眠りなサイエンス
睡眠博士ねねNene
vol. 1寝つきの悪さの原因と対策
今回のテーマは「寝つき」です。寝つきの良し悪しを左右することというと、睡眠直前の行動をイメージされるかもしれませんが、実は日中の過ごし方もポイント。そこで、寝つきを悪くしてしまうNG習慣と、その対策についてお話します。
明るすぎませんか? あなたの寝室。
私たちは、人生の約3分の1を睡眠に費やしています。それだけの時間を過ごす場所なのに、「寝室」に無頓着な人が多いように感じています(私も含めて…)。そこでまずは、睡眠環境について考えてみましょう。
ご自身の寝室を思い浮かべてください。寝具のほかに、テレビやパソコン、充電中のスマートフォンなどはありませんか? 電子機器のブルーライトは、睡眠を促すメラトニンの分泌を抑制するため、寝る前の使用はNGと近年メディアでも報じられていますね。
見落としがちなのが、室内そのものの明かり。ブルーライトに限らず、光には覚醒効果があり、明るいほど覚醒作用も強くなります。照明に調光や調色機能があれば、寝る前は少し暗めの暖色系にする。あるいは間接照明を活用する。こうした工夫をぜひ取り入れてみてください。
夜間のジム通いにご注意!
適度な運動は、ぐっすり眠るためにはとても大切。定期的に行えればなお良いですが、注意しておきたいのは運動する時間と強さです!24時間営業のスポーツジムなども増えて、仕事帰りでも手軽に運動ができるようになりました。
しかし激しい運動は、交感神経の活発化や体温の上昇を招いてしまいます。副交感神経が優位になり、体温が下がり始めた時に眠気が生じるので、眠りには逆効果となってしまうのです。
また、スポーツジムは照明が煌々としているところも多いですね。前述したように、明るい光には覚醒効果がありますから、眠りの面から言うと、夜間の時間のジム通いは注意が必要です。
おすすめは、週に3~5回ほど、眠る2~3時間前までにジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行うこと。30分~1時間程度、額にうっすら汗をかくくらいが目安です。一方、寝る直前は、ぜひ運動よりも筋弛緩法を試してみてください。肩をグーッと上げて、ストンと落とすといった、とても簡単な動きですが、心身の緊張をほぐせるのでおすすめです。
冷え性の人は眠りにくい!?
爬虫類など、外気温の影響で体温が変動する変温動物に対して、哺乳類は常に体温を保つことができる恒温動物です。ところが前述の通り人は、深部体温(体の中心の温度)が下がることで眠気がやってきます。そして、眠っている時の深部体温をしっかり下げることで良い眠りができるのです。
ならば冷え性の人は、体が冷えているのだから眠りやすいのでは?と思う方もいるかもしれませんね。ここが難しいところです!体温を下げると言っても、大切なのは手足から熱を放出して深部体温を下げること。冷え性の人の多くは手足が冷たいですね。これはむしろ熱の放出を抑えて、深部体温を維持しようとしている状態なのです。
冷えにお悩みの方は、寒いからと寝る直前に入浴していませんか?体温が上がりきっていると眠気は生じにくいですから、入浴は寝る1~2時間くらい前には済ませましょう。もし就寝直前に入る場合は、体の表面が温まる程度にするのがポイント。”ぬるめのお湯でカラスの行水”です!また靴下を履いて寝るのもNG。足裏からの放熱を妨げてしまいます。寝る直前まで履いておいて、おふとんに入る際は脱ぎましょう。どうしても手足が冷たい時は、足首ウォーマーや手首ウォーマーを活用してみてください。
“睡眠儀式”を作ってみよう!
睡眠儀式(入眠儀式、就寝儀式とも言う)という言葉をご存じでしょうか?簡単に言えば、寝る前の習慣行動です。例えば、本を読む、音楽を聴く、アロマを焚いてストレッチ、肌のお手入れ等々。「寝る前に必ず行うこと」を作ることで、段々とその習慣を体が覚えて、睡眠儀式を行うことで、自然と体と脳の睡眠スイッチが入るようになると言われています。
ただし、眠る準備として行うことですから、読書の場合、スマートフォンやタブレットで読む電子書籍は避けること、また音楽ならリラックスできる穏やかな曲を聴くようにしましょう。睡眠儀式は、旅先や出張先でも実践できます。ホテルなどに泊った際、寝つきの悪さを感じている方は、自分なりの睡眠儀式を作ってみてはいかがでしょうか。
“ちゃんと起きる”ことも大切です。
実は良い睡眠のためには「良い目覚め」も欠かせません。まずは、休日も含めて起床時間を一定にすることを心掛けてみてください。また寝起きにしっかりと太陽光を浴びて、頭を目覚めさせることも忘れずに。体内時計は24時間よりも長いため、1日の24時間とズレがあります。日光を浴びて、頭に「朝だよ!」と知らせることで、このズレをリセットできるのです。
一方、誰もが一度は昼食後にウトウトしてしまった経験があると思います。そんな時は、思い切って昼寝をしましょう。ただし「午後3時までに20分以内」が基本。これ以上遅い時間になったり、眠る時間が長くなったりすると、夜の睡眠に影響を及ぼしてしまいます。
日中の行動は、夜の眠りと深く関係しています。昼間は頭と体を動かして、昼夜の行動にメリハリをつけることが、夜に眠りを誘うコツですよ。
- vol. 1寝つきの悪さの原因と対策
- vol. 2食生活と眠りの関係
- vol. 3短期的な睡眠不足を乗り切る裏ワザ
- vol. 4睡眠不足が脳と体の成長に与える影響について
- vol. 5睡眠で分かるカラダ不調のサイン
- vol. 6欧米と日本の睡眠習慣の違い
- vol. 7寝つきと寝起きのひと工夫
- vol. 8いびきが起きる原因と解消法
- vol. 9寝坊の原因と解消法
- vol. 10赤ちゃんとお子さんのより良い睡眠のために
- vol. 11目覚めに体がイタイのはこんな理由かも?
- vol. 12良い目覚めと悪い目覚めの違い
- vol. 13仮眠や昼寝を効率よく取るコツ
- vol. 14睡眠不足のリスク
- vol. 15健康習慣をおさらいしよう!
- vol. 16睡眠障害とは?