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睡眠博士のぐっすり眠りなサイエンス

 » 欧米と日本の睡眠習慣の違い

日本もすっかり欧米型の生活スタイルが定着し、ベッドでお休みになる方も多くなりました。しかし家に上がるときは、今も靴を脱ぐ方が大多数ではないでしょうか。日本人の感覚に合う習慣と、そうでないものを自然に選別しているようです。そこで今回は、欧米と日本の睡眠習慣の違いについてお話ししたいと思います。

解説者プロフィール
ぐっすり睡眠博士こと 金子 勝明
東洋羽毛工業株式会社 営業企画課所属
睡眠健康指導士、睡眠環境・寝具指導士の資格を持ち、商品開発、営業企画、睡眠の研究など幅広く手掛けるなんでも系社員!睡眠講座の要請を受け、講師として全国各地を飛び回り、自身睡眠不足になりながらも、日夜睡眠の大切さを訴える。

親子関係と夫婦関係、どちらを優先するか?

家庭において睡眠は単に眠るだけでなく、親子間や夫婦間の絆を深める大切なコミュニケーションの場欧米と日本の眠りに関する習慣の違いとして、よく挙げられるのが親子で一緒に眠るかどうかだと思います。「川の字」になって寝るのは、子育て世代の日本人にとってはごくごく当たり前の光景です。ところが「個」を重視する欧米では、自立を促すために幼児であっても個室で寝かせるのが一般的です。

親子で一緒に眠るとスキンシップが図れ、子供が親の愛情を感じることができて良いと言われます。その反面、それ以外の時間にきちんと親子で触れ合う時間が持てていれば、寝るときまで一緒でなくても特に問題はないとの意見もあります。

一方、これは夫婦の捉え方の違いの表れでもあります。日本では子供が生まれると、子供を基準に「お父さん・お母さん」という関係性になりがちですが、欧米では夫婦はあくまで「夫妻」。父である前に夫であり、母である前に妻であること優先するわけです。

いずれにしても、家庭において睡眠は単に眠るだけでなく、親子間や夫婦間の絆を深める大切なコミュニケーションの場であると言えそうです。

どこでも寝られる日本人

仕事中や授業中でも構わず居眠りをする姿は、外国人に少なからず衝撃を与えている日本では電車の中などで居眠りをしている人をよくみかけます。もちろん私も経験があります。ところがこの様子は、世界的には非常に珍しいことで、しかも勤勉な国民性だと思っていた日本人が、仕事中や授業中でも構わず居眠りをする姿は、外国人に少なからず衝撃を与えているようです。

日本の生活文化を研究しているケンブリッジ大学準教授のブリギッテ・シテーガ氏は、『睡眠文化を学ぶ人のために』に寄せたコラムでこう書いています。「公の場での眠りには、目をつぶることで社会生活から自分を遠ざける、言い換えれば『社会的に不在になる』という機能がある」。礼儀正しい国民性だからこそ、息抜きとしての居眠りが生まれたのではないかとシテーガ氏は考察しています。

「寝姿」を他人に見られても平気な国民性

寝ている姿を他人に見られることに抵抗が少ないことも、「居眠り文化」が定着した一因日本人が公の場で居眠りができるのは、治安が良いという点も理由に挙げられると思います。それともうひとつ、そもそも「眠る」という行為に対する欧米諸国との感覚の違いも挙げられるようです。

例えばフランス人は、眠りはプライベートなものであり、恋人や夫婦以外の人と同じベッドに入ることに抵抗感を持つことに加え、寝姿を他人に見せることも恥ずかしい行為と感じるそうです。

一方日本人は、前述した「川の字」に代表されるように、パートナー以外の人とも寝室を共にすることが珍しくありません。

旅館などに泊まれば、複数の同行者と同じ部屋にふとんを敷いて一緒に眠ることが当たり前です。寝ている姿を他人に見られることに抵抗が少ないことも、「居眠り文化」が定着した一因と言えるでしょう。

シエスタは不要でも、仮眠は必要!?

1日における睡眠の取り方は、大きく3種類に分けられるようです。まずは1に1回だけ眠る「単相睡眠」。北米や欧州の多くの国は、単相睡眠です。しかし欧州には、「二相睡眠」と呼ばれる1日2回眠るパターンもあります。これが2つ目。その代表が、スペインなど主に地中海周辺で見られる昼寝の習慣「シエスタ」です。また意外かもしれませんが、中国にも似たような習慣があります。とはいえ近年、シエスタが長く生活の一部となってきたスペインでさえ、産業面での生産性向上などを理由にシエスタ廃止の動きが広まっています。

2~3時間にも及ぶ昼寝は生産性の妨げになるけれど、数十分程度の仮眠なら、むしろその後のパフォーマンスが上がる分、効率的そして3つ目は、好きな時間に仮眠をとる「多相睡眠」。「居眠り文化」の日本が、まさにこの部類に当てはまります。

睡眠は、気候風土や社会制度などにも左右されるので、一概にどの睡眠がいいと決められるものではありませんが、ひとつ注目したい点があります。それは、シエスタが廃止されている一方で、欧米企業が積極的に仮眠の導入を始めている例があるということ。まさに前回ご紹介した「パワーナップ」です。シエスタのような2~3時間にも及ぶ昼寝は生産性の妨げになるけれど、数十分程度の仮眠なら、むしろその後のパフォーマンスが上がる分、効率的ということでしょう。睡眠にも合理性を求める時代になっていることを感じます。

おやつとアフタヌーンティーとコーヒーブレイク

午後の強い眠気に対して、シエスタのように眠ってしまう方法を取る人たちがいた一方で、どうにか眠気をやり過ごそうと工夫した例もあります。単相睡眠圏の欧米で行われてきた午後の休憩、「アフタヌーンティー」や「コーヒーブレイク」です。

午後2時から4時ごろの眠気は作業効率の妨げ。その対策は重要そして日本にも、同じような習慣がありました「おやつ」です。午後2時から4時ごろを「八時(やつどき)」と言ったことから、この時間の休憩やその際に食べたお菓子をおやつと呼ぶようになりました。あごを動かすことは覚醒作用があることから、お菓子をつまむことは理にかなっているんですね。

午後2時から4時ごろに起こる眠気は、ビジネスの現場にとっては作業効率の妨げとなり、また居眠り運転などによる交通事故が増えることからも、その対策は重要だと言えます。仮眠を取ったり、おやつを食べたり、世界の習慣を参考にご自身に合ったものを取り入れてみてはいかがでしょうか。

[参考文献]
・ブリギッテ・シテーガ『世界が認めたニッポンの居眠り』畔上 司訳、阪急コミュニケーションズ、2013
・高田公理/堀 忠雄/重田眞義『睡眠文化を学ぶ人のために』世界思想社、2008
・篠田有子『家族の構造と心―就寝形態論』世織書房、2004
・沢田知子『インテリアデザインへの招待』彰国社、1992
・パスカル・ディビ『寝室の文化史』松浪未知世訳、青土社、1990
・篠田有子『母と子のアメリカ』中公新書、1984