつながります。
みなさん痩せたいとか、きれいな姿勢になりたいとかあると思いますけど、身体を緩めて整えたら、その副産物で見た目は後からついてくる!勝手にきれいな姿勢になっていくし、勝手に太りにくい体質になるんですよ。ご紹介しているメニューは、首周りはもちろん、呼吸筋群なども緩められるので、ぜひ続けてみてください。
1.Hako式お尻歩き
まずは、お尻歩きで、骨盤を股関節から動かしていきます。
股関節をほぐして骨盤を自然に立てることができるエクササイズです。
あぐらで座ります。
お尻の下にゴリゴリした骨・坐骨があります。
その骨を片方だけ少し床から離してみましょう。続けて反対側も。
お尻で歩くようにゆらゆら骨盤を動かしましょう。頑張って持ち上げる必要はないので、お尻が床から少し浮けばOKです。
20歩ほど歩きます。
ひざが上がって不安定な方は、床に手をつきましょう。
椅子に座って行う方は浅めに座り、足を少し広めに開いて足裏は全部、床に着けたまま。
かかとが上がらないように注意しながら、坐骨を片方ずつ上げ下げします。
続けて、骨盤を後ろに倒していきます。
後ろに倒れないように足首を持って。
(椅子の方はひざを持ちましょう。)
頭を前にして骨盤を後ろに倒し、背中を丸めます。
呼吸はとめずにゆっくりと「ふ~っ」と吐いてみましょう。
戻します。
NG後ろに倒すとき、背中がまっすぐにならないように、おへそをのぞくような感じで丸くなります。
今度は、前に倒していきます。
背中が丸くならないように気を付けて、骨盤から前に倒れるようにしましょう。
戻します。
NG
背中が丸まったまま前に倒すと、骨盤は後ろに倒れたまま頭だけ前に来てしまうので、きちんと骨盤から前に倒していきましょう。
あぐらの方は足を組み替えて、反対も同様に行います。
椅子の方はそのまま続けます。
エクササイズが終わったら、ちょっとお尻を揺らしてから座ってみてください。
最初にあぐらで座った時よりも、座りやすくなっていると思います。
後ろに倒れる感じが少なく、骨盤を立てて座りやすくなっているか確認してみましょう。
悪い
姿勢
骨盤をきちんと立てて座ることができないと、猫背になり頭が前に出て、頭の重さを支える肩の筋肉も盛り上がって首が短くなってしまいます。
良い
姿勢
骨盤を立てられるようになると、頭や首の位置がきれいに整います。
骨盤が後ろに行かないで自然と立てられるようにするために、股関節をほぐして、骨盤が股関節からきちんと動くことが大切です。
2.大胸筋プッシュ&クルクル
次は、大胸筋を緩めていきます。
大胸筋は、胸から腕にかけてついている筋肉です。
両肩を開いて、首を長くするエクササイズです。
まず、片方の手の人差し指から小指を脇に当てて、親指で大胸筋を挟み、10秒ほど緩めます。
4本の指と親指で大胸筋を挟んで、圧迫するような感じで行います。
強くつかみすぎないように気を付けましょう。
続けて、大胸筋に手を置いてクルクルと10秒ほど緩めます。
あまりギューギューやらなくてOKです。
反対側も同様に行います。
大胸筋が縮んだままだと肩が内側に入って、首も前に出たまま、胸が狭くなって呼吸がしにくくなります。しっかり緩めて胸と肩を開いて、首を長く、巻き肩も改善していきましょう。
胸が開くことで呼吸もしやすくなります。
3.胸鎖乳突筋クルクル
次は、胸鎖乳突筋を緩めていきます。
胸鎖乳突筋は、鎖骨の真ん中あたりから耳の後ろにかけてついていて、横を向くと斜めに出てくる筋肉です。
この筋肉を緩めて、首をすっきり長くするエクササイズです。
少し横を向いて、鎖骨の真ん中あたりに指先を置いて、下から上に向かって、3回程度、クルクルと緩めていきます。
あまり強くゴシゴシやらなくて大丈夫です。
耳の裏まできちんと緩めましょう。
ほぐす際、肌が赤くなったり痛みを感じる方は、クリームなどをつけて行ってみてください。
反対も同様に行います。
ストレートネックや猫背で頭が前に来ていると、胸鎖乳突筋が縮んで首が短くなってしまいます。
しっかりほぐして、首を長く、美しい首周りをつくっていきましょう。
胸鎖乳突筋を緩めることで首がすっきり長くなり、振り向いてみると、両方、振り向きやすくなったと思います。
4.肩関節クルリ&首ストレッチ
次は、肩関節を開きながら、首のストレッチをしていきます。
肩を下げ、首を細く長くするエクササイズです。
片方の手の平を上にして、床に置きます。
手の平を上にすることで、肩関節が外に回って開いていきます。
そのまま手と反対の方に顔を向け、ちょっと下を見ると、首の横がストレッチされてきます。
10秒ほどキープします。
首から肩にかけて気持ち良く伸ばして、肩の緊張を緩めます。
肩から胸が開いて、さらに首が細く長くなっていきます。
反対も同様に行います。
首から肩にかけての緊張が緩み、肩が下がって首が長くなっていると思います。
また、肩関節が外旋したので両腕が上げやすくなったと思います。
5.肩甲骨クルクル
最後に、背中周り、肩甲骨周りを緩めていきます。
さらに、肩甲骨から肩を下げ、首を長くするエクササイズです。
手を脇の下から背中に当てて、もう一方の腕を動かすと、ゴリゴリと動く部分があります。
そこを10秒ほど指でほぐしていきましょう。
強く押さなくても大丈夫です。指で押さえてグルグル緩めましょう。
場所が分からない方は、脇の後ろあたりをほぐしてみてください。
ほぐしたところに手を当て圧迫したまま、もう一方の手を肩に置いて20秒ほどクルクルと小さく回します。
大きく回す必要はありません。
小さく回すと、肩関節がクルクル動いて、肩甲骨も一緒に動いているのが分かると思います。
NGひじを上に上げると余計な力が入ってしまうので、肩関節を小さく回しましょう。
肩に手がつかない方は、ひじを曲げるだけでもOKです。
反対側も同様に行います。
肩甲骨周りが前に出た状態で固まっていると、胸も狭く、首も短く、肩の筋肉が盛り上がってしまうので、このエクササイズで、肩甲骨周り、背中周りを緩めて、首から背骨の動きをスムーズにしていきましょう。
肩甲骨の下に肋骨があって、その中に肺が入っているので、背中が緩むと呼吸もしやすくなります。
溝口 葉子 さん プロフィール
ライズライフスタジオ・からだ美調律代表。
7歳でバレエを始めて以来「西洋人のバレリーナのような美しくしなやかなからだ」に憧れ、独学でからだの研究を開始。ひざのケガがきっかけで「からだの機能・解剖」にも興味を持つようになり、美しくて機能的なからだになるカギは「骨盤・股関節」だと確信。「感じる」に重きを置いたスタジオピボットに師事。30年に渡る自身のからだの研究と経験をもとに「からだをゆるめて整える」メソッド、「からだ美調律®」を考案。スタジオ運営、セミナー、講座、企業とのコラボレーション企画、動画提供など、幅広く活躍。テレビ・雑誌などメディア出演も多数。 からだ美調律HP
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ご紹介しているメニューにつきましては、効果を保証するものではありません。
また実施する際は、ご自身で体調管理のうえ、無理をせず行ってください。
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