羽毛ふとんのパイオニア 東洋羽毛工業が提供する睡眠情報サイト
  • Twitter
  • Instagram
  • youtube
ぐっすり
眠りなサイエンス

睡眠博士ねねNene

vol. 4睡眠不足が脳と体の成長に与える影響について

「寝る子は育つ」と言いますが、本当に育つのでしょうか? 睡眠外来に子どもも訪れる現代、眠りの悩みは大人だけの問題ではなくなっています。保護者のみなさまにも、ぜひ知っておいてほしい、睡眠と成長のお話です。

「寝る子は育つ」は本当か?

睡眠が、レム睡眠とノンレム睡眠で構成されていることは、現在では広く知られています。では、ノンレム睡眠が、さらに4つのステージに分かれていることはご存知でしょうか?

眠りにつくとノンレム睡眠で浅いステージ1から入り、一段ずつ眠りが深まっていくのです。その最も深いステージ3~4を「徐波(じょは)睡眠」と呼び、徐波睡眠は入眠から2~3時間の間に多く出現します。

一方、眠っている間に分泌されるホルモンといえば、骨や筋肉の成長に欠かせない成長ホルモン。睡眠前半の徐波睡眠時に最も多く分泌されます。つまり、入眠後の3時間に深い眠りを確保できないと、成長ホルモンも出にくくなってしまうのです。「寝る子は育つ」は、迷信ではないのですね!

睡眠経過図

成長ホルモンは多才です

成長ホルモンには、免疫力の向上、疲労回復、身体の損傷の修復、脂肪の分解の促進といった働きも成長ホルモンは、直接的に骨を成長させるだけではありません。肝臓に働きかけて、ソマトメジンCという物質をつくり出し、骨を大きく強くするのです。

ほかにも成長ホルモンには、免疫力の向上、疲労回復、身体の損傷の修復といった働きもあります。丈夫な身体をつくるだけでなく、風邪をひきにくくしたり、疲れを和らげたり、さまざまな作用のある成長ホルモン。もちろん、大人も分泌されますから、しっかり睡眠時間を確保しましょう。

脳をつくり、脳を休ませる睡眠

人は一晩のうちに、ノンレム睡眠とレム睡眠を数回繰り返します。繰り返しの周期は約90分程度と言われていますが、これには個人差があり、また体調によっても変化します。

ノンレム睡眠では脳の活動が低下しており、特にステージ3~4の深いノンレム睡眠では脳全体の血流量が低下した脳の休息状態となっています。

赤ちゃんの多くはレム睡眠一方、レム睡眠では脳は活動しており、扁桃体や海馬といわれる感情や記憶に関わる部位は起床時よりも活発になっています。赤ちゃんは、1日のほとんどを眠って過ごしていますが、その多くはレム睡眠です。脳が発育途上の新生児は、レム睡眠によって大脳の発達が促されると考えられています。そして大脳が完成すると、今度は日中働いた脳を休ませるためにノンレム睡眠が増えるのです。

寝る子は記憶力も育つ!?

学習後は眠った方が勉強した内容が記憶されやすい学生時代、試験のために徹夜で勉強した経験をお持ちの方も多いと思います。ところが実際には、学習後は眠った方が勉強した内容が記憶されやすいのです。これは運動技能についても言えることです。

そのメカニズムは、レム睡眠中に脳が記憶情報を整理していると言われてきましたが、近年、ノンレム睡眠中に技能の習得が起こるという報告もされており、解明が待たれます。

では、脳そのものの記憶力を上げることはできるのか?
東北大学が興味深い調査をしています。脳には、ものを記憶する際に重要な役割を果たす「海馬」という部分があります。5~18歳の290人の子どもを対象に、海馬の大きさと睡眠時間を調べたところ、睡眠時間が長い子ほど海馬も大きく成長していたのです。成長期にしっかり眠ると、記憶力もアップする!?かもしれませんよ!

寝起きが悪いと心身が不安定に

最後に少し、心の成長と睡眠についても触れておきたいと思います。夜間に塾や稽古ごとに通う子どもが多い現代。学年が上がるほどに、就寝時間も遅くなっています。当然、朝はなかなかスッキリと起きられないことに。

富山大学・神川康子教授の研究によると、寝起きが悪い児童ほど忘れ物が多いそうです。寝起きの悪さが注意力を低下させていると考えられています。また生活態度や言葉遣いといったことを叱られる傾向が見られました。中学生・高校生の場合、寝起きの悪い生徒ほどイライラしやすく、また学校の授業への意欲も低いそうです。

どの年代でも共通して言えるのは、寝起きが悪いと心身が不安定になるということ。子どもの生活は家族の影響も大きいものです。子どもの夜更かしの改善には、家族の生活リズムを見直す必要もあると言えそうです。

[参考文献]
・Taki Y. et al., NeuroImage, 2012
富山大学教育学部教授 神川康子「睡眠と心身の健康」