羽毛ふとん研究室
羽毛博士翔Kakeru
vol. 9羽毛寝具の特徴を活かすアフターケア
羽毛ふとんなどの寝具は、頻繁に買い替えるものではありません。だからこそ長くご愛用いただくためには適切なお手入れが大切です。第1回「羽毛ふとんのお手入れ(クリーニング)方法」では、ご家庭での寝具のお手入れ方法をご紹介しましたが、今回はプロが行うクリーニングやリフォームについてお話していきましょう。
掛けふとんは5年、敷きふとんは3年ごとにクリーニングを。
羽毛ふとんの特徴は、何と言っても保温性と軽さです。しかし、長年使い続けることで人の脂や汚れが蓄積され、ダウンが固まってしまいます。ダウンが、ふわふわとしたたんぽぽの綿毛のような状態を保っていないと、せっかくの保温性も発揮されませんから、ご家庭で定期的に干していただくことに加えて、5年に1回を目安にクリーニングに出しましょう。
羽毛を使った敷きふとんをお使いの方は、目覚めた後に壁などに立てかけてください。おふとんにこもった熱を発散させるとともに、風を当てて湿気も取り除くことがポイントです。もちろん敷きふとんも、クリーニングが欠かせません。敷きふとんは、掛けふとん以上に汗や脂がつきやすいので、3年に1回くらいクリーニングするといいでしょう。
実は難易度が高い羽毛ふとんのクリーニング。
一口にクリーニングと言っても、洗い方や使用する洗剤は業者によってさまざまです。衣服を洗濯する際、ご家庭でも素材によって洗剤を使い分けていると思います。がわ生地と羽毛も、本来はそれぞれ適した洗剤が異なりますが、おふとんとして一体化していますから、別々に洗うわけにはいきません。がわ生地と羽毛という、特性の異なる2つの素材の洗浄を両立させる工夫が求められます。
特に東洋羽毛の羽毛ふとんは、羽毛の飛び出しを防ぐために、目の詰まった特殊な生地を採用しています。クリーニングの際には、いかに中の羽毛まで洗浄液を浸透させて、羽毛を洗い上げるかがカギです。同時に、がわ生地や繊細な羽毛を傷めないことも重要な課題です。
クリーニングは、「きれいに洗い上げる」「素材を傷めない」という、2つの異なる目的を果たさなければいけない、非常に高度な技術と知恵が必要な作業なのです。
※ゴア®羽毛ふとんは、他の生地素材のふとんとはクリーニング方法が異なります。
リフォームは仕上げ方いろいろ。
次は、リフォームのお話です。リフォームにもいつくかの手法があるので、代表的なものをご紹介しましょう。
ふとん生地交換仕上げ
中の羽毛は洗浄せずに、必要に応じて新しい羽毛を足したうえで、新品のがわ生地で仕立て直す方法。
ダウンウォッシュ仕上げ
羽毛ふとんの状態のまま、もしくは解体後に羽毛の汚れを落とし、必要に応じて新しい羽毛を足したうえで、新品のがわ生地で仕立て直す方法。解体後に羽毛を洗浄する場合、数枚分をまとめ洗いします。
プレミアムダウンウォッシュ仕上げ
羽毛ふとんを解体、個別に洗浄し、必要に応じて新しい羽毛を足したうえで、新品のがわ生地で仕立て直す方法。この方法の場合、他のお客さまの羽毛と混ざることがありません。
東洋羽毛は「プレミアムダウンウォッシュ仕上げ」を採用。相模原工場にリフォーム専用の設備を設けて、お客さまからお預かりしたおふとんを、1枚1枚丁寧に洗浄、仕立て直しています。補充に使用する羽毛は、お客さまのおふとんの品質に合わせて選定。がわ生地も東洋羽毛独自の生地を使用し、通常の製品づくり同様に職人が手作業で縫い上げています。
大切なおふとんは安心の業者に任せましょう。
最後に重要なポイントをひとつ。それは、クリーニングやリフォームの業者選びです。残念ながら過去には、クリーニングと偽ってお客さまのおふとんを安価な羽毛ふとんとすり替えるといった、悪質な行為が発生しています。
東洋羽毛では、リフォームは自社で徹底管理のもと行うとともに、クリーニングに関しては当社の品質第一のポリシーや製品の特長をご理解くださる業者のみと提携しています。また新製品が登場した際は、提携先と製品情報を共有して、適したクリーニング方法を検討するなど、常により良い製品・より良いサービスのご提供に努めています。
上質な羽毛を使った羽毛ふとんなら、適切にクリーニングやリフォームをすれば数十年もの長きにわたってお使いいただくことが可能です。親御さんから受け継いだ思い出のおふとんや、ご結婚の記念に贈られた大切なおふとんなど、羽毛ふとんは単なる「寝具」では片づけられない、「思い」が込められているケースもあります。東洋羽毛はこれからも、弊社のおふとんをご購入くださったお客さまに、ご愛用への感謝の気持ちを込めて、クリーニングやリフォームに取り組んでいきます。