コラム
美容コンサルタント美羽Miu
vol. 29社会的時差ボケってどんなもの?休日の寝溜めが招く意外な悪影響とは
休み明けは体がだるくて仕方ない、週末ゆっくり昼まで寝たのに疲れがとれない……。
もしかするとそれは、寝溜めによる時差ボケ状態かもしれません。忙しい人ほど気をつけたい「社会的時差ボケ」について、その仕組みや原因、予防するための方法をご紹介します。
社会的時差ボケとは?
飛行機で時差のある地域に旅行すると、到着時や帰国後、時差ボケになることがあります。時差ボケ状態になると、倦怠感や日中の強い眠気、また「夜になっても目が冴えて眠れない」といった状態が数日ほど続きます。
時差ボケが起きるのは、生体リズムをコントロールしている体内時計が、時差による生活時間のずれに対応しきれないためです。
しかし近年、時差のない日本にいながらにして、時差ボケ状態に陥ってしまうケースが増えています。これが「社会的時差ボケ」と呼ばれる現象です。
社会的時差ボケの原因は「休日の寝溜め」
社会的時差ボケを引き起こしてしまう主な原因は、休日の寝溜めです。
「平日早起きして頑張っている分、週末くらいは夜ふかししたい。朝もゆっくり寝て、平日の睡眠不足を補おう」と考える人は多いもの。ですが、良かれと思ってしている寝溜めが、かえって体に負担をかけてしまっています。
眠りに落ちる時刻と、朝目覚める時刻の中間の時刻を「睡眠中央時刻」と言います。たとえば、平日は0時に寝て朝7時に起きている場合の睡眠中央時刻は3時30分、休日は夜中の2時に寝てお昼の12時まで寝ると睡眠中央時刻は7時となり、平日と休日で3時間30分のずれが生じてしまいます。このずれによって「社会的時差ボケ」になってしまうのです。これは体内時計にとって、時差が3時間30分ある外国へ移動したのと似たような状態です。
この状態で土日を過ごしたあと、月曜日にまた朝7時起きの生活に戻そうとすると、体内時計は再び3時間30分のズレを調節する必要があります。
寝溜めが習慣化している場合、週明けが来るたびに体が無理やりずれを調節していることになります。寝溜めの習慣は体内時計をコントロールしている自律神経に大きな負担をかけ、倦怠感や疲労感、睡眠リズム障害といった症状を引き起こしてしまうのです。
寝溜めはNG、朝寝坊は1時間以内におさめよう
社会的時差ボケは、「月曜日が憂鬱だ」と感じるブルーマンデー症候群の原因になるとも言われています。また、日中の眠気やだるさは集中力の低下を招き、重要な仕事や自動車の運転などでミスをするリスクも高くなります。
そんな社会的時差ボケを防ぐため、大切なのは「休日の寝溜めをしないこと」です。平日も休日も同じ時刻に就寝・起床し、同じ時間帯に活動すること。これを意識するだけで、つらい時差ボケ状態を回避できます。
どうしても朝寝坊したいときは、起床時間のずれを1時間以内におさめましょう。1時間を超える朝寝坊は控え、昼間の眠気が気になるときは短い仮眠で調整するとスッキリします。ランチの後(15時より前に)、20分以内の仮眠をとるのがオススメです。
また、場合によっては睡眠時間を見直すことも大切です。充分眠っているつもりでも、日中の眠気が続くなら、それは寝不足の合図かもしれません。必要な睡眠時間には個人差がありますが、一般的には7時間~8時間と言われ、6時間より短いと集中力や判断力が低下するリスクが高まります。
睡眠は、残念ながら溜めておくことができません。ブルーマンデーや不調を防いで元気に過ごすため、日頃から睡眠のリズムと質を整えていきましょう。
【監修】東京ベイ・浦安市川医療センター CEO / 医師 神山 潤 先生
睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。
旭川医科大学、UCLAでは睡眠の基礎研究に従事。米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。
【主な著書】
・朝起きられない人のねむり学 一日24時間の賢い使い方
・眠りは脳と心の栄養! 睡眠がよくわかる事典 早起き・早寝で元気になれる
・睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 (講談社+α新書)
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