コラム
美容コンサルタント美羽Miu
vol. 44寝ても疲れがとれない人必見!見落としがちな睡眠の質を下げる4つの生活習慣と改善策
しっかり眠っているはずなのに、朝から疲れを感じることはありませんか? もしかすると、その原因は日々の生活習慣の中に潜む意外なものかもしれません。睡眠の質が下がる原因には、体の病気や不調によるものもありますが、実は日々の習慣の中にも、眠りを妨げている意外な要因が潜んでいます。
今回は、生活習慣に起因する4つの要因と、それぞれの改善策について、分かりやすく解説します。
生活習慣に起因する4つの要因と対策
(1)体内時計がズレると「寝ても疲れが取れない」
体内時計のズレが睡眠の質を下げる
私たちの身体には「体内時計」という仕組みがあり、約24時間の周期で睡眠と覚醒のリズムを調整しています。朝に目覚め、夜になると自然と眠くなるのは、この体内時計の働きによるものです。 ただし、この体内時計のリズムは24時間よりも少し長いため、夜更かしや不規則な生活を続けると、どんどん後ろにズレていってしまいます。その結果、眠りの質が落ちてしまい、疲れが取れにくくなるのです。
【対策】起床時刻を一定にし、朝の光を活用する
体内時計を安定させるためには、起床時刻を一定にすることが最も重要です。具体的には、休日も平日と同じ時間に起きることで、体内リズムが整い睡眠の質が向上します。
また、朝に太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされます。起床後はすぐにカーテンを開けて太陽の光を浴びるか、朝の散歩を取り入れると良いでしょう。
(2)「寝だめで疲れがとれる」は間違い
「寝だめ」は体内時計を狂わせる
「平日は忙しくて睡眠時間が足りないから、週末にたっぷり寝て回復しよう」と考える人も多いもの。しかし、じつはこの「寝だめ」こそが、体内時計を大きく乱す原因となっています。 寝だめにより発生する「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ボケ)」は、見落とされがちなNG習慣のひとつです。「平日は早起きして、週末は夜更かし・寝坊する」というバラバラのリズムで眠ることで、身体がまるで時差ボケのような状態になり、体内時計が乱れて疲れが抜けにくくなります。
【対策】「寝だめ」ではなく「寝不足を作らない生活」へ
週末の寝だめを減らすためには、平日にしっかり睡眠時間を確保することが大切です。睡眠負債を溜め込まないよう、10分でも早く寝ることを意識しましょう。
休日の寝坊は平日の2時間以内にとどめ、どうしても眠気が強い場合は、日中に15〜20分の短い昼寝(パワーナップ)を取り入れると頭がスッキリします。
(3)自律神経を整えれば、もっとぐっすり眠れる
自律神経の乱れが睡眠の質を下げる
自律神経は、活動時に働く「交感神経」と、休息時に働く「副交感神経」の2つから構成されていて、生命維持機能をコントロールするという、重要な役割を担っています。この自律神経のバランスが整っていると、夜は副交感神経がしっかり働き、リラックスしやすくなります。その結果、眠りにも入りやすく、深い睡眠がとれるようになります。 しかし、ストレスが多く忙しい現代の生活では、交感神経が優位になりがちです。その結果、夜になっても心身が緊張状態から抜け出せず、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしてしまいます。
【対策】適度な運動とリラックス習慣で自律神経を整える
自律神経のバランスを保つためには、日中は適度に交感神経を働かせ、夜には副交感神経が優位になるような生活習慣を心がけることが大切です。
たとえば、日中の適度な運動はストレスホルモンを抑え、夜の自然な眠気を促す効果があります。とくにウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、自律神経を整えるのに効果的です。ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経を刺激してしまうため、夕方までに済ませるのが理想的です。
そして就寝前には、副交感神経を優位にするリラックス習慣を取り入れてみましょう。「ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる」「深呼吸や瞑想を行う」「ストレッチを行う」「穏やかな音楽を聴く」など、リラックスできる時間を意識的に作ることで、心身の緊張がほぐれて寝つきがスムーズになります。
(4)夜の習慣が睡眠を邪魔している
無意識のNG習慣を持っている人は多い
「しっかり寝たはずなのに、朝スッキリしない」と感じる人の多くは、知らず知らずのうちに睡眠の質を下げるNG行動をとっています。とくに、寝る前のスマホ使用やカフェインの摂取、遅い時間の食事や運動は、眠りを浅くする大きな要因となるため、要注意です。
【対策】就寝前の過ごし方を見直そう
スマホやタブレットなどの使用は、画面から発せられるブルーライトが睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑えるだけでなく、SNSや動画などの内容が脳を刺激して覚醒状態にし、睡眠の質を低下させてしまいます。就寝前はこれら機器の使用を控え、代わりに読書やストレッチなどリラックスできる習慣を取り入れましょう。
また、カフェインには継続的な覚醒作用があるため、コーヒーや紅茶、緑茶、エナジードリンクといったカフェイン入りの飲料は、夕方以降の摂取を控えるのが理想的です。
さらに、夜遅い時間の食事や激しい運動も、身体を活動モードにしてしまい、深い眠りを妨げる原因になります。睡眠の質を高めるためには、夜食や間食は控え、運動は夕方までに済ませることを心がけましょう。
まとめ
睡眠の質は、体内時計の整え方や自律神経のバランス、就寝前の習慣によって大きく左右されます。起床時間を一定にする、リラックス時間をつくる、スマホやカフェインを控えるなど、小さな工夫が快適な眠りにつながります。今日からできることを1つずつ試し、自分に合った睡眠習慣を見つけていきましょう。
【監修】東京ベイ・浦安市川医療センター CEO / 医師 神山 潤 先生
睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。
旭川医科大学、UCLAでは睡眠の基礎研究に従事。米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。
【主な著書】
・朝起きられない人のねむり学 一日24時間の賢い使い方
・眠りは脳と心の栄養! 睡眠がよくわかる事典 早起き・早寝で元気になれる
・睡眠で人生が劇的に変わる生体時計活性法 (講談社+α新書)
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