コラム
美容コンサルタント美羽Miu
vol. 12もう怖くない!「金縛り」の科学的なメカニズムと予防法を解説します
あなたは、金縛りにあった経験がありますか?
金縛りの最中は「目覚めているのに身体が動かない」と感じるので、怖くなってしまうかもしれません。でもじつは、金縛りの正体は、睡眠中にとある条件が揃うと生じる「夢の一種」なんです。
今回は、金縛りが起きるメカニズムや、金縛りの予防法について解説します。生活の中で簡単に実践できる対策をご紹介しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
金縛りのメカニズムは科学的に説明できる
金縛りのメカニズムは、科学的に説明することができます。それを理解するために、まずは「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」を繰り返す睡眠の仕組みについて、簡単に知っておきましょう。
レム睡眠、ノンレム睡眠とは
睡眠には、大きく分けて2つの種類があります。1つめは、閉じたまぶたの内側で眼球が激しく動く「レム睡眠」。もう1つは、眼球が動かない「ノンレム睡眠」です。
レム睡眠は「脳が活動しているが、身体が眠っている状態」、ノンレム睡眠は「脳が眠っている状態」です。そして、ノンレム睡眠は、深度によってさらに3段階に分類されます。
人間の睡眠は、基本的にこの「レム睡眠」と「ノンレム睡眠(ノンレム1〜3)」を繰り返しています。
睡眠は「波」のようなサイクルを繰り返すもの
通常、人が眠り始めると、まずノンレム睡眠の浅い段階(ノンレム1)が現れ、ノンレム2、ノンレム3と徐々に深い段階へと移行していきます。その後、今度はノンレム睡眠の浅い段階へと移行していき、次にレム睡眠が現れます。つまり、睡眠には「入眠→浅いノンレム睡眠→深いノンレム睡眠→浅いノンレム睡眠→レム睡眠」というサイクルがあり、このサイクルを人間は一晩に数回繰り返しています。
想像しやすいように、睡眠のサイクルを一晩中繰り返される「波」のようなものと考えてみましょう。波の頂点が「レム睡眠」、波の底が「深いノンレム睡眠(ノンレム3)」です。通常の睡眠では、海の波がうねりを繰り返すように、このサイクルが繰り返し生じます。
睡眠サイクルの乱れが「金縛り」に繋がる
しかし、何らかの原因でこのサイクルが乱れ、入眠時に(ノンレム睡眠を経ることなく)いきなりレム睡眠が現れると、金縛りが起きることがあります。
レム睡眠中は、脳はほぼ覚醒状態に近い活動をしていますが、筋肉は弛緩しており身体を動かすことができません。自分は「目が覚めている」と思っているのに、身体が動かない状態……そう、これこそが「金縛り」の正体なのです。
金縛りのときに見たり聞いたりする物事は、夢ではなく現実と同じように感じます。これは、睡眠サイクルが乱れて、いきなりレム睡眠に入ったときに現れやすい幻覚で、専門用語では「心象」と呼ばれます。
心象は、眠っている本人の感情や感覚に影響を受けやすいと言われています。たとえば、金縛りの最中に「身体が動かなくて怖い」と感じたり、布団の上に重いものが乗っていて「息苦しい」と感じたりすると、心霊現象のような幻覚(心象)を見やすくなるのです。
金縛りには、起きやすいタイミングがある
金縛りが起こりやすくなるのは、睡眠の後半(明け方)や、昼寝のときです。
多くの場合、金縛りは睡眠の後半、つまり明け方に発生します。これは、睡眠サイクルが繰り返されて朝に向かうにつれて、だんだんとレム睡眠の発生頻度が高まるためです。
朝方に目が覚めた後、再び眠りにつく際に金縛りを経験する人は多いもの。このときに疲れやストレスが溜まっていると、より一層金縛りを経験しやすくなります。
また、昼寝のときも金縛りが起こりやすくなります。昼寝では、通常の夜間睡眠よりも迅速にレム睡眠に入ることが多く、この急激な移行が金縛りを引き起こす原因となります。
金縛りの原因と予防・対処のポイント
金縛りの主な原因は、「過労」「ストレス」「不規則な生活習慣」の3つです。これら3つの要因は、自律神経や体内時計を狂わせて、睡眠サイクルの乱れを招きやすくなります。
日常で心がけたい、金縛り予防のポイント
金縛りを予防するためには、まず睡眠環境を整え、睡眠の質を高めましょう。睡眠の質が高まることで、睡眠のサイクルも安定します。環境の整え方としては、寝室を暗く静かに保ち、湿度や温度を快適に保つことが大切です。
また、夜間のアルコール摂取やカフェイン摂取、スマホ操作、激しい運動などは避けましょう。就寝の90〜30分前に38℃~41℃のお湯に約10分間浸かって身体を温めるなどの入浴習慣もオススメです。
ストレスや疲労の管理も大事です。金縛りが気になるときは、趣味によるリフレッシュをする、心身ともにこまめな休息をとる、といったことを心がけましょう。定期的な運動や、栄養バランスの取れた食事も、ストレスと疲労の軽減に役立ちます。
規則正しい生活リズムを保つことも、金縛りの予防に繋がります。毎日同じ時間に就寝・起床することで、自律神経と体内時計を整えましょう。
金縛りになったときの対処法
また、実際に金縛りになってしまったときは、落ち着いて深呼吸をし、リラックスすることが大切です。金縛りはずっと続くものではないので、焦らずに解放されるのを待ちましょう。
今回解説した金縛りのメカニズムを思い出し、「これは夢の一種だから大丈夫」と考えることができれば、恐怖を軽減することにも繋がるでしょう。
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