コラム
美容コンサルタント美羽Miu
vol. 35ロングスリーパー、ショートスリーパーの目安は?睡眠障害との見分け方も解説
昨今、「ロングスリーパー」「ショートスリーパー」という言葉が注目されています。それぞれどれくらいの睡眠時間を必要とするのか。また「過眠症などの病気とどう違うのかな?」「自分の意志で変われるのかな?」など、気になっている人も多いのではないでしょうか。今回はそんな疑問を解決すべく、「ロングスリーパー」「ショートスリーパー」の特徴や自分にとってちょうどいい睡眠時間を把握するコツについて解説します。
ロングスリーパー、ショートスリーパーの目安
私たちの脳や身体は、睡眠中に疲労の回復やダメージの修復を行います。この疲労・回復を行う機能には個人差があるため、必要な睡眠時間も人によって異なります。
その中で、一般的には1日6時間未満の睡眠時間でも問題なく活動できる人が「ショートスリーパー」、10時間以上眠らないと心身に不調をきたしやすい人が「ロングスリーパー」と呼ばれています。
ただ、「どちらが良い/悪い」という性質のものでもありません。
しかし、自身や周囲の健康を考える際の目安として、「ロングスリーパーのAさんは人より長めに眠る必要がある」「ショートスリーパーのBさんは無理に長時間眠るとかえって調子を崩しやすい」といった個人差の存在を知っておくことは大切でしょう。
とくにロングスリーパーの人は、7〜8時間の睡眠時間を確保していても、体質的に睡眠不足が蓄積していってしまいます。充分な睡眠時間を確保しているつもりなのに、ずっと「だるさや疲労感が抜けない」「日中に居眠りしてしまう」という状態が続いている人は、(過労や病気といった原因が無ければ)自覚なきロングスリーパーなのかもしれません。
ナルコレプシーとの違いと、見分ける際のポイント
ロングスリーパーの睡眠不足による不調は、ナルコレプシーの症状と間違われることがあります。たとえば、日中に強い眠気や倦怠感を感じる場合、それが睡眠不足によるものなのか、ナルコレプシーなどの病気が隠れているのか、迷ってしまうことも多いでしょう。
ナルコレプシーとロングスリーパーとの違いは、自身にとって適切な睡眠時間を確保できたときに、「疲労感が消え、熟睡感を得られるか」「日中に強すぎる眠気が起きず、活動的に過ごせるか」といった点にあります。
ナルコレプシーは、必要な睡眠時間を確保しても脳や身体の疲労回復・ダメージ修復が充分に行われない、という病気です。極端な話、何時間寝ても疲労がとれず、集中力や判断力が低下して、日中に居眠りしてしまうほどの強烈な眠気が訪れます。
しかしロングスリーパーは、あくまでも必要な睡眠時間が人より長いだけなので、自身に合った睡眠時間を確保できていれば、日中に過度な眠気や不調を感じることなく、活動的に過ごすことができます。
同様に、ショートスリーパーの人が「もしかして不眠障害(不眠症)なのかな?」と悩むこともあるでしょう。この場合も、見分け方の目安となるのはやはり心身の不調の有無です。不眠障害の場合は日中に疲労感や強烈な眠気といった症状が出るのに対し、ショートスリーパーの場合はとくに問題なく活動することができます。
このように、ロングスリーパーやショートスリーパーと他の睡眠障害を見分けるポイントは、「(適切な睡眠時間を確保したときに)心身の不調があるかどうか」という点にあります。逆に言えば、睡眠障害かどうかを判断するためには、自身にとって適切な睡眠時間を知っておくことが大切です。
自分に必要な睡眠時間を知る方法
今の睡眠時間で「休日の朝寝坊」、「午前の眠気」、「あまりに早い寝つき」がなければ、必要な睡眠時間がとれていると言えるでしょう。
反対に、今の睡眠時間で上記のような症状があるようであれば、まず休日の睡眠時間を含めて1週間の睡眠時間を計算して、1週間あたり1時間延長してみましょう。
この1週間ごとのサイクルを繰り返していき、「休日の朝寝坊」、「午前の眠気」、「あまりに早い寝つき」がなくなる睡眠時間を見つけてください。それが、今のあなたにとって必要な睡眠時間になります。
必要な睡眠時間は、季節や体調、年齢などによって変化します(一般的に、年齢を重ねると睡眠時間は短くなります)。さらに脳や身体が忙しく働いて疲れた日や、ストレスを感じているときなどは、回復のために普段より長めの睡眠が必要です。睡眠時間は状況に応じて調節していきましょう。
また、充分な睡眠時間を確保していても、午後2時〜4時頃にかけては軽い眠気が訪れる場合があります。これは人間の生体リズムに沿った自然な現象なので、「どうしても抗えず、居眠りしてしまう」という強烈な眠気でなければ、あまり気にしなくて大丈夫です。
自分にとってベストな睡眠時間を知る方法については、下記の記事にも詳しく書かれていますので、ぜひ読んでみてくださいね。
何時に布団に入ってる?あなたに最適な「睡眠時間」と「時間帯」を教えます
ロングorショートスリーパーは、意志や努力で変えられる?
その人にとって必要な睡眠時間は、遺伝や体質によるものと考えられています。このため、意志の力や努力によって変えることは「できない」と考えた方が良いでしょう。とくにロングスリーパーの場合、無理に睡眠時間を短く保とうとすると健康に悪影響が出る恐れがあるため、注意が必要です。
ただし、睡眠の質低下により疲労回復・ダメージ修復機能も低下してしまっている場合には、質の良い睡眠をとることで、より短い睡眠時間でスッキリと起き、活動的に過ごすことが可能になるケースがあります。
睡眠の質を上げるためには、「就寝の3時間前までに夕食を食べ終える」「夕方〜夜にかけては暖色系の暗めの光の下で過ごす」「就寝の90~30分間前に、ぬるめのお湯でゆっくり入浴する」「ゲーム・スマホなどは、就寝1時間前には使用しない」「ストレスをためない」といった生活習慣が大切です。
上手な工夫で睡眠の質をアップしていきましょう。
【監修】東京ベイ・浦安市川医療センター CEO / 医師 神山 潤 先生
睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。
旭川医科大学、UCLAでは睡眠の基礎研究に従事。米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。
【主な著書】
・朝起きられない人のねむり学 一日24時間の賢い使い方
・眠りは脳と心の栄養! 睡眠がよくわかる事典 早起き・早寝で元気になれる
・睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 (講談社+α新書)
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