夜、布団に入った瞬間に、気絶するように寝てしまう。「自分は寝付きがいい方だから」と油断しがちですが、じつはこの状態、「バタンキュー型睡眠不足」と呼んでいる、かなり睡眠不足がたまっているサインかもしれません。
「バタンキュー型睡眠不足」が表れていると、集中力や免疫力の低下をはじめ、脳と身体に悪影響が生じているかもしれません。
セルフチェックのポイントや、予防・改善するためのコツを見ていきましょう。
「バタンキュー型睡眠不足」とは?
規則正しい生活をしている人は、夜が更けるにつれて自然と眠くなります。そのまま布団に入って、すぐにスッと眠れる……という状態は、いわゆる「寝付きが良い」理想的な睡眠スタイルです。
ただし「朝起きづらく、昼間眠い」という人が、夜ベッドに入ったとたんに意識がなくなってしまう……という場合には、要注意。
それは寝付きの良さではなく、「バタンキュー型睡眠不足」かもしれません。
バタンキュー型睡眠不足とは、睡眠リズムの乱れなどが原因で、睡眠に飢えている状態のこと。
「規則正しい生活ができていない」
「横になったとたん、5分も経たずに眠っている(気絶するような感覚)」
「寝る直前までスマホを見ていて、いつのまにか寝落ちしている」
これらに心当たりがある方は、バタンキュー型睡眠不足に陥っている可能性があります。
「バタンキュー型睡眠不足」の影響と原因
バタンキュー型睡眠不足は、生活や健康に次のような悪影響を及ぼします。
1.集中力・注意力がなくなり、パフォーマンスが落ちる
2.免疫力が低下し、風邪などの病気にかかりやすくなる
3.食欲が不健康に増加する
食欲が増加するのは、ホルモンバランスの乱れによるものです。人間が睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモン・レプチンの分泌が減り、反対に食欲を増進させるホルモン・グレリンの分泌が増えます。
こうした悪影響の数々は、仕事でのミスや運転中の事故などを招くほか、肥満や生活習慣病のリスクも上げてしまいます。
バタンキュー型睡眠不足の主な原因は、「睡眠時間の不足」と「睡眠の質の低下」です。忙しくて睡眠時間を削りがちな人や、休日の寝溜め・朝寝坊で睡眠のリズムが乱れてしまっている人は、とくに注意が必要です。
また、「睡眠時間は充分確保しているのに、日中眠い」「いびきが大きくて気になる」という場合は、睡眠時無呼吸症候群にかかっている可能性もあります。その際は、早めに医師の診断を仰ぎましょう。
「バタンキュー型睡眠不足」のセルフチェック
寝付きの良さとバタンキュー型睡眠不足を見分ける大きなポイントは、「朝の目覚め方」にあります。
規則正しい生活を送っていて「目覚ましがなくても朝スッキリと起きられる」という人は、大丈夫。そうした人が布団に入ってすぐ眠れるのは、寝付きがよい状態と言えます。
でも、「目覚まし時計がないと起きられない」「起きることは起きるが、スッキリしない」「スヌーズ機能を何度も使ってしまう」……という人は、バタンキュー型睡眠不足に陥っている可能性が高いです。
また、休日に「寝溜め・朝寝坊がしたい」と思ってしまうのも、睡眠不足がかなり蓄積されているサイン。脳と身体からSOSが出ている状態ですので、睡眠を改善する必要がありそうです。
「バタンキュー型睡眠不足」予防・改善の3つのコツ
バタンキュー型睡眠不足を予防・改善するには、次のような工夫がオススメです。
工夫1:朝はカーテンを開け、朝食をとる
朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴び、体内時計のズレをリセットします。さらに、決まった時間に朝食をとることで、睡眠リズムが整い、睡眠の質をアップできます。工夫2:夜はゆっくり入浴、スマホは翌朝の楽しみに
ベッドに入る1時間以上前にお風呂に入り、ぬるめのお湯に10〜20分程度ゆっくり浸かりましょう。お風呂に入ると深部体温が少しだけ上昇し、それを下げようとする働きとともに、健康的な眠気が訪れやすくなります。また、スマホの光は脳を興奮(覚醒)させ、せっかく訪れた眠気をかき消してしまいます。SNSやゲーム・動画は、翌朝の楽しみにとっておき、夜は少し明かりを落としてリラックスするのがオススメです。
スマホを朝チェックすることで、ぱっちりと目を覚ます効果も期待できます!
工夫3:アイマスク、耳栓を利用する
アイマスクで視界を真っ暗にしたり、耳栓で音を遮断したりすることで、眠りの質を高める効果が期待できます。とても便利なアイテムですが、「顔にものが触れていると気になって眠れない」というケースもあるので、無理のない範囲で活用してみてくださいね。睡眠不足は、生活習慣で改善できます。目覚まし時計がなくてもスッキリ起きられる、そんな素敵な朝を目指して、睡眠リズムを整えていきましょう!
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