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東洋羽毛スペシャリストインタビューご活 の有名人
の方に睡眠と健康、ライフスタイルについてお聞きしました。

後編では睡眠と運動についてお話していただきました。 (取材:2011.8)

中川さん/まず、睡眠についてお伺いしたいと思います。私は病気を患って以来、元気に仕事を続けるためには健康第一と思い、規則正しい生活を心がけています。できるだけその日のうちに睡眠につくようにし、7~8時間は眠るようにしていますが、先生はいかがですか? 

日野原先生/睡眠時間自体は短いですね。それに通常の病院勤務のほかに、原稿執筆や講演などで毎日忙しいのですが、100歳の今は、徹夜はやめました。でも1年前までは、徹夜もしていました。

中川さん/徹夜ですか!? 徹夜しても、翌日は病院勤務がありますよね?

日野原先生/もちろん休むわけには行かないのでそのまま病院へ行きました。

ただ私は原稿を書くのが好きなので、集中していると時間を忘れ、徹夜してしまう。それでも書き上げた後の達成感があるからですね、疲れを感じないのです。それ以外の日も、睡眠は平均して6時間。少し前までは4,5時間しか寝ていませんでした。

しかし、100歳を前にして、さすがにこのままでは無理がくるだろうと思い、今年になってから1時間増やして6時間にしました。12時に寝たら6時に起きる、12時半に寝たら6時半に起きる、というふうに。健康が自分の心の持ち方であって、数値で計れるものでないのと同様に、睡眠も何時間寝たら良いというものではないのです。大事なのは熟睡することです。

中川さん/量より質ということですか?

日野原先生/そうです。だから、ベッドに入ったらすぐに熟睡でき、気持ち良く起きられるように、寝方はちょっと工夫しています。

中川さん/それはどういう工夫ですか?

日野原先生/2つあります。ひとつは寝る姿勢。あお向けに寝ると、どうしてもいろいろなことを考えてしまいます。そうすると、寝つかれなくなり、8時間ベッドに入っていても、実際に熟睡している時間は5~6時間ほどで、寝足りない気持ちになってしまいがちです。

ところが人間以外の動物たちがやっているように、お腹を下にすると、あまり考え事をせずに、すっと睡眠に入っていけるようになります。なかなか寝つけないという人は、寝る姿勢を変えてみると、楽になるかもしれません。


中川さん/もうひとつはなんでしょう?

日野原先生/寝る時に不安や憂鬱な気分を抱えたままだと、寝つきが悪くなる上に、朝、気持ち良く起きられません。

そこで、寝る時には「ああ、明日はあれがあるな、楽しみだな」と思って眠りにつくようにし、朝起きた時には「今日はこの講演がある」とか「今日は孫のリサイタルがある」と楽しいことを考えるようにするのです。そうすると、新しい1日を前向きに、さわやかな気分で迎えられます。私はこうした朝の気持ち良い目覚めが生きがいや、幸福感、健康につながるのだと思っています。

ある程度年齢が進めば、人間の体にはいろいろな不調が出てきます。検査結果の数値だけで見れば、完全な健康状態の人はいないはずです。しかし、朝、幸せな気持ちで起きられるようなら、それは健康なのだと私は思います。健康とは心が幸せな状態のことだと考えると、朝、生きていることに幸せを感じて起きられれば、それが健康なのです。

中川さん/寝る姿勢と寝る前、起きた時に何を考えるかで睡眠の質が変わり、それが健康につながるということですね。ところで、健康のためには、睡眠のほかに、適度な運動も必要だと思いますが、先生は何か運動をなさっていらっしゃいますか?

日野原先生/僕は運動も好きで、本当ならジムへ行ってプールで泳いだりしたい。でも、そんな時間は取れません。そこで、できるだけ歩くようにしています。といっても、車で通勤して、あとはずっと仕事という毎日なので、理想としている1日5000歩は難しい日も多い。

そのため、移動する時にはエレベーターやエスカレーターを使わず、できるだけ階段を歩いて登るようにして、運動量を増やすのが自分なりのルールです。しかも、ただ、登るだけでなく、速足で登るようにするんです。それで、エスカレーターで昇っている人を追い抜いて上階に着いた時には、「やったー!」という達成感があって、1日気持ちが良いものです。

中川さん/達成感が1日を楽しくしてくれるのですね。

日野原先生/そう、どんなことでも楽しい、やった!という気持ちになることは大事です。
達成感があれば階段を登ることは辛くなくなり、毎日続けられるようになります。運動は少しずつでも継続してやることが大事なんです。だから、歩くことがお勧めでもあるわけです。

働いている人なら、会社の一駅手前で降りて歩く、急いでいない時は歩いて帰るようにすれば、運動量を確保できるでしょう。歩数計を付ける習慣をつけ、毎日少しずつでも歩くようにすれば良いと思います。私もいつもつけているんですよ。


中川さん/あら、ほんとだ。でも、今日はまだ1000歩ほど。少ないですね、先生。

日野原先生/そう、今日はまだダメだね。でも、いつも持っていることで、運動量を意識することは大事。今日はちょっと少ないなと思ったら、エレベーターは使わないようにするだけでも、体は変わってくるはずです。

中川さん/家庭にいることが多い主婦も先生と同じで、運動量は少なくなりがちです。私も原稿執筆で家にこもることが多いので、この頃意識して、「家事は後でまとめてやろう」と思わず、思いついたときにちょこちょこ体を動かすようにしています。

歩数計は付けていませんが、毎日の生活で少しずつ運動量を増やすことだけでも、体重は落ちるんですね、びっくりしています。

日野原先生/そういう日常的な努力も大事です。ただ、家の中はけっこう段差が多いので、つまづかないように注意してください。爪先から床に着地するとつまづきますから、踵からしっかりつけること。そうすれば、つまづきが防止できます。

それから歩く時には姿勢に気を配ることも大事です。外から見た時に老化が分かるもののひとつに歩き方があるんです。僕は今、歩き方上手という老人クラブを主宰していて、そこでモデルさんに歩き方を指導してもらっているんですが、歩き方が変わるだけで若く見えるようになります。モデルさんの歩き方までいかなくてもいいから、足先を少し外に向けて、肩甲骨を中央に寄せる感じで胸を張って、踵から歩くこと、そして少し上を向く。そういう歩き方をすれば、運動量も増えるし、何より、見た目がいい。


中川さん/確かに、姿勢が良い人はそれだけで若く、かっこう良く見えます。年をとると歩き方も変わるんですね。

日野原先生/年をとると人間の体はいろいろ変化してくるものなんです。姿勢、歩き方はおろか、体温だって低くなるんです。僕は今、平熱は35度台です。脈も遅くなっています。

中川さん/体温が35度台!加齢によって体が変わってきたんだということを知らないと、どこか悪いのではと不安になってしまいますね。

日野原先生/そう、だからやはり定期的に健診を受けることは必要だと思います。本やテレビからの知識だけでなく、実際に先生に診てもらって、会話して、心配なことは聞いてみる。

どの先生に見てもらうのが良いかが分からない時には看護師さんに助言を求めてみてください。看護師さんは各先生方の仕事ぶりをよく知っていますからね、看護師さんを味方につけ、アドバイスしてもらうようにすると、自分にあった良い先生が選べます。


中川さん/わかりました。いろいろとありがとうございました。
私も日々、実践し、先生のように元気で仕事を続けていきたいと思います。

100歳とは思えないほど血色の良い日野原先生にお目にかかり、お話をうかがっていると、何にでも前向きに取り組み、目標を持ち、達成感を味わうことの大切さを実感しました。そして先生のように、100歳まで現役で仕事をしていたいとおっしゃる中川さん。
パワフルなお二人のエネルギーに満ちた楽しい対談となりました。

【プロフィール】 聖路加国際病院理事長・同名誉院長 日野原重明先生
1911年山口県生まれ。京都大学医学部卒業、同大学院修了。1941年聖路加国際病院内科医に赴任。1951年北米のエモリー大学に留学。1973年(財)ライフ・プランニング・センター創設。予防医学の重要性を指摘し成人病に代わる「生活習慣病」という言葉を生み出す。2000年「新老人の会」結成。2005年には文化勲章を受章。著書に『生き方上手』『いのちの絆―ストレスに負けない生き方』など多数。

聖路加国際病院理事長・同名誉院長 日野原重明先生

【プロフィール】 住まい選びアドバイザー/中川寛子さん
住宅を中心とした編集業務、セミナーなどを通じて、住まいのあり方、買い方、街選びや暮らしについて提案を行う㈱東京情報堂代表、住まい選びアドバイザー。20代後半に難病を得たことから住まいと健康、美容の関係を個人的なテーマとしても考え続けている。

住まい選びアドバイザー/中川寛子さん