コラム
美容コンサルタント美羽Miu
vol. 30寝る直前に運動してはいけないって本当?眠りと運動の関係
「今日はよく歩いたから、よく眠れそう」なんて会話はよくあるもの。睡眠と運動には深い関連性があり、夜ぐっすりと眠るためには運動する時間帯や運動メニューに工夫が必要です。今回は「睡眠と運動の関係」について、眠りの質を上げるための工夫も合わせて解説いたします。
眠りと運動はつながっている
スポーツで高いパフォーマンスを上げるには、良い睡眠が不可欠です。そして質の良い睡眠をとるためには、適度な運動が役立ちます。
アスリートも重視する「睡眠の役割」とは
睡眠は、心身の疲労を癒やしたり、全身の細胞を修復・再生したり、脳が学習したことを定着させたりと、さまざまな役割を持っています。とくにスポーツマンにとって大切なのが、疲労回復効果と細胞の修復・再生効果です。
身体に蓄積された疲労物質や老廃物は、汗や尿に混じって体外へ排出されます。そして排出のための準備は、主に睡眠中に行われます。どんなトップアスリートでも、睡眠不足で連日試合を続けたとしたら、脳も身体も回復できずパフォーマンスは低下してしまうでしょう。
また、睡眠は筋肉・骨・神経の機能向上にも欠かせません。たとえば筋トレは、傷つけられた筋繊維が修復・再生される過程で強くなる仕組みを利用したトレーニングです。筋繊維を含む細胞の修復・再生もやはり、睡眠中に活発になるため、睡眠時間が充分にとれないと筋トレの効果も落ちてしまいます。
このため、トップアスリートの多くは睡眠を重視しています。プロスポーツのチームや選手が、睡眠時間を「トレーニングの一部」と捉えて重視することも少なくありません。スポーツを行う人にとって、睡眠という土台があってこそ、トレーニングの効果が得られるのです。
良い睡眠にとっても、適度な運動が大切
逆に「質の良い睡眠をとりたい」と考える人にとっては、適度な運動を行うことが大切になります。
厚生労働省『e-ヘルスネット』によると、「運動習慣がある人には不眠の割合が少ない」ということが研究で分かっています。とくに、1回ではなく習慣的に運動を続けている人は、寝付きが良くなり眠りの質も高まると言われています。
睡眠の質を高めるためには、身体への負担が少なく、無理なく続けやすい有酸素運動が最適です。具体的には、早足でのウォーキングや軽いランニングなどを夕方に30分~60分行うと良いでしょう。
アメリカにあるブランダイス大学の研究では、「1か月前より歩く時間が増えた人は、睡眠の質が改善され、通常より多く歩いた日ほど睡眠の質が良くなった」との結果が出ています。
また筑波大学の研究でも、日中にウォーキングなどの運動を1時間ほど行った場合、深いノンレム睡眠のときにあらわれるデルタ波が睡眠中に大きく増加することが判明しました。
寝る前に強度の高い運動はNG。それは何故?
適度な運動が睡眠の質を高める……とは言え、寝る直前に激しい運動をするのはNGです。
走り込みや筋トレといった強度の高い(激しい)運動を行うと、興奮と覚醒を司る交感神経が活発に働き、目が冴えた状態になってしまいます。さらに、体温上昇が激しくなり、体温の低下とともに眠気がやってくるはずが、この低下が起こりにくいため入眠が妨害されてしまいます。こうした強度の高い運動は、睡眠に影響が出にくい夕方までに行う方が良いでしょう。
とくに、スポーツジムなど明るい光のもとでの運動は、夜間には厳禁です。強度の高い運動やスポーツジムでの運動は、遅くとも就寝の3時間前には終えるようにしましょう。
こうした運動は朝や日中に行うのがオススメです。目が覚めて頭がスッキリし、夜間の睡眠の質も高まります。
寝る前は、ヨガや軽いストレッチで身体をほぐして
就寝の前に身体を動かすのであれば、リラックスできる程度の軽いストレッチが最適です。また、深い呼吸とともにゆっくりと行うヨガも良いですね。「寝る前に少し身体を動かしたい」という方は、ぜひ下記の2つの動画を参考にしてみてください。
・快適な睡眠へ導く、3分間ストレッチ
・初心者でも安心!リラックスヨガで毎日ぐっすり!
寝る前には、ストレッチやヨガで心も身体もやわらかくほぐして、心地よくぐっすり眠りましょう♪
【監修】東京ベイ・浦安市川医療センター CEO / 医師 神山 潤 先生
睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。
旭川医科大学、UCLAでは睡眠の基礎研究に従事。米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。
【主な著書】
・朝起きられない人のねむり学 一日24時間の賢い使い方
・眠りは脳と心の栄養! 睡眠がよくわかる事典 早起き・早寝で元気になれる
・睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 (講談社+α新書)
他多数
- vol. 1美肌をつくる睡眠のコツ。肌と眠りの深い関係とは?
- vol. 2本当に髪に良いシャンプーのポイント3つ。日々のお手入れで艶々ヘアを目指そう!
- vol. 3ぐっすり眠れる「寝室づくり」の秘訣とは?スグできるコツを教えます
- vol. 4食事が眠りの質を変える?ぐっすり眠るための「食べ物・飲み物」上手な摂り方
- vol. 5あなたに最適な「睡眠時間」とは?ベストな睡眠時間の調べ方を教えます
- vol. 6寝苦しいのは「寝床内環境」のせいかも?ふとんの中の温度・湿度を快適に整える4つのポイント
- vol. 7寝落ちは立派な危険信号!睡眠負債のセルフチェックと解消法
- vol. 8若いあなたも注意が必要!認知症リスクを上げる危険な眠り方とは?
- vol. 9美容と健康に欠かせない!成長ホルモンの働きと、分泌を促すコツ
- vol. 10体内時計は2種類あるって知ってた?それぞれを整えて眠りの悩みを解消する3つのコツ
- vol. 11幸せホルモン・セロトニンを分泌させる「リズム運動」。意識したい3つのコツとは?
- vol. 12もう怖くない!「金縛り」の科学的なメカニズムと予防法を解説します
- vol. 13夜はスマホを置いてリラックス♪“なかなか眠れない”を防ぐ簡単なおすすめ習慣
- vol. 14熱すぎるお湯はNG!快眠のための「正しいお風呂の入り方」
- vol. 15寝起きの頭痛・肩こりの原因は?
- vol. 16夜ふかし続き、徹夜明け…眠気を覚まして仕事を乗り切る6つのコツ
- vol. 17コーヒー以外も要注意!寝付きを邪魔する「カフェイン」を含む飲み物リスト
- vol. 18寝付きのよさと間違えやすい「バタンキュー型睡眠不足」とは?予防・改善する3つのコツ
- vol. 19睡眠の質を高める「朝の過ごし方」とは?すぐ真似できる3つのポイント
- vol. 20寝付けない夜に試したいこと
- vol. 21眠り上手は痩せ上手。睡眠とダイエットの深い関係
- vol. 22日中の居眠りは病気のサイン?職場&テレワークで眠気を乗り切るコツ
- vol. 23掛け布団を選ぶ4つのコツ。眠りの質を下げないポイントは?
- vol. 24目覚めスッキリ♪ 朝に効く「香り」と簡単アロマ活用法
- vol. 25心地よく眠れる♪睡眠の質を上げる「寝具のお手入れ」のコツ
- vol. 26テレワークは睡眠不足になりやすい?リズムを崩さない4つのコツ
- vol. 27睡眠不足は体温が原因? 冷えで眠れない人必見!「体温の下げ方」
- vol. 28パワーナップで午後の仕事もサクサク♪短い仮眠の実践法と3つのポイント
- vol. 29社会的時差ボケってどんなもの?休日の寝溜めが招く意外な悪影響とは
- vol. 30寝る直前に運動してはいけないって本当?眠りと運動の関係
- vol. 31スマホ不眠を防ぐ上手な使い方とは?快眠のためのポイント5つ
- vol. 32まさに「寝る子は育つ」。子どもの睡眠を守る5つのポイント
- vol. 33睡眠の質を落とす「NG生活習慣」とは?よく眠るための簡単セルフチェック
- vol. 34快眠のカギは寝室・寝具にあり。睡眠の質をUPする「睡眠環境」を整えよう
- vol. 35ロングスリーパー、ショートスリーパーの目安は?睡眠障害との見分け方も解説
- vol. 36「よく動く人」はよく眠る♪快眠のための運動で意識したい2つのポイント
- vol. 37【寝酒はNG】睡眠の質を下げない「アルコールとの上手な付き合い方」を解説
- vol. 38春夏秋冬で変わる睡眠の特徴とは?季節ごとの快眠のコツを解説
- vol. 39夜ぐっすり、朝スッキリ♪睡眠の質を上げる日光浴のコツ
- vol. 40快眠への第一歩!質の良い眠りを手に入れるための就寝前ルーティン